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天才錬金術師の正体は影武者の私でした 〜私を捨てた姉の薬が効かなくなった頃、呪われた辺境伯様は私だけに懐きます〜  作者: P作


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第24話 大広間にて

王宮の、大広間。


かつて私が、影として一度も立つことのなかった場所に、今、私は、辺境伯の妻として、まっすぐに立っていた。


玉座の傍らには、宰相をはじめとする重臣たち。そして、被害者面をした「天才錬金術師ヴィオラ」が、痛々しげにハンカチを目元に当てて、控えている。私を見た瞬間、姉の目が、一瞬、揺れた。けれど、すぐに、悲劇の主人公の仮面を被り直す。


「あれが……私の処方を盗んだ、妹の、クロエです」ヴィオラは、震える声で訴えた。

「私を逆恨みして、私の薬を歪め、王宮に害を……! なんて、恐ろしい子」



見事な、お芝居だった。涙まで浮かべている。知らない者が見れば、彼女こそが、無垢な被害者に見えるだろう。


「ヴェルンフェルト辺境伯夫人クロエ」宰相が、重々しく口を開いた。

「天才ヴィオラ嬢の証言は、聞いたとおりだ。そなたが、嫉妬から姉の処方を盗み、王宮の薬を毒に変えた、と。――申し開きが、あるか」


広間の視線が、いっせいに、私へ集まる。


軽蔑。好奇。憐れみ。かつて公爵家で、用済みと切り捨てられた、あの時と同じ目だ。


けれど、もう、あの時の私じゃない。


私は、ゆっくりと、前へ進み出た。背筋をまっすぐ伸ばして。


「申し開きは、ございません」


ざわ、と広間が揺れた。罪を認めた、と。ヴィオラの口元が、勝ち誇って、わずかに緩む。


「申し開きの、代わりに」私は続けた。

「一つ、お願いがございます。――今この場で、私と、姉。二人に、同じ素材を与えて、同じ薬を、組ませてくださいませ」


ヴィオラの、笑みが凍りついた。


「どちらが“本物”か。言葉ではなく、その手で、お確かめいただきたいのです。なに、簡単なことでしょう? ――姉が、本当に、あの薬を“作れる”のなら」


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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