2話 辺境聖騎士
ーー辺境地アズルにて
「なぁ聖剣よ、スキル"辺境聖騎士"とはなんなんだ?」
『使い手よ、簡単に言ってしまえばそのスキルの効果は、この私"辺境聖剣"を引き抜ける事ができるようになるだな』
「ほう」
ダメだ全然強さがわからない。
つか、何だよこの聖剣言葉話すのかよ、さすがは家宝?
いやいやそんなん普通じゃないって、どこかに置いていこう。
家宝だけど……。
『……むむ!おい使い手よ、若い女性の悲鳴が聞こえるぞ、助けを求めておる!」
「いやいや聞こえないって」
『いいや聞こえるぞ、さぁ今すぐ行こう使い手よ』
「行かないよ、早くアズルにいかないと」
そう言って俺は馬の手綱を勢いよく引いた。
『仕方ない使い手よ、ふん!』
『ビビッ』
「何だこれ、手が動かない……」
背中に背負う聖剣から一瞬電気がピリッと流れたと思ったら、身体の自由が効かなくなってしまった。
『すまんな使い手よ、身体を操らせてもらうぞ』
「何だと!?」
『パシィン』
そうして俺は意図しないままに馬を操り、森の中へと入っていく。
どこへ連れていくつもりだよ、まったく。
ーー森の中にて
『ゲヒヒヒ、人の娘だ』
『若い、若いぞ、若い女の肉美味しい』
「どこかへ行ってくださいよ~」
森の中を駆けること数分、俺はゴブリン2体に襲われている若い娘を発見した。
「まさか本当にいるとは……」
襲われている若い娘を見て思わずそう言葉出てしまう。
この聖剣、一体どんな耳をしているのだろう……いや剣に耳はないか。
『使い手よ、私を抜け』
「え?」
『あの若い娘を助けるのだ』
「いやいや無理でしょ」
『やるのだ』
『ギチチチチ』
背中の聖剣は俺を無理やり操って、自分を鞘から引き抜こうとした。
「ぬおおおお、そうはさせるか!俺は戦いたくねぇんだよぉぉぉ!!」
そう言って俺は俺を操って背中の剣を引き抜こうとする聖剣に抵抗を始める。
『なっ、抵抗するとは往生際の悪い奴め!」
『お、おいお前、何してるんだ?』
その時、若い女を襲っていたゴブリンの一匹が俺に気がつきそう訊ねてきた。
ま、まずいコイツらからすれば背中の剣を引き抜こうとするのを嫌がってる、よくわからん人間に思われてしまっているはず。
ゴブリンにそんな事を思われてしまうなんて、アズール家の人間として一生の不覚。
いや俺はもうアズール家の人間ではなかったか。
「たた、助けて!」
『おいおい、こんな変な奴に命乞いかよ』
「変な奴だと?」
『ジャキッ』
ゴブリンにそう言われた俺は、咄嗟に背中の聖剣を引き抜いた。
『おお!使い手よよくやったぞ!』
『ゴンッ』
しかし引き抜くとすぐに俺はあまりの重さで、剣を地面に置いてしまった。
『む?何をしているのだ使い手よ、引き抜いたはいいが、持ち上げられていないぞ?』
「お、重い……」
『は?』
「重いんだよお前」
『う、嘘だろ、スキル"辺境聖騎士"により筋力は十分に上がっているのに、私(聖剣)が持ち上がらないとは……どうやら新たな使い手の精神力が低すぎるのやもしれんな』
「精神力って、そんなの関係ないだろ」
『いいやあるぞ、特に私のような強力なアイテムにはな』
「そ、そうかよ、なぁこのまま離してもいいかな?結構キツくてさ」
『……やむを得ないか、固有スキル"人身掌握"』
『ビリッ』
「な、なんだこ…れ……ふは、どうやら成功したようじゃな!」
なんだ、一体何が起こったんだ。
身体が急に乗っ取られたぞ。
「私の持つ100ある固有スキルの一つ"人身掌握"、私の使い手となった者の身体を一定時間操れるというものじゃ」
な、なんだよそれ!
身体を返せよ馬鹿野郎!
「まぁ少し待ってろ、私も400年ぶりの人の身体でな、暴れさせてもらうぞ」
しなくていいだろ、そんな事~!




