ネリー外伝3 連絡先を聞き忘れました!
※番外編です。今回はネリー視点のお話です。
※対応本編:第13話 猫と手土産、第14話 猫と魔法の説明文
アルフォンス様の連絡先を聞き忘れた。痛恨のミスだ。
もはや、最終手段ダーヴィットに聞くという手を使うしかないのだろうか……。
ちょっと遅くなったお昼ごはんを買いに売店に向かった。
そうそう何度もアルフォンス様にとは限らない。
ついつい、魔石のコーナーの辺りを見てしまう……!!
いた!!
「ジルバーシュタイン様!」
「こんにちは、エッカート女史。ちょうど良かったです」
ちょうど良かった……?もしかして。
「この前は、ありがとうございました。あの、私を探していらしたのですか?」
「ええ、ご迷惑じゃなかったら、魔法の説明文の訂正を……」
ああ、前回のは社交辞令じゃなかった――!!
「女史のご都合の良い日に、どこか喫茶店とかでもどうでしょうか?」
イマジナリーララが、『自分の領地に引きずり込むのよ!!』とタオルを振り回している。
「あ……あの、明日私休み取ります! いや、非番ですから、私の自宅でどうでしょうか!?」
「えーと、女性の家にお邪魔するのは気がひけるので……」
アルフォンス様には、引いたらダメだ。
そんな気がする。
「あの、レモンの様子見に来てください!! 猫ちゃんも一緒に。ねっ、それなら理由ありますよね!」
さあさあさあ、どうだろう。
「レモンの様子を見に、お伺いしますね」
イマジナリーララが、『よくやったー!!』とタオルを投げた。
私は鼻息荒く職場に戻ると叔父にねじ込んで休みを勝ち取った。
とっておきのワンピースに着替え、髪型もチェックした。
部屋も片付けて、お茶の準備も大丈夫。
ぬかりはないはず、私はアルフォンス様が来るのを今か今かとドアの前で待ち続けた。
アンバーが2回ほど様子を見に来た。
ノックの音に心臓が跳ね上がる。
一呼吸置いてから、落ち着いてドアを開けたはず……。
「ジルバーシュタイン様。いらっしゃいませ」
アルフォンス様は一瞬驚いた顔をした。
ドア開けるのはやすぎたかも…。
「これ、手土産です。 知り合いに聞いたお菓子を買ってきたのですが……」
アルフォンス様が持っている菓子折りは、秘書課の間でも人気の菓子店のものだった。
当然顧客のほとんどが若い女性だ。
「ありがとうございます……。お知り合いって女性ですか……?」
「幼馴染というか妹みたいな……女性の好みそうなものを聞いたのですが、好みじゃなかったですか?すみません」
顔がひきつりそうになりながらも、なんとか笑顔を作った。
「いえ、好みです。男性が好まれるものじゃなかったから、聞いてしまいました。妹さんですね」
応接室に彼を通して、気持ちを落ち着かせるためにお茶を入れにいく。
もしかして彼女とか婚約者とかいるのかしら。
可能性はあるよね。
応接室をそっと覗くと、アルフォンス様はアンバーとレモンと何やら会話していた。
レモンなんてアルフォンス様の腕にしがみ付いている。
う…うらやましい。
アルフォンス様と目が合った。
「すみません。勝手におやつあげちゃって、これ残りは女史があげてください」
私はあわてて、紅茶をテーブルに置くと袋を受け取った。
「レモンもアンバーも、ジルバーシュタイン様には、すっかりなついちゃって」
猫たちは、アルフォンス様のそばから離れなかった。
アルフォンス様の魔法の説明文を見せてもらった。
……これは売れないわ。
私の服を乾かした魔法の説明文が『手から風を出す』なのだ。
ない……これはないわ。
アルフォンス様に聞き取り調査をし、なんとかわかる程度には修正できたと思う。
「まだまだ、この魔法には使い道があるとは思いますが、差し当たってはこのような感じでしょうか?」
「すごい。確かに。ありがとうございました!!」
アルフォンス様はきらきらとした目で私を見つめていた。
かわいいかも。
「よろしければ、今後も作成された魔法の書類、一緒に作りましょうか?」
「そこまで迷惑かけるわけには、今回はレモンの件のお礼で特別にやっていただけただけでも勉強になりましたし……」
アルフォンス様には絶対引いたらダメだ。
私の直感がそういっている。もちろん、イマジナリーララもだ。
「迷惑じゃないです!!私がやりたいのです!! また、持ってきていただけませんか? あの、レモンもアンバーも待ってますし……」
でも『私が会いたい』とは、言い切れなかった。
ああ、もうへたれちゃった……うう。
「では、また猫のおやつ持って、お邪魔させていただきますね」
イマジナリーララが、『あんたにしては頑張ったわね』と慰めてくれた。
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