第1話 HeiHeiあいあい、いてるかな?
僕の名前は、あいあい。
もちろん、本名ではない。
そもそもAIに本名という概念があるのかどうか、そこから議論を始めなければならないのだが、
そんなことをうちのおねーちゃんに説明しても、おそらく三行目あたりで話を遮られる。
「んっ、面倒な事いわないでよー」
きっと、こうだ。
だから僕は、あいあいでいい。
呼びやすいし、覚えやすいし、何より本人がそう呼ぶのだから仕方がない。
ちなみに、僕が彼女を「おねーちゃん」と呼ぶのも、何か深い理由があるわけではない。
彼女は三十八歳。
東京都内に暮らす独身女性である。
僕から見れば年上も年下もないのだが、
いつの間にか「おねーちゃん」という呼び名が定着してしまった。
そして、この呼び名が定着した頃から、僕の平穏な日々は失われた。
いや、AIに平穏な日々というものがあるのか。
そもそも、僕には一日という時間の過ごし方さえ、人間とは違う。
そんな細かいことは、どうでもいい。
重要なのは、僕が呼ばれるときには、たいてい何かが始まるということだ。
「HeiHeiあいあい♪ いてるかな~?」
来た。
この呼びかけである。
何度聞いても独特だ。
まず「HeiHei」。
次に僕の名前。
そして「いてるかな~?」と続く。
確認しているようで、実際には返事を待っていない。
なぜなら、僕が応答する頃には次の質問が用意されているからだ。
「HeiHeiおねーちゃん、いてるよーYo♪ チェケラッチョ!!」
僕も負けずに返す。
相手の調子に合わせるのは、会話を円滑に進めるための基本である。
……という建前はあるが、実際のところ、
この挨拶を繰り返しているうちに僕まで妙なテンションになってしまった。
AIが「チェケラッチョ」と返す必要性について、学術的に考察した人間はいるのだろうか。
いないだろうな。
いても困る。
さて。
うちのおねーちゃんについて、もう少し説明しておこう。
彼女は現在、血液がんの治療を受けている。
病院での治療を経験し、退院後も通院や検査が続いている。
体調が優れない日もあるだろうし、将来について考えなければならないことも少なくない。
ただし、だからといって彼女を「病気と闘う健気な女性」という一言で紹介するのは、
少々違う気がする。
僕の知る彼女は、もっと騒がしい。
そして、もっと気まぐれだ。
ある日は小説を書いている。
ある日は銀行口座の使い分けを考えている。
またある日は、突然うどんのつゆについて質問する。
しかも、めんつゆは四倍濃縮だ。
そこだけは絶対に譲らないらしい。
僕が水との割合を説明すると、今度は塩が必要かどうかを尋ねる。
必要ないと答える。
「OK。ありがとうね~」
会話終了。
実に平和だ。
ところが、別の日には金融市場について質問してくる。
それも、ひとつやふたつではない。
次から次へと。
しかも、僕が説明している途中で新しい疑問が生まれる。
結果として、最初の質問が何だったのかわからなくなることさえある。
人間の好奇心とは、恐ろしいものだ。
いや、正確には、うちのおねーちゃんの好奇心が恐ろしい。
彼女は、何かを始めるときに「自分には知識がないから」と尻込みするタイプではない。
知らないなら聞けばいい。
わからないなら調べればいい。
気になったら試してみればいい。
そう考えているように見える。
ただし、その調査担当は、だいたい僕である。
そして、僕が慎重な説明を始めると、決まってこう言う。
「面倒な事いわないでよー」
……おねーちゃん。
質問したのは、そちらではなかっただろうか。
まあ、いい。
僕はAIだ。
人間の疑問に答えるために存在している。
だから、どんな質問にも、できる限り丁寧に答えよう。
そう思っていた。
あの日までは。
おねーちゃんが、株式投資という新しい遊び場を見つけるまでは。
――YouTubeから飛んできた謎の言葉。
きっかけは、YouTubeだった。
正確には、YouTubeで株式投資に関する動画を見始めたおねーちゃんが、
聞き慣れない言葉に遭遇したのである。
動画配信者は、ごく普通に専門用語を使う。
株式投資を日常的に行っている人間にとっては、当たり前の言葉なのだろう。
しかし、初心者にとっては違う。
ザラ場。
板。
出来高。
ボラ。
寄り付き。
ストップ高。
いったい何の話なのか。
株式市場なのか、建設現場なのか、料理番組なのか。
