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勇者召喚されたはずの侍二人、なぜか魔王軍と竜王軍の頂点になりました  作者: Dai


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第六章 勇者

荒野。

無数の屍の上に、一人の男が立っていた。

白い鎧。

白銀の聖剣。

全身から溢れ出す膨大な魔力。

男は満足そうに周囲を見回した。

「まさか、本当にここまでやってくれるとはな。」

影虎は男を見据える。

「誰だ。」

白虎も刀を構えたまま睨む。

「知らんな。」

男は笑った。

「俺か?」

聖剣を肩に担ぐ。

「勇者だよ。」

その言葉に、周囲の空気が変わった。

勇者。

かつて世界を救うはずだった英雄。

魔王と竜王との戦いで命を落としたと伝えられている男。

影虎。

「勇者?」

白虎。

「確か死んだはずではなかったか。」

勇者は吹き出した。

「死んだ?」

「誰がそんなことを言った?」

「俺は死んだことにしただけだ。」

影虎と白虎は黙って聞いている。

勇者は続けた。

「この俺様が魔王や竜王ごときに負けるわけがないだろう。」

「少し傷は負ったがな。」

「だから利用したのさ。」

白虎。

「利用した?」

勇者はニヤリと笑う。

「そうだ。」

「俺は世界を絶望させた。」

「英雄が敗北した。」

「勇者が死んだ。」

「そう思わせた。」

勇者は両手を広げる。

「人は絶望する。」

「救いを求める。」

「そして――」

「人は絶望の後に現れた英雄を神と呼ぶ。」

「魔王も竜王も最初から俺の駒だった。」

「世界を救うだけでは足りん。」

「俺は世界に崇拝される存在になる。」

影虎の目が細くなる。

勇者は止まらない。

「魔王も竜王も俺の力に怯えていた。」

「だから言うことを聞いた。」

「村を襲え。」

「街を焼け。」

「人々を苦しめろ。」

「全部やらせた。」

白虎。

「外道だな。」

影虎。

「同感だ。」

勇者は鼻で笑う。

「何とでも言え。」

「所詮あいつらも世界征服を企んでいたクズだ。」

「クズを利用して何が悪い?」

「俺は世界を救うんだぞ?」

「俺が神になるためにな。」

荒野に静寂が落ちる。

白虎が一歩前へ出た。

「悪党にも信念はある。」

「だが貴様には何もない。」

「力しか見えておらん。」

勇者。

「は?」

白虎。

「だから貴様は気に入らん。」

「俺が斬る。」

勇者の額に青筋が浮かんだ。

その時。

白虎が影虎を見る。

「影虎。」

影虎。

「なんだ。」

白虎。

「勝負は一旦預けだ。」

影虎は少しだけ目を見開く。

白虎。

「今は共闘する。」

数秒の沈黙。

そして。

影虎は小さく笑った。

白虎。

「何がおかしい。」

影虎。

「お前からそんな言葉が出るとは思わなかった。」

白虎。

「気に入らんだけだ。」

影虎。

「そうか。」

影虎は刀を抜く。

「だが目的は同じだ。」

「斬るか。」

白虎も刀を構えた。

「ああ。」

二人の視線が勇者へ向けられる。

勇者は不快そうに眉をひそめた。

「本気で俺様と戦うつもりか?」

「あの魔王と竜王が怯えた俺だぞ?」

「勇者である俺だぞ?」

影虎。

「知らん。」

白虎。

「興味ない。」

勇者。

「お前ら……。」

二人が同時に踏み出した。

荒野が震える。

勇者の表情から初めて笑みが消えた。

――続く。

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