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アルフォンスは魔導士ではなく、猫である  作者: 猫のアミーゴ


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第5話 猫は情報屋

翌朝、オレ達は再び、マリアの自宅に向かった。

「アル兄、猫のおやつできてるよ。ツバキちゃん食べすぎないでね」

既に、ツバキの視線はおやつの袋にくぎ付けだ。



昨夜、ツバキは夕食を食べなかった。

おやつの食べ過ぎで入らなかったのだろう。

かぎしっぽの感覚では、問題ない。

だけど、おやつの食べ過ぎでごはんが食べられないのは、栄養的によくないよなー。しつけ的にも。

《ツバキ、おやつ、食べる、ごはん、たべる、できない、ダメ》

《お腹いっぱいだから、ごはんは入らないよ》

《ごはん、食べる、できない、ハンナ、怒る、すごく、怖い》

《ハンナ怒るの?》

《ハンナ、怒る、ごはん、ない、ツバキ、ごはん、パン》

ツバキは、ぶるぶるっと体を震わせた。

《ハンナが怒ったら、ごはんなくなるの?またパンになるの?》

《ごはん、パン》

《パンに戻るのはいやー、ニャーは、ごはんちゃんと食べるから!!》

《おやつ、少し、だけ》

ツバキは必死にうなずいた。

……オレも、ハンナの作り置きごはんがなくなったら、生きていけないかもしれない。



さて、バケツを探しに行こう。

「あ、アル兄。ちゃんと犯人捜ししてね!!」

「がんばるよ。そのためのクッキーだからな」

「あれ?ツバキちゃんのおやつと犯人捜しに何の関係があるのよ?」

あ……うっかりしてた。

「まー、犯人捜ししっかりするから、な、な」

「何か隠してるよねー?」

オレは慌てて逃げることにした。



バケツの縄張りは、近くのゴミ捨て場のあたりだったはずだ。

《バケツ、食べ物、ある、どこ、いる》

《おー、まってたぜ!!》

すぐにバケツは、走り寄ってきた。

《ほか、猫、どこ》

《ついてこい》

バケツについていく。幸い、人が通れる道だった。

《おーい、食べ物がきたぞ―!!》

路地裏でバケツが叫ぶ。

猫たちがゾロゾロと集まってきた。



《食べ物、情報、交換、並ぶ、する》

《お前ら並べって、こいつ少しだけ猫語がわかるらしいから。質問に答えてやってくれよ。あの植木鉢が割られた時のこと教えてくれだって》

バケツが仕切ってくれた。ありがたい。

《ちゃんと呼んだんだから、俺の取り分も寄越せよ?あと通訳したらその分も》

しっかりしてやがるな。



最初に寄ってきた猫は、ハナクロとグラサンの2匹だな。

ハナクロは鼻の周りだけが黒い、グラサンは目の周りが黒い。

二匹は兄弟で一緒の縄張りで過ごしていたはずだ。

《犯人、見た、特徴、行動、どこ、来た、どこ、行く、どこ、見た、教える》

《植木鉢割ってる人間なら見たよー》

片言のオレの質問がもどかしいのか、バケツが補足してくれた。

《植木鉢割ってる人を見たのか、人間の特徴と、どういう行動していたか、どこから来て、どこに向かったか、自分はどの場所から見ていたかを教えてやってくれ》

……バケツ、すごくない?

バケツは、オレの方を見て、一言。

《通訳料!!》

オレは、クッキー5枚をバケツの前に置いた。



《犯人がどこから来たかは知らないー。最初に青い花が3つある植木鉢割ってた。その後全部割ってた。音あんまりしなかったよー。》

《青い花の植木鉢から何か取り出してたよー。》

《植木鉢の向かいの塀の隙間から見てたー。グラサンも一緒ー。》

意外とよく見てるな。オレは慌ててメモ帳を取り出して、書き留める。情報整理は後だ。

2匹の前にクッキーを3枚ずつ置いた。

次々と猫がやってくる。

《向かいの屋根の上から見てたー。ギザギザ屋根の建物から出てきたよー》

《酒屋の前通ったよ。そこ僕の家だから樽で寝てた》

《青い花、ゴミ箱に捨ててた。お酒のにおいは、してなかったよー。僕ゴミ箱の上にいたんだもん。追い払われた》

《黒い服着てた》

《青い屋根に煙突のある家に入っていったの見た》

《走ってやってきた、追っかけられたかと思って逃げたんだよー》

《見たことない人だったよ》

《オスだったー》

《柵のてっぺんの位置に頭があったよ。柵の向こうの花壇から見た》

オレは、メモ取って、クッキー配ってと必死だった。

ツバキは、物欲しそうな目でクッキーを追っていた。カバンによだれ垂れてるな。

《なんか魔力つかってたー。走っているときー》

《植木鉢割ってるときも魔力減ってたー》

《一人で割ってたよ》

ん?魔力?

全ての生物はだいたい魔力持っている。人間だけではない。知覚していてもおかしくない。

かぎしっぽの記憶を探る。

悪ガキから魔法で水かけられた記憶があった。あー、魔力が動いたら何かされるかもしれないってことか。

ツバキは、経験ないみたいだけど、年がいったノラ猫にはわかる奴がいるんだな。

でも、植木鉢を割るのに魔力?どういうことだ?

気が付いたら猫たちはいなくなっていた。

バケツが再び、

《終了だ。紹介料払え!!》

あの5枚には含まれてなかったのか。オレはバケツの前にクッキーを3枚置いた。



オレは、家に帰って情報整理をすることにした。

《ごはん食べたら、おやつ食べていいんだよね?ねぇ》

ツバキにごはんを出す。完食したのを見届けて、クッキーを3枚、皿に入れてやった。



まず、犯人の特徴から洗い出してみる


・男性である

・一人の犯行

・黒い服を着ていた

・身長は柵の高さぐらい

→これは柵の場所を確認してから確かめる

・お酒の匂いはしなかった

・走ってやってきた

→酔っ払いの行動ではない?

・見たことない人だった

→近隣住人ではない?



こんなものかな。次は行動だな。


・ギザギザ屋根の建物から出てきた

→あとで場所調べる

・青い花の植木鉢から何か取り出した

・青い花の植木鉢を割った

→なぜ青い花だけ持ち出した?

・他の植木鉢を全て割った

・青い花をゴミ箱に捨てた

・青い屋根に煙突のある家に入っていった

→あとで場所調べる



酒屋と柵の向こうに花壇がある場所がわからないな。時系列的にどっちなんだろうか。

あと走っているときと、植木鉢を割っているときに魔力を消費した。

植木鉢を割っているときに音があまりしなかったということから、たぶん消音の魔法だな。

工場や工事の時に使われる魔法だ。

走っている時は何の魔法を使っていたんだ?

植木鉢から何を取り出したんだろうか?



植木鉢のことはマリアに聞くことにして、明日は地図と現地で移動ルートを調べることにしよう。

エディタが返却されるまで、あと3日。

今日は、もう寝ることにした。ツバキはかぎしっぽの首輪を抱いて眠っていた。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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