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25話 ゴーレム

「できればオリハルコンの武器が欲しいですね」


「そうだな。ただ扱える職人が帝都にしかいないってのがネックだな」


一般的な話で言えばミスリルの武器が最高峰だそうだ。そのため有名な都市部ならミスリルの武器を打てる人間は存在する。


ただしミスリルの上にアダマンタイト、オリハルコンというより上質な素材がある。希少すぎて扱えるのは本当に一握りの人間のみで、武器としての存在も数えるほどらしい。



この話を聞いていて俺の頭には?マークがいっぱいだった。俺たちはペルラの町の武器屋のおじさんにアダマンタイトやオリハルコンの武器があると聞いてここに来たのだ。

扱える人間が帝都にしかいないのでは話が違う。


ギルドマスターにそのことを聞いてみたところガセネタだった。というか情報が非常に古かった。

ここのダンジョンが一攫千金を期待された頃にそういうことができる鍛冶師は実際にいた。

しかし、あまりお金にならず、攻略の進まないこのダンジョンは最近では割と廃れてきているのだ。

今では錬金術師御用達の薬草系素材収集場所となっているらしい。


それでも一部の夢見る冒険者が地道に進み続けており、国も一定の予算をつけて支援はしているもののそれも危うくなってきている。

ミスリル発見の報告はそれを打開してくれるのではないか、とギルドマスターもうれしそうだった。


いや、俺たちにとってはあんまりうれしくないニュースだったわ!

ダンジョンを100層までもぐり続ければその素材達にお目にかかる機会も普通にありそうだが、武器にしてくれる人がいるかはまた別の問題になりそうだ。正直アイラを連れて帝都には行きたくない。獣人ということでどんな悪意が振りまかれるやら。ミスリル武器での妥協も必要かもしれないな。




次の日の俺達のダンジョン攻略も順調だ。新たな魔物が出てきたところで俺たちを止める要因にはなりえなかった。そしてついに攻略済みの最高階層29階にたどり着いたのだ。



ここで一つ、攻略済みといいながら29階には一度しか倒せていないボスのような存在がいる。

実際にはボスでもなんでもないらしいが。


それが砂でできたゴーレムだ。

こいつは、物理攻撃が無効。急に砂が盛り上がってゴーレムの形をとり、攻撃時は硬く固まる。

防御時は砂に戻りさらさらと受け流すというめんどくさい能力を持っている。

必死になって砂粒を切り飛ばしたところでまたくっつくだけで何も起こらず、ゴーレムであるから痛痒を感じることもない。

今まで挑んだものたちは攻撃するたびに武器を飲み込まれ、無防備になったところを叩き潰されたという恐ろしい敵だ。


一度倒したというのも偶然の産物で、武器を突き刺したところにたまたま核があってゴーレムは砂に戻ったということだ。


このゴーレムの攻略が進まない大きな要因としてトライ&エラーができないという点がある。

普通(・・)のゴーレムであれば攻撃を仕掛け通じなかったならば逃げればいい。足場が砂ということで逃げ切れない人間もいるかもしれないが、初見でもない限りここまで進んできたパーティが壊滅するということにはならないだろう。


しかしこいつの体は砂。そして周り中も砂。つまり核さえ移動できればこの29階のどこにでも追い続けてくるのだ。

とれる体の大きさに限界があるため(2mぐらいのサイズらしい)実際にはどこにも逃げれないなんてことにはならないが、逃げ出すことにもかなりの労力を要するらしい。

そんな敵にわざわざ挑むパーティはなかなかなく、29階は駆け抜けるしか今のところ方法はないようだ。


さて俺たちが初めてこの町に来た時の賑わいはこの29層を乗り越えたパーティがいたからだ。と言っても次の階まで全力疾走するだけらしいが。ようはゴールがどこにあるかを発見したということだ。


30層のボスは砂のゴーレム。ただし下のフィールドが砂ではないため、ボス部屋からの脱出は容易。

最初の体をなんとかできれば勝てそうだとのこと。初挑戦したパーティでは実力が足らないため双龍に攻略を期待したいそうだ。




俺たちはそんな29層のゴーレムに挑むつもりだ。魔法で何とかなりそうな気がするし、最悪走って逃げればいい。普通の冒険者が逃げられなくても俺たちのスピードだったら関係ないからね。


というわけでのんびり歩いていると砂ゴーレムが出てきた。人の迷惑にならないようにゴールとは離れたところだ。とりあえず色々やってみよう!


