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17話 覚悟

「眠い・・・」


おはようございます。今は朝の鐘が鳴ったところです。

ええ、ほとんど寝ておりませんとも。


あれから夕食を食べたが、ここでも問題があった。

まあ主人と一緒には食べられないとか言うよくあるやつだ。

俺は気にしないから食え、いやいやでも奴隷ですしと言う問答を繰り返した挙句、

まーたおかみさんに叱られた。


「うるさい!ここは飯を食うところであっていちゃつくところじゃないよ!」


ってね。別にいちゃついていたわけではないのだが・・・。


それでまあアイラが折れて一緒にご飯を食べた。


その後することもないので部屋に戻り、さあ寝るぞとなったんだが・・・。


ご想像のとおり俺が床で寝るから、いえ主人を床で寝かせるなんて!

って奴をしばらくやった後ふたりでベットで寝ることになった。

まあ規定路線だね。



そういえば外でのしゃべり方はやはりあのまま行くそうだ。

奴隷が無礼な口を利いているとまわりから白い目で見られてしまうとのこと。

特に犬の獣人の格好をしているので下手すると害される可能性まであるからと言われれば否とはいえなかった。

二人だけのときは気楽にしゃべってくれと頼んだら、悩んだ挙句了解してくれた。




アイラは疲れていたのか、顔を真っ赤にしていたわりにはすぐにぐーすか寝てしまった。


俺は最初の通り寝られなかった。

女性と同じ布団で寝るなんて、母親以外では我が人生通して初めての経験だ。

当然彼女もいなかったから?そういう経験もないし?


そして今の体は14歳なのだ。うん、まあそういうことだ。

奴隷を買うとかちょっと早まったかもしれない。

朝方気絶するまでながーい夜でした。




朝食を食べ二人で冒険者ギルドへ向かう。

相変わらずの込みようの中から依頼を探す俺。

安全を考えて・・・今日はEランクぐらいかな?


ティキッド村のそばに住み着いたコボルト5匹を討伐 これだな。


今日はアンガスさんがいなかったので初めてのお姉さん?少女?だった。


「これ、お願いします。」


「はい・・・えっとあなたはCランクのケンさんで間違いないですか?」


「そうですけど?」


「中堅ランク以上の方にあんまり下のランクをやられるのは困るのですが・・・」


「あー今日はこの娘の練習を含んでいるのですが・・・だめですかね?」


「その方は・・・奴隷ですか、わかりました。ではこの依頼を受諾と言うことで承りました。討伐証明は右耳でお願いします。ティキッド村に着きましたら村長に詳細を確認してください」


獣人だからなのか奴隷の首輪をしているからなのか、アイラを見た受付さんの目が蔑みに染まった。

こういうの目の当たりにすると結構くるなぁ。


「わかりました。えっと彼女の冒険者登録はできますか?」


「奴隷は物ですよ?特に獣人種なんて登録できるわけないじゃないですか」


カチンと来た。スキルを発動させてしまいそうになったが、後ろからアイラに引っ張られる。


「ご主人様、私のことはいいですから抑えてください」


黙って依頼表を受け取り冒険者ギルドを後にする。

門を出るときに衛兵のひとりにティキッド村の場所を聞き、そちらへ歩き出す。

しばらく歩いたところで木を殴りつけた。


「くそったれ!」


ガスッ


殴った木のところに穴が開いた。拳サイズの・・・。

力をこめすぎたことに焦る俺。パニックを起こすアイラ。


「い、今・・・殴ったのよ・・・ね?」


「あーうん、ちょっと怒りが抑えられなくて」


「な、何で木に穴が開くの?」


「力をこめすぎたみたいだね」


昔とは違うんだった。気軽に八つ当たりもできないな。


「あなたどんな力してるのよ・・・」


「こんな力?」


呆れた顔をされた。確かに馬鹿っぽい返しだったな。


「はあ、もういいわ。今の人間の世界では他の人族の扱いはあんなもんよ。いちいち怒ってたら揉め事が尽きないわよ」


「なるべく気にしないようにするよ」


そういいつつも無理だろうなと思っていた。いつか暴発しないといいな。


村への道のりを歩きながらちょうどいい機会ということで自分のステータスをアイラに教えていく。アイラの20倍程度と説明するとうそつき呼ばわりされたので、瞬間移動かと言うようなスピードでアイラの周りを走り回ってみた。