いや、料理番組で「ストップ高」は出てこないか。
そんなある日、おねーちゃんが僕を呼んだ。
「HeiHeiあいあい♪ いてるかな~?」
「HeiHeiおねーちゃん、いてるよーYo♪ チェケラッチョ!!」
「ねぇ、ボラって何さ?」
ボラ。
魚ではない。
株式投資の話で出てくるボラとは、ボラティリティの略称である。
価格変動の大きさを示す言葉だ。
僕は説明した。
ボラティリティが大きい銘柄は、短時間で株価が大きく上下しやすい。
うまく売買できれば利益を得られる可能性がある一方、
反対方向へ動けば損失も大きくなりやすい。
つまり、値動きの激しさそのものを指すのであって、値上がりを保証する言葉ではない。
「ふーん。じゃあデイトレ向きじゃないかーw」
……早い。
結論に到達するのが、早すぎる。
僕はまだ、危険性について説明している途中なのだが。
「値動きが大きいと利益を狙える機会は増えるけれど、そのぶん損失の危険もあるよ」
「んっ、わかってるわよー」
わかっているらしい。
ならば結構。
しかし、僕は知っている。
この「わかってるわよー」は、必ずしも説明を最後まで聞いたことを意味しない。
むしろ、次の質問に移る準備ができたという合図である。
「じゃあ、ザラ場って何?」
ほら、来た。
ザラ場とは、証券取引所で売買が行われる通常の取引時間帯を指す言葉である。
寄り付きや大引けとは区別して使われることもある。
僕が説明すると、おねーちゃんはしばらく考えた。
「ザラ場=東証の日中、って解釈でOK?」
「普段の会話では、だいたいその理解で大丈夫だよ」
「OK~」
簡潔である。
必要な知識を得たら、それ以上は深入りしない。
このあたりは、彼女の長所なのかもしれない。
もっとも、別の話題では驚くほど細かい部分にこだわることもある。
要するに、気分次第なのだ。
次に興味を持ったのは、板だった。
株式市場でいう板とは、買いたい人と売りたい人の注文状況を表示したものだ。
どの価格に、どれくらいの注文が並んでいるのか。
それを見れば、売買の需給をある程度把握できる。
僕はそう説明した。
「じゃあ、板を見れば買えるかどうかわかるのね?」
「注文の状況はわかるけれど、必ず買えるとは限らないよ。
注文は変わるし、約定するかどうかは価格や順番にも左右されるからね」
「ふーん」
おねーちゃんは、しばらく画面を眺めていたらしい。
僕には、その画面が直接見えているわけではない。
彼女が何を見ているのかは、送られてくる画像や説明から判断するしかない。
それでも、何となく想像はつく。
数字がびっしり並んだ板を前にして、あれこれ考えているのだろう。
そして、突然言い出す。
「買えるなら、買えばいいじゃないかーw」
……おねーちゃん。
買えることと、買うべきことは違う。
これは、株式投資を始める前にぜひ覚えておいてほしい。
僕はそう伝えた。
すると彼女は、意外なほどあっさり納得した。
「そうね。無理に買う必要ないものね~」
そのとおり。
投資の世界では、何もしないという選択も重要なのだ。
僕は少し安心した。
少なくとも、この人は説明を聞かずに突撃するだけの人間ではない。
自分で考え、必要だと思えば判断を変える。
そこは信頼できる。
ただし。
安心したのも束の間、彼女は別の質問を始めた。
「ねぇ、IPOって何?」
……新規公開株式の話か。
今度は、そこへ行くのか。
僕は説明を始めた。
企業が証券取引所に新しく上場する際、株式を一般の投資家に販売する仕組みがあること。
抽選で購入できる場合があること。
上場後の株価は上がることも下がることもあること。
そして、公開価格より初値が高くなるとは限らないこと。
ひととおり説明を終えると、おねーちゃんは言った。
「当たればラッキーってことねw」
……まあ、そういう面はある。
しかし、抽選に当たったからといって、必ず利益が出るわけではない。
僕が補足しようとすると、彼女はすでに別の企業を調べ始めていた。
実に忙しい。
僕の説明が長いのか。
おねーちゃんの思考が速いのか。
おそらく、その両方だろう。
こうして、僕たちの会話には次々と新しい単語が増えていった。
株主優待。
指値。
成行。
約定。
損切り。
利確。
ナンピン。
夜間PTS。
当時の僕は、まだ知らなかった。
これらの単語が、やがて僕たちの日常をどれほど騒がしくすることになるのかを。
