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アルフォンスは魔導士ではなく、猫である  作者: 猫のアミーゴ


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第29話 猫トイレとリボン

コン、コン、コン

「坊ちゃん、起きていらっしゃいますか?」

いつも通り返事も待たずに、ハンナがドアを開けた。

ただし、ハンナの後ろにレーヴェさんがいた。

「ええー!!」

「ハンナさんの助手として勤めることになりました。今後はミリアムとお呼びください」

レーヴェさん改めミリアムが深々とおじぎをした。



「今回は顔合わせと、ブラウ用の食事と猫トイレを回収しに来ました」

いや、猫トイレまで持っていくんですか。

「ツバキちゃんは二つもいりませんよね?」

有無を言わさず、持っていかれてしまった。

「坊ちゃん、ブラウちゃん用の食事が減って、ツバキちゃん用のが余ってますけど」

あー、そういえば昨日も間違えた気がする。

「間違えないように回収しちゃいましょうね」

オレは何も知らないツバキをちらりと見た。



外国の事情に詳しいミリアムは重宝するということで、実家で雇われることになったそうだ。

聖教会では炊事洗濯などの雑用を担当していたこともあって、ハンナの助手が割り当てられたと。

「聖教会の制服は白だから、洗濯は大変なんですよー。しかも、この国に来てから神官様が泥だらけで帰ってくることが多くて、あと何故かピンクのぼろきれを持って帰って捨てていましたね。あれ何だったんだろう」

ミリアムはハンナの指示に従って、洗濯物を運んでいく。

「アルフォンス様、お留守の場合、ツバキちゃんをお預かりするのも仕事内容になっておりますので。その際はこちらにお預けください」

そういって、ハンナとミリアムは帰っていった。

ツバキを預かってもらえるのは助かるな。ひとりぼっちだと寂しがるから。



オレは、久しぶりの日常を堪能することにした。

コーヒーを飲みながらハンナが持ってきた新聞を開く。



――空き巣の犯人が自供。動機はローザ・オイラーの熱愛発覚にショックを受け、やけっぱちになった!?

カイル、ファンの風上に置けんとかいって荒れてそうだなー。


――スヴェン・ランゲ教授の遺稿があった。夫人の証言。消えた遺稿はいずこへ?


――ローザ・オイラー活動休止!マネージャーの横領発覚!「私は何も知らなかった」


――マイヤー&ゾーネ・タクシー整備不良による事故多発!監査入る。



ざっくり新聞を流し読みしてから、一緒に来ていた手紙を開く。

あ、ヘルマンさんからだ。

「空き巣事件についての報告があるのでお時間がある時に、ネリー嬢と一緒にいらしてください。

あとビオトープの水の汚れ対策にいい魔法ないですか?」

と書いてあった。

汚れを回収か。猫トイレの応用でできないかなー。あーでも砂と違って汚れの定義が難しいな。

ヘルマンさんの手紙の下に花柄のかわいらしい封筒があった。

ネリーからだ。

「次の休みに猫トイレの進捗見に行きたいです。あと家にもその猫トイレが欲しいので値段教えてください」

価格かー、魔石代と木箱代かな。

でもテスト手伝ってもらってるからなー。テスト運用してもらうってことで無料でいいんじゃないかな。

よし、プレゼントでいいか。

そういやネリーの誕生日っていつだろうか。近かったらいいな。



ネリーに成果を見せられるように、オレは猫トイレに向き合った。

今の課題は自動化だ。

ツバキが使用した後に自動で清掃されること。

消臭の魔石は常時起動だから、問題はない。

汚れの回収のトリガーをどうするかだな。

ツバキがトイレに入って、出ていった後が起動のタイミング。

ツバキを認識する方法は、一番単純なのはキーになるものを持ち歩いてもらうことだよな。

探索の魔法の応用でマーキングしたもの。このリボンでいいか。

ツバキの首輪代わりにするつもりでお菓子の箱についていたリボンにマーキングする。

で、このリボンがこの魔石に1メートルぐらいまで近づいたあと離れたらスイッチが入るように設定。

オレはリボンを持って猫トイレの周りをうろうろして確かめる。

《アル、トイレ使えない。あっちいってー》

オレはすかさず、ツバキの首にリボンをつける。

《オレ、離れる、トイレ、どうぞ》

そして、壁の陰からそっと見守った。

ツバキは不満そうな顔をしながら、猫トイレに入っていった。



うん、無事清掃は起動したな。

オレはしばらく様子を見ることにした。

そんなオレをツバキは、冷たい目で見ていた。



翌朝、猫トイレにリボンが捨てられていてオレは膝をつくことになった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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