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天才錬金術師の正体は影武者の私でした 〜私を捨てた姉の薬が効かなくなった頃、呪われた辺境伯様は私だけに懐きます〜  作者: P作


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第18話 半分の真実

「な……何かの、まやかしだ!」


ファルクが、声を裏返した。


「そんな、その辺の草で、宮廷の薬を超えるなど、あり得ん! 何か、仕掛けが――」


「仕掛けなど、ありません」私は静かに言った。

「あなたの薬が、効かなかっただけです。いえ、効かないどころか、害になるものだった。それを、この広間の皆さんが、ご覧になりました」


ファルクは、ぐっと言葉に詰まった。居並ぶヴェルンフェルトの家臣たちの目が、今や、彼に冷たく注がれている。


「約束です」私は、一歩、彼に近づいた。

「私の薬が勝ったら、正直に話していただく。――その薬に何が入っていたのか。誰の差し金なのか」


「……知らん。私は、ただ、命じられて運んだだけだ」


「誰に」


ファルクは、口をつぐんだ。けれど、その目が、一瞬、怯えたように泳いだ。言えば、自分が消される。そういう類の恐れだった。


私は、それ以上は追わなかった。今、この場で吐かせるのは、難しい。それに――追い詰めすぎれば、この男は、何も知らぬふりで王都へ逃げ帰り、警戒だけを持ち帰る。それは、得策じゃない。


「もう、結構です」私は引いた。

「お引き取りください。そして、王都へ、お伝えになって。――ヴェルンフェルトの薬師は、“見える”と」


ファルクは、屈辱に顔を歪めながら、それでも、最後に一つ、問わずにいられなかったらしい。


「貴様……何者だ。ただの、地味な妹では、なかったのか」


私は、答えなかった。


ただ、にっこりと微笑んで、礼をしただけだ。


正体を明かすのは、まだ早い。

「天才ヴィオラの薬を作っていたのは私だ」――その切り札は、いちばん効く場所で、いちばん効く時に、切る。今ではない。


けれど、心の中では、はっきりと呟いていた。


(何者か、ですって? ……あなたが今日、地に這わせた“天才の薬”を、ぜんぶ作っていた、ただの“予備”ですよ。お姉様の)


最後まで読んでいただきありがとうございます。

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