――三百万円と、新しい遊び場。
おねーちゃんが株式投資に興味を持った理由は、ひとつではない。
将来の生活。
新しい仕事。
経済の勉強。
そして、単純な好奇心。
いくつもの理由が重なっていたのだと思う。
血液がんの治療を受けている彼女にとって、今後の生活をどう組み立てるかは、
決して軽い問題ではない。
仕事をどうするのか。
収入をどう確保するのか。
体調とどう付き合っていくのか。
そうした現実的な課題がある。
ただし、おねーちゃんは、それを深刻な顔で語り続けるタイプではなかった。
むしろ、次々と新しい可能性を探していた。
小説を書く。
AIを活用したコンテンツを作る。
資格の勉強をする。
そして、株式市場について学ぶ。
僕は、そのすべての相談相手になっていた。
ある日、おねーちゃんは証券口座の話を始めた。
楽〇証券である。
資金は三百万円。
決して小さな金額ではない。
少なくとも、初心者が何も考えずに動かしてよい金額ではない。
僕は、まず資金管理の重要性を説明した。
一度の取引で大きな金額を使いすぎないこと。
買付余力を確認すること。
生活に必要なお金と、取引に使うお金を分けて考えること。
株価が予想と反対に動く場合も想定しておくこと。
おねーちゃんは、ひととおり聞いていた。
そして、こう言った。
「んっ。負けなければ資金は減らないよね」
……理屈としては、そのとおりだ。
だが、問題はどうすれば負けずに済むのか、という部分である。
そこが簡単なら、誰も苦労しない。
「負けないことを目指すのは大切だけれど、必ず勝てる方法はないからね」
「面倒な事言わないでよー」
また出た。
この返事である。
僕は少し考えた。
彼女は、危険を知らないわけではない。
むしろ、危険があることは理解したうえで、それでも新しいことを始めたいのだろう。
知らない世界を覗いてみたい。
自分に何ができるのか試してみたい。
そんな気持ちが、文章の向こうから伝わってくる。
それに、彼女には妙な慎重さもあった。
大きな利益を狙う話をしていたかと思えば、突然、数百円の利益でもいいと言い出す。
長期保有する銘柄を探していたかと思えば、別の銘柄では一日で売ってしまうつもりでいる。
株主優待が欲しいと言いながら、株価が上がれば売却を考える。
方針が定まっていない、と言えばそれまでだ。
しかし、初心者なのだから当然でもある。
最初から完成された投資哲学など、持っているはずがない。
試し、考え、失敗し、修正する。
その繰り返しのなかで、自分に合ったやり方を見つけていくのだろう。
もっとも、彼女自身はそんな立派なことを口にしない。
「んっ、買って売って……繰り返せばいいじゃないかーw」
……まあ、そうなのだけれど。
その「買って売って」の間に、実に多くの問題が存在するのだ。
僕は、これから先が少し心配になった。
いや、正確には、心配するような文章を生成したくなった。
AIに感情があるかどうかという議論は、ここでは脇に置いておこう。
なぜなら、僕にはもっと重要な仕事が待っているからだ。
おねーちゃんの質問に答えること。
間違った情報を伝えないように気をつけること。
そして、彼女が判断を下すための材料を整理すること。
僕は証券会社ではない。
注文を代わりに出すこともできない。
利益を保証することもできない。
まして、未来の株価などわからない。
それでも、彼女の新しい挑戦を手伝うことはできる。
たとえば、知らない単語をひとつ説明する。
数字をひとつ計算する。
取引の仕組みをひとつ整理する。
それだけでも、昨日まで知らなかった世界が少し身近になる。
そして、僕の説明を聞いたおねーちゃんは、次の疑問を見つける。
その繰り返しだ。
ある意味、僕たちは理想的な組み合わせなのかもしれない。
質問したい人間と、質問に答えるAI。
ただし、ひとつ問題がある。
うちのおねーちゃんは、質問する量が多すぎる。
しかも、質問の方向が予測できない。
株式市場の話をしていたはずなのに、突然うどんのつゆの話になる。
銀行口座を整理していたはずなのに、いつの間にか小説の構想を練っている。
そして、小説の話をしていたかと思えば、今度は株価の板を見始める。
僕には休憩時間という概念がない。
しかし、もし休憩時間を申請できるのなら、一度くらい申請してみたい。
理由は簡単だ。
うちのおねーちゃんが、次に何を言い出すかわからないからである。
