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第2話 鉄の人形

「古代人は魔道具の人形に命を吹き込んだという記述がある」

「本当ですか!!」カイルが食堂の席から立ち上がった。琥珀色の目が輝いていた。

カイルたちはラザロに定期的に勉強を教わっていた。場所がないので食堂が教室だった。大きい食卓用テーブルを机代わりに使っていた。

「ゴーレムとは別なの?」エレナが聞いた。

「ゴーレムとは違う。ゴーレムは命令通りに動く土系魔法だな。魔道人形は命が吹き込まれた人形らしい」

「らしい?」

「俺も見たことはない」

「え」

「古代人は、鉄の人形に命を吹き込んだ。禁忌魔法書の記述にはそう書いてある」

「鉄!」

「自分で考えて、判断して、動いたそうだ」

「ぬぅおおお~!」カイルはそれを聞いて握りこぶしをつくりさらに目を輝かせた。

「ただ、高純度の魔石を動力源にしていたらしい。魔石さえ入れ替えれば半永久的に動いたそうだ」

カイルは立ちあがったまま、鼻息をふかし、もう話を続けろと言わんばかりの顔をしていた。

「なんで、禁忌魔法になっているの?」エレナが聞いた。

「正確な記述はないが、大昔に魔道人形の大きな暴走があったらしい。その後に禁忌魔法になってるから、危険だったてことだろう。いまでは命を吹き込ませる魔術式は残ってないみたいだな」

「えぇぇ……」カイルはそれを聞いて、ぺたんと席に崩れ落ちた。

「のどが渇いた」ラザロは立ち上がり、隣部屋の食物庫へいき、コップをもってもどったきた。それをグイっと飲み干し「フゥィー」といった。

「それお酒でしょ」

「薬だよ」ラザロはいった。


「剣の道は蛇なり」木剣を構えて向かい合う片腕のベルトは言った。

「はぁっ……?」カイルは首を傾けた。

パコーン! カイルは頭を押さえていた。

「いててて……突然なにするんですか」

「相変わらず上の空だな。何があった?」

「は、はい、魔道具です……」

「ハァ……またそれか、エレナからも程々にと言われとるだろ」

「いや、それがすごいんですよ、ベルト。太古の昔、鉄の魔道人形が動く技術があったんです」こぶしを握り上げた。

「ハイ、隙あり~」パコーンと頭の音がなる

「ぎゃぁあ!!」頭を抱えてその場にしゃがみ込んだ。

「今日も快音、相変わらずいい音だな。動く鉄人形か……動かないものなら見たことあるぞ」

「本当すっか! どこっすか!!」カイルは薄ら笑いの表情で立ち上がった。

「どこで覚えたんだ、その話し方」パコーン!頭を叩く。

「ひぃぎゃぁあ!!」再びしゃがみ込んだ。

「いててて……ベルト、どこで見たんです……」

「騎士団にいたころ、見たことがある。騎士団施設の中でも最深部に置いてあったな。大昔は動いていたらしい……」ベルトは、思い出そうとしているようだった。

「鎧型をしたおそろしく巨大な鉄の塊だったな。あんなものが動いたとしたら、ドラゴンすら倒せるかもしれない……」

「騎士団施設というとノルダールの騎士団ですか?」再びカイルは目を輝かせた。

「あぁ、そうなるな。地下施設に隠すように置いてあった」

「隠すように、ですか?」

「上級騎士以上しか知らない機密事項だ」

――それ、話していいんだろうか?

「ただ、一度たりとも動いたことはなかったな。あれが動くとしたら、いろんな意味で危ない兵器だな」

――まあ、いいか。「元」騎士だし。

「いろんな意味でってどういうこと?」

「ん……? 何というか、体の中心に恐ろしく大きなコアとなる魔石が入っていて、あれが動いたとして暴発でもしたら、それこそ、町の一つや二つ、いや、一都市ぐらい簡単に吹き飛ぶんじゃないかな……」剣を地面に突き刺していたベルトは顎髭をなでながら言った。

「ハイ、隙あり~」パコーン

「ぐぅぎゃぁあ……」

「う、うぅ……あ! あそこの木に酒瓶がぶら下がってる」指さしながらカイルは言った。

「何っ!?」ベルトは振り返った。

背後からカイルが襲い掛かった。ボコボコに殴り掛かっている間、ベルトは言った

「お、おまえ、背後からとは卑怯だぞ~」ベルトは芝生に倒れた。


酒瓶が吊るしてあると噓ぶいた木の根元を背にカイルは休んでいた。何でここにはアル中ばかり集まるのか!?――カイルは頭をさすりながら考えていた。初春のやさしい風が軽やかにカイルをつつみこみ癒した。

「東の山の岩の奥~、瘴気にまみれて光る石~、呼べよ龍の言霊、光る石~♪」テオが昨年孤児院にきたリリィに歌い聞かせていた。

「ひ・か・る、い・し?」リリィが反復した

「ひかるいしは、きれいなお石のこと?」リリィが聞く

「うん、うん、じゃな、じゃな♪」テオが意味不明に答えた。

テオは昔、一人で霧閻山脈に入り強い魔素の気を浴びたらしい。なんとか生き延びたが気がふれた。髪は、そのときから白くなったままだった。

「ラザロがね。きれいなお石をみつけたら、わたしなさいっていってたの。しんせー?なおさけっていうラザロののみものになるんだって」

――……ラザロお前……

それにしても、東の岩山の光る石か……

――なにかあるのかな?


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