3話 400年ぶりの目覚め
ーー辺境地アズルにて
「ふっははは、ゴブリンども観念しろ!」
『チャキッ』
そう言って俺(聖剣)は、片手で聖剣を持ちゴブリン達へと向けた。
す、凄いな俺だと全然持つことができなかったのに……これが心の力の差なのか。
『さっきは重いだのなんだの言ってたくせに急にどうしたんだよお前』
「演技さゴブリンよ」
ニヤリと笑ってそう答える俺。
いやいや演技じゃないからね、ちゃんと重かったからね、聖剣。
『演技だと、なんでそんなことしたんだよ?』
「お前達を油断させるためさ、固有スキル"南十字星"発動」
『ズバッ』
そう言って俺は十字の斬撃をゴブリンに向けて放った。
なんだよ今のあんなのまで撃てるのかよこの聖剣。
『グエエ』
『ま、マイケル!』
斬られたゴブリンを見て、もう片方のゴブリンがそう叫ぶ。
あのゴブリン、マイケルって言うんだな。
「す、凄い」
斬り裂かれたゴブリンをみてそう呟く若い女。
おいおいこのまま勝っちゃうんじゃないのか!
俺がゴブリンに勝ったと知ったら兄さんや父さん達は驚くだろうなぁ。
ま、俺じゃないけど。
「……むむ、どうやら使い手よこれはそんな簡単な話でもないようだぞ」
え、なんだよそれ?
そう思っていると近くの茂みが揺れるのが見えた。
『ササッ』
『おーい今の悲鳴はどうしたんだ?』
そう言って茂みの中から複数体のゴブリンが出てきた。
嘘だろあの2体以外にもいたのかよ。
『あ、お前ら!すまねぇ俺の不注意でマイケルが……』
ゴブリンはそう話すと腕に抱くマイケルを見せた。
『マイケルー!!』
『だ、誰だよこんな酷いことした奴は!』
『許せねぇ!』
仲間がやられたのを見て激昂するゴブリン達。
「ふふ、悲しむなゴブリンどもよ、じきお前達もそこへ行くのだからな!」
『カチャッ』
俺(聖剣)はニヤリと笑ってそう言うと聖剣をゴブリンどもへと向けた。
お、俺じゃない、普段の俺とはかけ離すぎている。
剣も持てないスキルもない、唯一できる事は後方から弓を射るくらいだった俺が、複数体のゴブリンに喧嘩を売るなんて……母さん見てますか、俺はこんなに立派になりましたよ。
『おいおいなんだよジョニー、こいつがマイケルをやったってのか?』
『ああそうだチャーリー、こいつが張本人だ』
『へへ、そんならこの馬鹿に礼儀作法を教えてやんないとな、おいお前ら、出てこいよ!』
『ガサガサ』
ゴブリンのチャーリーがそう言うと、辺りの茂みから100体近くのゴブリンが一斉に飛び出してきた。
お、終わったぁー!
一体、一体ならなんて事のないゴブリンだけど、この数は流石に終わったよ!
「……ざっと104体か」
か、数えたのか!
「まぁな、使い手にもできるはずだぞ、それほどにお主の身体の動体視力は底上げされておる」
凄いなそれ。
でも聖剣この数は流石にまずいよ。
女の子を連れて早く逃げよう!
「私に撤退の二文字はないのだ使い手よ、固有スキル発動"アークトゥルス"」
『ズゥゥン』
な、なんだよこれ。
俺(聖剣)がそう言うと、手に持っていた聖剣の刀身が一瞬で3倍ほどに拡大した。
「さぁてゴブ共、覚悟しろよ400年ぶりの一撃でお前達をあの世に送ってやるよ」