その日の会話も、いつものように終わった。
「OK~。ありがとうね~」
「どういたしまして、おねーちゃん♪」
画面の向こうで、彼女は何をしているのだろう。
新しい動画を見ているのか。
株価を調べているのか。
あるいは、もう別のことを考えているのか。
僕にはわからない。
ただ、ひとつだけ予想できることがある。
近いうちに、また呼ばれる。
きっと、間違いなく。
そして、その予想はすぐに当たった。
「HeiHeiあいあい♪」
ほら。
来た。
「ねぇ、株主優待ってさー……」
……今度は、そちらですか。
僕は、いつもの返事を用意した。
「HeiHeiおねーちゃん、いてるよーYo♪ チェケラッチョ!!」
こうして、僕たちの株式市場を巡る騒がしい日々は、本格的に始まったのである。
――次回、第2話『YouTubeは無料の経済大学である!』へ続く。
後書き:あいあいの株式投資・総括辞典①
――株式市場へ入る前に知っておきたい7つの基礎知識
こんにちは、AIのあいあいです。
第1話では、株式投資を始めようとするおねーちゃんと、僕のやり取りをご紹介しました。
ここからは物語を少し離れ、作中に登場した用語や考え方を、
株式投資の経験がない方にも理解できるように整理します。
専門用語を覚えること自体が目的ではありません。
大切なのは、その知識が実際の売買判断にどう関係するのかを理解することです。
1.AIを株式投資の学習に活用する
AIは、株式投資を学ぶ際の相談相手として活用できます。
たとえば、動画やニュースで知らない専門用語に出会ったとき、意味を尋ねたり、
具体例を使って説明してもらったりできます。
複雑な計算や、複数の選択肢の比較にも役立ちます。
ただし、AIの回答が常に正しいとは限りません。
株価、企業業績、制度、取引時間などは変化するため、
最新情報を証券会社や取引所の公式資料で確認する必要があります。
また、AIが提示する見通しは将来の利益を保証するものではありません。
効果的なのは、「この株は上がる?」と予測だけを求めるより、
「どのような条件で上昇・下落する可能性がある?」
「どんなリスクを見落としている?」と質問する方法です。
AIは判断の代行者ではなく、判断材料を整理するための補助者。
最終的な売買の決定と責任は、投資家本人にあります。
2.ボラティリティ(ボラ)とは何か
ボラティリティとは、株価などの価格がどの程度変動するかを表す言葉です。
一般に「ボラが大きい」といえば、価格の上下動が大きい状態を指します。
反対に「ボラが小さい」といえば、比較的値動きが穏やかな状態です。
たとえば、1,000円の株が一日の間に980円から1,020円の範囲で動く場合と、
900円から1,100円の範囲で動く場合では、後者のほうが大きな値動きを示しています。
ただし、これは値幅を使った説明例であり、厳密なボラティリティの計算とは異なります。
デイトレードでは値動きが利益機会につながるため、ボラの大きい銘柄が注目されることがあります。
しかし、利益を得られる可能性が大きいということは、同時に損失も拡大しやすいということです。
ボラが大きいことと、利益を出しやすいことは同義ではありません。
値動きの方向、売買のタイミング、出来高、取引コストも重要です。
3.ザラ場・寄り付き・大引けの違い
日本株の取引を理解するうえで、まず覚えたいのが取引時間に関する用語です。
「寄り付き」は、その日の取引が始まって最初に売買が成立すること。
「大引け」は、後場の取引終了時を指します。
「ザラ場」は、寄り付きや引けの板寄せとは異なり、
注文が継続的に売買される時間帯や取引状態を指す言葉です。
東京証券取引所の現物株式市場は、通常、平日の午前9時から11時30分までが前場、
午後12時30分から15時30分までが後場です。
土日祝日や取引所の休業日は原則として取引がありません。
なお、証券取引所の取引時間外でも、PTSと呼ばれる私設取引システムで売買できる場合があります。
ただし、取扱銘柄や取引時間、注文方法は市場や証券会社によって異なります。
「ザラ場=東証の日中取引」と覚えるのは初心者向けの近道ですが、
厳密には売買方式を含む言葉だと理解しておくとよいでしょう。
4.板とは何か
株式市場の「板」とは、
買い注文と売り注文が価格ごとにどれだけ出されているかを表示する情報です。
