第四章 王の終焉
竜王城。
玉座の間。
巨大な黄金竜が静かに立ち上がる。
その巨体だけで床が軋んだ。
竜王は影虎を見下ろす。
「名を聞こう。」
影虎は刀に手を添えた。
「影虎。」
「そうか。」
竜王は頷く。
「覚えておこう。」
次の瞬間。
轟音。
竜王の姿が消えた。
巨大な爪が影虎へ襲いかかる。
だが。
影虎も同時に動いていた。
金属音。
火花が散る。
刀と爪がぶつかり合う。
竜王は目を見開いた。
「ほう。」
影虎。
「速いな。」
竜王は笑った。
「勇者以来だ。」
再び激突する。
爪。
牙。
尾。
ブレス。
竜王の攻撃は城そのものを破壊していく。
壁が砕ける。
柱が崩れる。
天井が吹き飛ぶ。
だが。
影虎は避ける。
受け流す。
そして斬る。
鱗が舞う。
竜王の身体に傷が増えていく。
「面白い!」
竜王は咆哮した。
「実に面白いぞ人間!」
巨大な炎が放たれる。
全てを焼き尽くす灼熱のブレス。
影虎は真正面から駆けた。
炎の中を突き進む。
竜王の目の前へ。
そして。
一閃。
竜王の胸から鮮血が吹き出した。
勇者との戦いで負った古傷。
その上から斬られていた。
竜王が膝をつく。
「見抜いたか……。」
影虎。
「そこだけ動きが鈍かった。」
竜王は笑った。
「なるほど。」
「やはり貴様は強い。」
立ち上がる。
最後の力を振り絞る。
「だが!」
「我は竜王!」
「この程度で終われるものかぁぁぁ!」
黄金の魔力が爆発する。
城全体が揺れた。
しかし。
影虎は静かだった。
「見事だ。」
刀を構える。
「だからこそ。」
「俺が斬る。」
一瞬だった。
竜王の首が宙を舞う。
巨大な身体が崩れ落ちる。
静寂。
そして。
竜人たちが膝をついた。
「竜王様が……。」
「敗れた……。」
誰かが呟く。
「新たな王だ……。」
その声が広がる。
「竜王……いや、竜神様だ!」
「竜神様だぁぁぁ!」
歓声が城を揺らした。
影虎。
「竜神?」
意味が分からなかった。
ーー影虎は、竜神になっていた。
同じ頃。
魔王城。
轟音が響く。
玉座の間は既に半壊していた。
魔王の拳が地面を砕く。
白虎は笑いながら飛び退く。
「良いな。」
「貴様。」
魔王も笑う。
「人間にしてはな。」
二人は同時に踏み込んだ。
激突。
衝撃で壁が吹き飛ぶ。
魔王の拳。
白虎の刀。
互いに譲らない。
魔王は笑った。
「勇者以来だ!」
「これほど楽しめる戦いは!」
白虎。
「そうか。」
次の瞬間。
白虎の斬撃が魔王の肩を裂いた。
魔王は驚く。
見えていた。
反応もした。
それでも斬られた。
「貴様……!」
白虎は笑う。
「遅い。」
魔王の表情が変わる。
本気だった。
魔力が溢れる。
黒い炎が城を覆う。
「人間ぁぁぁ!」
魔王が吠えた。
白虎は笑う。
「それだ。」
「その顔を待っていた。」
戦いはさらに激しくなる。
数分後。
魔王の身体には無数の傷が刻まれていた。
そして。
勇者との戦いで受けた腹の古傷から血が溢れ始める。
魔王は舌打ちした。
「傷が……!」
白虎は見逃さない。
「終わりだ。」
一閃。
静寂。
魔王の首が宙を舞った。
魔王は最後まで笑っていた。
「見事だ……。」
そのまま崩れ落ちる。
静まり返る玉座の間。
魔族たちは震えていた。
誰も動けない。
そして。
白虎は玉座へ座る。
深く腰掛ける。
数秒。
頷く。
「なるほど。」
「悪くない。」
魔族たち。
「……。」
「新しい魔王様だぁぁぁ!」
「魔王様ぁぁぁ!」
歓声が響き渡った。
白虎は腕を組む。
「静かにしろ。」
歓声は一瞬で止まった。
「うるさい。」
魔族たち。
「申し訳ありません!」
ーー白虎は、魔王になっていた。
その頃。
村。
一匹の伝書バットが飛んできた。
村長は手紙を受け取る。
読む。
固まる。
村人が首を傾げた。
「どうしました?」
村長の手が震える。
「白い方が……。」
「魔王軍の王になった……。」
村人。
「え?」
村長。
「黒い方が……。」
「竜王軍の王になった……。」
村人。
「え?」
数秒の沈黙。
そして。
村長。
「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!?」
叫び声が村中に響き渡った。
――続く。




