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5話 城塞都市アープル

ーー辺境地アズルにて


 「さてと、そろそろ戻るとするかな」

 『ピリッ』

 「え?」


 気がつくと俺の意識は自分の身体の中にあった。

 

 「も、戻れたのか?」

 『ああそうだ、返してやったぞ使い手よ』

 「やったー!」

 「うわっ、急にどうしたのよメイナード」

 「ごめんよニーナ」

 「いいよ謝らないで……あれ、なんかメイナード雰囲気変わった?なんか昔みたいに優しい目に戻ってる」

 

 そう言ってニーナは俺の顔に自分の顔を近づけた。

 凄いなニーナの奴、俺が聖剣とまた入れ替わった事に気がついたのか?

 だがしかし……。


 「ち、近いよニーナ!」

 「あ、ごめんごめん!」

 『スッ』


 恥ずかしそうにする俺を見てニーナは、スッと顔を離す。


 『何しとるんじゃ使い手よ、助けた女は我が物となるのだから、はよ抱き寄せれば良かろう』

 「なっ、何言ってんだよ馬鹿!」

 「うわぁ、またどうしたの?」

 「ち、違うんだよニーナこれは……」


 あれひょっとして、聖剣の声って俺にしか聞こえない感じなのか。


 「ふふ、なんか懐かしいねこの感じ、まるで昔に戻ったみたい」


 嬉しそうに微笑むニーナ。

 ニーナの奴なんか楽しそうだな。

 

 『おい使い手よ、今がチャンスじゃぞはよ抱け』

 「……」

 『カチャッ』


 俺は背負っている聖剣の鞘を外して、そのまま手に持っている聖剣へと装着した。


 『スッ』


 あれ?なんか急に聖剣が軽くなった気がするぞ。


 『お、おい使い手よなぜ抱かないんだ?女は男の戦利品だろー!』


 鞘に納めてもそう言い続ける聖剣。

 こいつ聖剣のくせに蛮族並の思考をしていやがる。

 あとでしっかりと礼儀作法とかを教えとかないとな。

 

 「じゃあニーナ、悪いんだけどステイガードさんのところまで案内を頼めるかな?」

 「もちろん、ついてきてねメイナード、街はすぐそこだから!」


 そうして俺とニーナは、ステイガードの待つ街へと向かうのだった。



ーー辺境地アズル、城塞都市アープル前門にて


 「さぁ着いたわよ、ここが辺境騎士団の本部がある城塞都市アープルよ!」

 「うわぁ、すげぇなこれ」


 馬でニーナと共に移動すること3時間、俺はついに辺境地アズルの最大都市アープルへと辿り着く。


 「ふふ凄いでしょ、400年前の魔族による侵攻でも落ちなかった都市なのよ」

 「400年前って、あの第一次魔族進撃戦争のときか?」

 「ええそうよ」


 第一次魔族進撃戦争、400年前にここアズルで起きた人対魔族の全面戦争。 

 劣勢だった人族に、たしか聖騎士が誕生して勝利に導いたんだったよな。

 その時からある都市なのか。


 『お、この感じ懐かしぃのぉ昔とちっとも変わっておらんぞ!』

 「うるさいぞ聖剣、大人しくしろよ」

 『なっ!失礼だぞ使い手よ、人がせっかく昔を懐かしんでーー』

 『ドガラッ』


 その時、目の前の門から銀と青色の装飾がなされた鎧を着た偉そうな騎士が、馬に乗って現れた。

 誰だこの人?


 「お父さん!」

 「やぁニーナ、ちゃんとメイナードをここへ連れてきてくれたみたいだね」

 

 そう言ってニコッと笑う偉そうな騎士。

 待てよ今ニーナの奴、この人の事をお父さんって言わなかったか?


 「えっと貴方は?」

 「まぁそうか最後に会ったのは君が7歳の時だもんな……久しぶりだねメイナード、私はステイガード・ルナール、ここ城塞都市アープルを守る辺境騎士団の団長だ」

 『スッ』


 ステイガードはそう話すと右手を俺の前に差し出した。

 やっぱりこの人がステイガードか。

 優しそうな人で良かった、この先俺が世話になる人だし、そうでなくては困るしな。


 『ガシッ』

 「よ、よろしくお願いします!」


 俺は差し出された右手を掴み元気よくそう応えるのだった。


 

 


 

 


 

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