信じてくれたが人外扱いされた。ひどい。


そういえば走り回ってみて気づいたのだが、砂埃が隠せない。

移動速度自体はかなり早くなっているので、アイラではほとんど見えなかったそうだが走った軌跡は分かりやすかったそうだ。

これでは長距離から一瞬で近づいて攻撃!とかは難しそうだ。

なんかしらの移動系のスキルが欲しいな。格好よく相手の後ろを取りたいしな!(漫画の読みすぎ)


閑話休題


村は割と近くお昼前にはついた。アイラはかなりへばっていたが。

小川のそばに位置する村だった。

村長の話によれば川向こうの森?林?の奥から来るそうだ。

この村長も獣人は嫌いらしくさっさと依頼果たして帰ってくれという雰囲気だった。


我慢我慢・・・。


こっそりこっそり森の奥へ進んでいくと食料でも探しているのかうろうろしている一匹のコボルトを発見。レベルも大した事ないし、ちょうどいいね。


>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

コボルト Eランク

レベル8


犬頭の魔獣

集団で生活し、物を作ったりもする

武装していることもある

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>>


「俺が相手をするから後ろから槍でつくんだ」


「はい・・・」


俺はすばやくコボルトの前に飛び出て、軽く殴りつける。

その一発で脳が揺れたらしくグガッといいながらふらふらしている。


「いまだ!」


「ハッ」


なかなか勇ましい声で突き出された槍は倒れたコボルトの・・・

頭の上を通過した。


うん、まあ初めてだもんね?


「もっかい!」


「は、はい」


今度は首に刺さりコボルトは息絶えた。


アイラは緊張からか汗をかき、ハアハアいっている。


「大丈夫?殺した忌避感とかは?」


「初めての戦闘で緊張はしたけど大丈夫よ。それに生き物を殺したのはこれが初めてじゃないわ」


「そうか、できるだけ君が倒すようにするから頑張ってね」


「ありがとう。頑張るわ」


その後もコボルトを見つけては倒すを繰り返した。

途中で気づいたが恐怖スキルで行動不能にすれば何匹いても楽チンだった。

最大で3匹だったが。っていうかコボルト5匹は嘘だった。

これで15匹目だ。それと今から住処と思われる洞窟に入るのでまだ増えるだろう。


結界があるので洞窟の中で暗くても狭くても関係なかった。襲い掛かって来るのに合わせて恐怖スキルで動けなくし、アイラが突く。低レベルの魔物相手にはこれで死角はなく、洞窟の奥までスムーズに移動できた。


すべてのコボルトを倒し終えたのか洞窟のおくにはコボルトはいなかった。

代わりにいたのは・・・そういうことをされたであろう女性が二人。

食い殺されたであろう子どもの遺体が3体ほど。


・・・

・・・

・・・


吐き気がする。これが自然の摂理だとしても俺には受け入れられそうにない。


命だけは助かった女性達も正気じゃなかった。


「この人たちは・・・連れ帰ったらどうなる?」


「殺されると思います。正気じゃない物を養えるほど普通の村は豊かじゃありませんから。人間族は健全な子どもでさえ、余裕がなくなれば捨てると聞きます」


「そうか・・・」


俺は・・・どうすればいいんだろう。




結局遺体はできるだけ集めてその辺にあった布でくるんだ。こんな怖い思いをした洞窟の中じゃなくて外で埋葬してやりたかった。


女の人たちは水で清め布を巻いた。洞窟を出ても正気に戻らないようなら介錯してやる事にした。

ここは・・・地球じゃない。連れ帰っても不幸が長引くだけだろう。

本当はここまでする必要はないのかもしれない。そんな依頼は受けてないから。

でも、こんな所に置いて行く事はできなかった。


外に出て、日の光を浴びても、彼女達は狂ったように笑うだけだった・・・。



子ども達と一緒に大きな木のそばに埋めてやった。遺体は掘り返されないよう火葬して土魔法でその上だけを固めておいた。これで獣にあらされることはないだろう。

この世界に輪廻転生があるかは知らないが、来世なり、天国なりでは平和に暮らして欲しい。


「ご主人様は優しいのですね」


「優しいわけじゃない。こんなのは俺のわがままだ。他の生き物を殺しその肉を食ってるんだ。

同族の無念だけ悲しんだって・・・そんなのは優しさじゃない」


「そうですか?」


「ああ、村へ戻ろう」


言いながら立ち上がる。魔物と戦うってことはこういうことも覚悟しておかなきゃいけなかったんだ。

次はないといいなぁ。


村へ戻る俺の足取りは・・・どうしても重かった。



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