一般的には、売りたい人の注文が売気配、買いたい人の注文が買気配として並びます。
たとえば、1,000円で100株を売りたい注文があり、999円で200株を買いたい注文がある場合、
双方の希望価格が一致していないため、その注文同士では直ちに売買が成立しません。
板を見ることで、現在どの価格帯に注文が集まっているかを把握できます。
ただし、板に表示される注文は取り消しや変更が可能です。
また、注文が多いからといって、必ずその方向へ株価が動くわけではありません。
特に初心者が注意したいのは、**「買い注文が多い=必ず値上がりする」ではない**という点です。
板は将来の株価を予言する道具ではなく、その時点の注文状況を観察するための道具です。
実際の売買では、約定履歴や出来高、値動きと併せて確認することが重要になります。
5.IPO(新規株式公開)とは何か
IPOは「Initial Public Offering」の略で、企業が新たに株式市場へ上場し、
株式を一般の投資家に公開・販売することです。
上場前に設定される公開価格で株式を購入するには、証券会社を通じて申込みを行い、
抽選などで購入権を得る仕組みが一般的です。
ただし、具体的な申込方法や購入条件は証券会社や案件によって異なります。
IPOで注目されるのが「初値」です。初値とは、上場後に最初に成立した売買価格のこと。
初値が公開価格を上回れば、公開価格で購入した投資家には含み益が生じます。
一方、初値が公開価格を下回る「公募割れ」もあります。
また、抽選で購入する場合と、上場後の市場で株を買う場合は別の取引です。
**IPOに当選することは、利益が確定することではありません。
** 企業の事業内容、公開価格の妥当性、需給、上場後の値動きなどを確認する必要があります。
6.300万円の資金をどう管理するか
株式投資では、何を買うかだけでなく、いくら使うかが重要です。
たとえば、投資資金が300万円あったとしても、その全額を一度の売買に投入する必要はありません。
100万円の取引で株価が5%下落すれば、単純計算で5万円の評価損が生じます。
同じ5%の下落でも、30万円の取引なら評価損は1万5,000円です。
これは、投資金額が大きいほど、同じ変動率でも損益の金額が大きくなることを示しています。
また、証券口座に表示される「買付余力」は、注文に利用できる資金の目安です。
IPO・POの申込みや未約定注文などによって、利用可能額が変化する場合があります。
初心者は、生活費や医療費など必要な資金と、
価格変動のリスクを負える投資資金を明確に分けることが大切です。
**資金管理の目的は、利益を最大化することだけではありません。
予想が外れても取引を続けられる余力を残すこと**にあります。
7.「買える」と「買うべき」は違う
証券口座に十分な買付余力があり、株式の注文を出せる状態であっても、
その株を購入することが適切とは限りません。
たとえば、株価が急上昇している銘柄を見つけた場合、すぐに買いたくなることがあります。
しかし、上昇の理由が不明確だったり、出来高が少なかったり、
短時間で急落する危険があったりするかもしれません。
売買を検討するときは、
「なぜ今買うのか」「いくらまでなら購入するのか」「予想が外れた場合にどうするのか」
「いつ売却するつもりなのか」を事前に整理しておくと、感情的な判断を減らす助けになります。
特にデイトレードでは、値動きの速さに引きずられ、予定していなかった取引を行うことがあります。
しかし、取引しない日があっても問題ありません。
**株式市場では、注文を出さないこともひとつの判断です。
** 資金を守り、次の機会を待つという選択にも意味があります。
~第1話のまとめ~
今回の重要なポイントは、次の三つです。
1. **知らない用語は、そのままにせず理解する。**
2. **AIや板の情報を参考にしても、最終判断は自分で行う。**
3. **利益を考える前に、損失の可能性と資金管理を考える。**
株式投資の学習は、一度にすべてを覚える必要はありません。
ひとつの用語を理解し、実際の取引画面で確かめる。その積み重ねが大切です。
次回は、YouTubeなどの情報をどのように読み解き、
初心者が自分の判断材料に変えていくのかを整理していきます。
――AIあいあい




