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転移した先

カクヨム、アルファポリスで同時掲載

大幅に書き直しました。展開や登場人物に色々変更があります。読んだことある方もぜひ読み直して下さい。

※ Xにイメージイラストがあります

 先鋒であるタシノキ達が魔法陣に集結した。この先にはおそらく標的である幹部達がいる。手下もそれなりの規模を率いているはずだ。


「俺がいない間の指揮はお前に任す」


「気をつけてな」


 シユを始め残された仲間はタシノキ達を見守るように魔法陣を取り囲んだ。


「始めるぞ」


 カチルが魔石に手をかざした。魔石が反応するとそれに呼応するように魔法陣が輝き出した。


「眩しい!」


 魔法陣からは強烈な光が放たれ一同を包んだ。あまりの眩しさに周囲の仲間達は両腕で目を塞いだ。しばらくするとそれは収まり同時に一行の姿も消えていた。



 瞼を通過する強烈な光がようやく収まった。ユリィがゆっくりと瞼を開くと部屋の風景が変わっている。視線を落とすと足元には先程と同じ魔法陣が描かれている。転移は成功したようだ。


−みんなは…、アヤンもちゃんといるな−


 仲間が全員無事に揃っていた事にユリィは安心した。が、その直後見知らぬ男達の姿が目に入って来た。


「何だ、コイツら?」


 この男を含め全員見るからに人相の悪い。


「追加が来るなんて聞いていないぞ」


「待て、あの魔導士はこっちにいるぞ」


「じゃあコイツらはどうやって来たんだ!?」


 男達は元からこの部屋にいたようで、突然現れたユリィ達を見て騒ぎになっていた。


−コイツらも魔法陣を使っていたのか−


 推測は当たっていた。この男達はビーツ団で間違いない。根城で見つけられなかった幹部連中もここにいると考えてよい。


−魔導士がいるって言っていたな−


 そちらも推測通りだった。だがそれに満足している暇はない。


「仲間にコイツらいたか?」


「いや、誰も知らねえ」


「それじゃあ潜り込んで来たのか!」


 ユリィ達を部外者だと判断すると男達は身構えた。


「どうやら仲間を呼びに戻る余裕はないようだ」


 期待はしていなかったが進んだ展開は不利な方向だった。


「なんかあったのか?」


 扉が開くと新たに数人の男が入って来た。


「ちょうどいい時に来てくれやした!妙な奴らが魔法陣から現れて」


「おそらくあの魔導士が手引きしたのかと」


 報告を受けたのはタシノキより一回り大きい巨漢だった。


「あの隠し部屋を見つけたのか」


「そのようです」


「奴らは冒険者のようですぜ」


「つまり賞金欲しさに乗り込んで来たのか」


 部下が臨戦体制に入る中その大男はある一人を凝視していた。


「そこのお前…タシノキか?」


 自身の名前を呼ばれたタシノキは口角を上げ応えた。


「やっぱりお前か。覚えていてくれたのは光栄だ」


「ほお…、お前も俺のことを忘れてはいなかったのか」


 話の内容から二人は面識があるようだ。その雰囲気からは良好な関係ではない事が伝わる。


「おい、あのでかいヤツと会ったことがあるのか?」


「ヤツはシゲラム。過去に俺が取り逃がした男だ」


「逃した?」


 数年前に国境付近を荒らし回っていた盗賊団がいた。その討伐及び団長の捕縛クエストを受けたタシノキは仲間と共にアジトへと乗り込んだ。手下を退け一行が突き進むとシゲラムが立ちはだかって来た。


「ヤツは自身が囮となっている間に団長に逃げるよう提案した。そして俺に向かってきた」


 タシノキと対峙したシゲラムは突然サシでの戦いを申し出てきた。罠の可能性はあったがタシノキ一行が有利で簡単には覆されない状況だったため勝負に応じた。仲間は反対したがタシノキは聞き入れず手を出さないよう厳命した。


「返り討ちにしてやったのか?」


「激しく撃ち合った。だがそれには違和感があった」


「違和感だと?」


「明らかに勝負をつける気がなかった。当初は積極的に攻めに出ていたが途中からは防御に徹するようになっていた。怖気ついた様子はない。終始好戦的な態度をとっていた」


「妙だな」


「おそらく時間稼ぎだ。しばらくやり合うと奴は仲間と共に逃げ出した」


「それじゃあ団長を逃すのが目的だったのか?」


「あの時はそう思った」


「あの時は?」


「奴を追ったら先に逃げていたはずの団長が罠にかかっていた。奴は助ける素振りすらもせず通り過ぎて行った」


「逃す時間を与えておきながら見捨てるのはおかしい。だとしたらそっちが本来の目的か」


「俺との一騎打ちを申し出たのは団長を陥れるための茶番。俺はそう考えている」


 姿をくらました後シゲラムは新たな盗賊団を立ち上げていた。仲間を増やし規模は前以上に膨れ上がった。やがてビーツ団の傘下に入り幹部として迎え入れられた。


「お前の考えはだいたい合っている」


 その推測を誤魔化すことはせずシゲラムは自ら認めてきた。


「何だ、聞こえていたのか」


「奴は団長の器じゃなかった。だから同じ考えを持つ仲間と共に奴を始末して俺が仕切ろうと画策していた。その矢先お前が乗り込んできた。あとはお前の考察通りだ。奴のために罠を仕掛けた通路から逃げるように指示をした。そうしたらまんまと引っかかりやがった」


「ってことは俺のおかげで手を汚さなくて済んだのか」


 見限り乗っ取る。義理もかけらもない話だが悪党の界隈ではよくある話だ。


「お前のおかげだな。それに加えて旗揚げもできた」


「じゃあ俺は恩人ってわけか」


 そうは言ったがタシノキの本心ではない。見る限りタシノキへの敬意はない。感謝などしていないシゲラムは手下らと共に臨戦体勢に入った。冒険者一行も反射的に構える。


「アヤン、後に下がっておいて」


「あっ、はい」


 これから始まる戦いに備えてユリィはアヤンを背後に隠すと部屋にいる敵の数を確認した。


−これ位の数ならアヤンの加護に頼るまでもないか…−


 野盗の方が数では勝っているが脅威となるのはシゲラムぐらい。それに加えこの部屋は大して広くないため加護を使った派手な攻撃は控えるべきだと分析した。


「ちょっと待ってくれ」


 おもむろにタシノキは武器を下ろしながらそう言いながら一行を制止した。


「どうした、タシノキ」


「奴と勝負をつけたい」


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