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37話 武器の完成

あれから30日ほど鍛冶に没頭している。俺とセルブロの2人は鍛冶のスキル上げに励んでいた。”賢者の瞳”は本当におかしい能力で、素材をしっかり見れば、どうすることが適切なのかを教えてくれた。俺の片手剣とアイラの斧槍を二つの神鉄で作り上げるため、鍛冶スキルを上げ、補助となる素材を集め、炉や鍛えるための槌を作り出し、となかなか忙しい毎日だった。


ただその分俺たちのスキルレベルはがんがん上昇し、今では2人とも8だ。俺が保持している中で一番高いスキルになってしまった。また材料を加熱するための火魔法が6、途中から参戦してくれたアイラとオリヴィアにいたっては8だ。魔法適正の差が憎い。



今日はその神鉄をついに俺たちの武器にする日だ。神鉄・闇を俺の武器に、神鉄・竜をアイラの武器にする予定でいる。武器全体をオリハルコンにすることは分量的に不可能なので足りないところはアダマンタイトで補う。デザインは皆でああでもない、こうでもないと考え、絵心のあるティナ(エルフ女性)が絵に起こしてくれた。


さて、この武器を作り始めるのにはとても大きな問題があった。武器として成形するだけの技術はすでにあったのだが、オリハルコンを溶かす手段が用意出来なかった。


眼によればオリハルコンが柔らかくなるのに必要な温度は6000℃。それだけの温度に耐えられる炉がないし、低いレベルの火魔法では作り出せなかった。そのため火魔法と空間魔法のレベルをひたすら上げ、柔らかくするだけの温度と熱せる場所を確保した。


「じゃあ、いきますね」


「空間魔法のほうはOKだ。始めてくれ」


俺とオリヴィアの二重構造で台を守り、それの上でアイラが加熱するのだ。


「その調子であげてくれ。今の倍ぐらいだ」


「はい」


ちなみに俺の眼には温度が見えているので微調整はしやすい。


「いいぞ。ストップだ」


アイラが熱しているオリハルコンがやっと柔らかくなった。ここからは鍛冶スキルの出番だ。俺とセルブロがミスリルで作った槌でたたいて形を変えていく。ガンガンという音が延々と続く。柔らかくなったといってもなかなか形が変わってくれない。もっと温度を上げるべきかとも思うのだが、眼がこの温度が最適といっている以上このままいくしかない。


3時間ほどかかってやっと縦長の棒になった。まだ刃がない状態だ。オリヴィアは空間魔法と温度の維持の補助、アイラはメイン火力として過熱し続けている。俺は空間魔法を維持した上で3時間たたきっぱなしだ。3人ともとっくに熱耐性は取得しているのに、疲労から汗びっしょりだ。


「ふー。想像より遥かに時間がかかってすまんな。もうしばらく耐えてくれ」


「MPはともかく集中しつづけるのが辛いですが、頑張ります」


「私はオリヴィアさんほどMPがないのでそろそろ危ない気がします」


アイラのMPは残り3割ほど。あと1時間が限度といったところだろう。


「なるべく急ぐよ」


そこからまた1時間弱、俺たちは槌を振り続けた。アイラのMPがもうそろそろというところでやっと、やっと完成した。


「もういいぞ、今日はこれで終わりだ」


俺の宣言と同時にアイラが崩れ落ちる。


「おわっ」


あわてて支えるも、どうやら完全に気絶しているようだ。MPもほとんど残っていない。

限界まで無理をさせてしまったようだ。


「セルブロもオリヴィアもお疲れ様。大丈夫か?」


「ええ。私もかなり眠いですがなんとか大丈夫です」


「私はこの中では一番楽させてもらってますから。腕がパンパンですがやりきった喜びのほうが大きいですね」


オリヴィアのMPはまだまだ余裕がある。本当に異常な数値だ。

アイラをベットに運び俺も寝ることにする。


結局刃の部分を作るだけで今日は終わってしまった。MPも集中力もこれでもう限界だ。柄を作ったり装飾したりするのはまた明日だな。


「夜ご飯が出来たら起こしてくれ。それじゃあおやすみ」


メイドに後を頼んでベットに撃沈した。





晩御飯だと起こされたときには外は真っ暗になっていた。何時間寝れたのかは分からないが、大分疲労も取れたようだ。アイラも俺より先に起きており、大分復調したようだ。


「無理させてすまなかった。おかげでなんとか刃の部分は出来上がったよ」


「いえ、運んでくださったそうでありがとうございます。残りの加工はアダマンタイトですから今日に比べれば楽なものですね」


「そうだな。まだアイラの武器があるからもう一回あるけど」


「お手数おかけしますがよろしくお願いします」


晩ご飯は豚肉?のような肉と野菜の炒め物、パンにシチューだ。この町は多くの戦力を抱えているため物流も良く、野菜などがしっかりと手に入るのがいい。安い宿に泊まっていた時では野菜がでてきても少量で、きれっぱしといったほうがいいようなものも多かったからな。




翌日、俺の剣は完成した。余計な装飾や反りなどはなく、ただまっすぐな直剣である。

刃の色は真っ黒でこれは”神鉄・闇”の色そのままだ。

異常に硬く、鋭いのが特徴で、皮の鞘に入れようとしたら自重で皮をつきぬけ、地面に刺さった。もうちょっとで俺の脚を切り飛ばしてしまうところだった。怖い。


普通の素材では収めることも出来ないので、急遽アダマンタイトで鞘を作る羽目になる。今日は昼前に終わって休憩の予定だったのに、予想外の作業で夕方までかかってしまった。



試し切りということでアダマンタイトの欠片を切ってみる。


「よーし、いくぞ。ほっ」


欠片を放り投げ力をこめずに剣をあてる。


キンッ


ゆっくりした振りだったにもかかわらず欠片は半分になっていた。


「すごい切れ味だな。アダマンタイトが半分とは・・・」


「おめでとうございます。ご主人様。お願いですから私に向かってそれ振らないでくださいね」


「人を殺人鬼みたいに言うな!」


「ケンさん、その武器はここぞというときか人目のないとき以外はしまっておきましょう」


なんですと。作ったばかりでお蔵入りが決定!?


「その武器は強すぎます。知れれば狙ってくるものも後を絶たないでしょう。また万が一余人の手に渡ればよくないことになるのは明白です」


「むむむ、しょうがない。この切れ味だとあたりさえすれば竜でも切れそうだもんな」


そんなわけで俺たちの主武器は相変わらず鋼鉄の剣ということになった。まあやばくなれば俺のかばんからいつでも取り出せるし一つの安心材料にはなるだろう。


同じく二日かけてアイラの斧槍も作った。ハルバードといわれる形かな?たぶん。俺の剣と同じく槍と斧の刃の部分だけが”神鉄・竜で”他はアダマンタイトでできている。アイラとの親和性でもあるのか、アイラが持つと刃の部分が真っ赤に燃え上がり、常時火魔法を宿しているような状態だ。眼によれば、これも竜の因子の働きらしい。

魔法的な要素から考えるだけでも、竜族というのは人間などの生物とは根本的に存在の格が違いそうだ。


ちなみに一日目の最後はアイラはまた気絶した。それだけ火魔法に注ぐ集中力と魔力がすごいものなのだろう。もう少しアイラのレベルが上がって、MPが増えれば解決しそうだが、今はしょうがないことだろう。


それとアイラの武器もとりあえず封印ということになった。俺の武器よりなお目立つしね。


武器の習熟と金稼ぎを兼ねて、森の奥に行ってみようかな。

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