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天才錬金術師の正体は影武者の私でした 〜私を捨てた姉の薬が効かなくなった頃、呪われた辺境伯様は私だけに懐きます〜  作者: P作
第4章「効かない薬」

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第22話 ともに王都へ

「ならば、私も行く」


ディートハルトが、そう言い出したのは、出立の前夜だった。


「何を、おっしゃるんです」私は驚いた。

「あなたは、呪いを抱えた体です。王都までの長旅は、無理が――」


「お前の薬がある」彼は、平然と言った。

「毎日、お前が組んでくれるのだろう。なら、問題ない」


「そういうことでは……」


「クロエ」彼は、私の言葉を遮った。その目は、いつになく、強い光を宿していた。

「お前は、私の領地を救った。村の子らを救った。何年も伏せっていた私を、外へ連れ出した。――その恩人を、たった一人で、狼の檻へ送り出せると思うか」


胸の奥が、熱くなった。


「それに」彼は、ふと、声を和らげた。

「辺境伯が、妻の潔白を信じて同行する。それだけで、王宮の連中は、お前を“ただの薬師くずれ”とは、扱えなくなる。私の名は、こういう時のために、使うものだ」


理屈でも、私を守ろうとしてくれている。


私は、こみ上げるものを、ぐっと飲み込んだ。


「……ありがとう、ございます」


馬車は、翌朝、王都へ向けて発った。


辺境から王都へ。かつて私が、捨てられて下ってきた道を、今度は、自分の足で証明しに、上っていく。あの時は、ひとりだった。けれど今は、隣に、私を信じてくれる人がいる。


道中、私は、ずっと考えていた。


王都に着く前に、彼に、話さなければならないことがある。ずっと、伏せてきたこと。半分しか、渡してこなかった真実。


――私が、ただの薬師ではないこと。あの「天才ヴィオラの薬」を、ぜんぶ作っていたのが、私だということ。


それを話さずに王都の検証に臨めば、彼は、何も知らされぬまま、私の戦いに巻き込まれる。それは、フェアじゃない。


馬車が、王都まであと一日、という宿場に着いた夜。

私は、ついに、覚悟を決めた。


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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