「ハアッ」


俺が繰り出す全力パンチ!身体強化までした本気の一撃だ。


どっぱーんと水に高いところから飛び込んだような音がして、砂ゴーレムの上半身が消滅した。

しばらく待ってみたが、奴は再起動してこなかった。あれ?


「死んだ?」


「のようですね。物理無効といってもまあ普通の人間(・・)の範囲で言えば、でしたね」


「人間にずいぶん力が入ってない?俺も人間だよ?」


「ははは、面白い冗談ですね」


これが本当に奴隷ってやつなのだろうか。ひどくない?


どうやら上半身に核があったらしく体ごと粉砕したようだ。気を取り直して次だ。


次は水魔法だ。土タイプといえば水攻撃だよね!


ただ俺たちの水魔法は正直ジョウロレベルだ。特にアイラの水魔法は適正も低いからかコップの水をぶちまけたぐらいしか出ない。俺はもう少し出るよ!ペットボトルぐらいかな。ただMPが無駄に多いので延々と二人してまき続ける。


濡れたところが固まるものの、下の砂と次々入れ替えられて意味がなかった。

10分ほど粘ってみたが効果なしといっていいだろう。もっと大量の水を出せるようになったらまた試してみたい。それとこの戦法はどっちかといえば30層のボスに有効な気がする。

あっちは入れ替える砂がないから固まれば他の冒険者でも倒せるだろう。


火と風魔法は予想通り効果なし。意外なことに効果が見られたのは土魔法だ。


まず奴の立っている場所の周りを固めてしまう。次に足を固め腰を固めと繰り返していき、最後には頭まで石のようにしてしまうのだ。後は動けないゴーレムを壊していき、最終的に核を逃がさないで壊せばOKだ。MPが必要なごり押し戦法なので土魔法が使える魔法使いの人数が必要だが、他の冒険者でも倒せるだろう。


あとこれは蛇足だが、俺の『賢者の瞳』の前ではゴーレムの核の場所は丸分かりだった。透けるような感じで見えてしまうのだ。ゴーレムの攻撃をかわしざま核を引っこ抜くなんてこともできた。なので丸々無事な核を5個ほど入手してみた。研究用かなんかでギルドや国が買い取ってくれないかな?


ただこれ砂の上に落とすと再度ゴーレムになるので要注意である。




無事29層の魔物?も攻略した俺たちはその足で30層のボス部屋へ。

情報どおり砂のゴーレムだ。これまた情報どおり戦う場所が石造りの床なのであいつの逃げ道はなさそうだ。


結論から言えば、俺たちが試したすべての攻略方法?が有効だった。

パンチでも即死だったし、水魔法と土魔法でで固めて砕くのもいけた。ボスだからなのか29階の奴より一回りほど大きかったが、環境が味方してくれないために、弱体化しているといっても過言ではないだろう。


このダンジョンのボス、名前負けというかポンコツというか可愛そうなのばっかりだ。


俺のパンチ、水魔法、土魔法、アイラのパンチ(これも即死だった)、核を盗むの合計5回ボスを倒して今日のダンジョン攻略を終わりにした。


宝箱の中身は『壊砂』という名前のガントレット、金塊、金塊、鋼鉄塊、そして最後はアダマンタイトだ。


このダンジョンの希少ドロップの条件が分かったかもしれない。

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