↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
アルフォンスは魔導士ではなく、猫である  作者: 猫のアミーゴ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
36/61

第27話 猫と兄と調査報告

連絡待ちという状態なので、オレは久々に夜更かしからの朝寝坊のコンボをかましていた。

とはいえ、ツバキとブラウにごはんで起こされ、寝ぼけながらごはんを出し、二度寝になったのだが。

昨夜は、猫トイレをブラウのためにもう一つ作ったのだ。

まだ全自動になっていないためトイレが渋滞するとクレームが出たのだ。

同じものを作るのだから2つ目は早い。昨夜のうちに設置は終わっている。



ベッドの中でまどろんでいると、ほのかにコーヒーの香りが漂ってきた。

ハンナが来てるのかなー……。

オレは飛び起きた。ハンナだったら、とっくに起こされている。異常事態だ。



コーヒーの香りを追って、リビングを覗き込む。

そこには長身、銀縁眼鏡の男がコーヒーを片手に書類に目を通していた。

「何やってるんですか?エル兄さん」

そう、オレのすぐ上の兄であるエルンスト・フォン・ジルバーシュタインがいたのだ。



「おはよう。アル」

エル兄さんは、オレの分のコーヒーを注いでくれた。

手紙の件だよなぁ。

「まず、猫の件だが、飼い主との顔合わせには私が同行する」

エル兄さんは、結構分厚い調査報告書を出してきた。

えー、これ全部読まなきゃいけない?

「猫の件は偶然という見解だ。ただし、ミリアム・レーヴェが属している集団は聖教会関係者だ」

エル兄さんはオレの頭をぽふぽふしながら、

「本来なら代理人を立てて関わらないようにすべきだけど、アルは嫌だろう?」

「嫌というか……」

あー、ブラウが幸せにならないと嫌なんだな。オレ。

「うん……嫌だ」

エル兄さんは、にっこり笑うと、

「兄に任せておきなさい!」

……それと、その分厚い報告書全部読むのも嫌です。



「さて、本題に移ろうか」

エル兄さんは、オレの頭にネコミミのついたカチューシャをセットした。

「何これ?」

「アル。猫の言葉がわかるようになったんだよね。この兄に猫と触れ合えるように説得してくれるだろう?」

……エル兄さん、動物好きだけど避けられるんだよな。

かぎしっぽの記憶があるから、よくわかる。

ガッツきすぎて怖い。

いまも手をワキワキして、目でツバキたちを探している。

ツバキもブラウもリビングに入っても来ない。すっごく遠くから様子見していた。

《ツバキ、ブラウ、これ、兄、仲良く、頼む》

兄の期待に満ちた視線にオレは説得を試みる。

《やだー!!気持ち悪いー!!》

《……生理的に無理かな》

散々だなー。わかるけど。

「アル、今会話してるんだよね?何て言ってるの?」

エル兄さんが期待に満ちた目でオレを見ていた。

……言えないよね。生理的に無理言われてるなんて。

「あー、高貴なオーラが凄すぎて、恐れ多くて近づきがたいって」

オレは何とか絞り出した。

「私は庶民派だー。ツバキちゃん、ブラウちゃんおいでー!」

視線がガチ、低くて大きな声、大振りなしぐさ。

うん、猫から見たらチンピラにからまれているような気分だろう。

《いやー!!怖いー!!》

ツバキとブラウは逃げていった。

「……何でだ」

チンピラに絡まれそうだから逃げたとは言えない……。オレは苦し紛れに絞り出した。

「えーっと、お召し物に猫の毛がついたら大変だからって遠慮してたよ」

「……猫の毛が付いたってかまわないのに……」

エル兄さんはぶつぶつとつぶやいていた。

オレは黙ってカチューシャを外した。



エル兄さんが再稼働したのは、猫たちが逃げ出してから10分後だった。

「とりあえず、明後日、自警団詰所付近の建物を押さえてあるから、そこで飼い主と顔合わせする予定だ。私とアル、ブラウ。それと君が懇意にしているヘルマン君。聖教会側からミリアム・レーヴェ以外の同行者がいる場合は、理由をつけて中止にする。当日はアルを迎えにいくから準備しておくように」

段取りを説明するエル兄さん。でもオレは知っている。未練がましく猫が逃げたほうをチラチラ見ていることに。

「あとは、この資料に目を通しておきなさい」

……まじで?

「エル兄さん、要約が欲しいです」

「アルが猫ちゃんたちを説得できたらね」

その日、エル兄さんが帰るまで、ツバキとブラウは棚の一番上に立てこもっていた。

オレは泣く泣く資料を読み込むことにした。



【資料の要約】

ミリアム・レーヴェが属する集団は、実際には15人ほどのグループで、男女別の建物で暮らしている。女性は6人。

入国の名目は商会設立。

集団の内訳は、司祭1人、神官6人、聖騎士4人、見習い4人。

カタリナ王国内に浄化魔法の使い手は入国していない。

一方、この集団はカタリナ王国内での聖教会設立を目的としていると見られている。

ブラウの飼い主、ミリアム・レーヴェは見習い。栗色の長い髪の女性。枢機卿の身内が外国籍の女商人に手を付けて生まれた子で、聖教国外で育つ。母の死後、聖教国に身を寄せる。

猫を捨てた同僚はイザベラ・ガーランド。神官。金髪の長い髪の女性。立場こそ神官だが枢機卿の身内であり、集団内でも権力を持っていると思われる。



ざっくりこんな感じかな。資料には15人全員の詳細とか、建物を貸してる業者とかも詳しく書かれていたけど、これだけ分かればいいやというところだけ読み込んだ。



顔合わせ前日にハンナが来た。

ブラウをお風呂に入れるためだそうだ。

お風呂と聞いて、ブラウは最初嫌がったが、

《お風呂?あったかいお水で、泡もこもこして、風でぶわーってされて、おいしいごはんもらえるよ》

《ブラウ、きれい、ミリアム、喜ぶ》

ツバキとオレの説得でしぶしぶ大人しくなった。

《……悪くないわね》

ドライヤーの魔法で乾かされたブラウは、気品漂う真っ白な猫に生まれ変わった。

ついでにツバキも洗われた。

「ツバキちゃんのダイエットは、芳しくないですねぇ」

ハンナのつぶやきにオレは聞こえないふりをした。



明日の顔合わせの準備は着々と進んでいった。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


楽しんでいただけましたでしょうか?


面白かった、続きが気になると思っていただけましたら、ぜひ☆やブックマークで応援していただけると嬉しいです!


感想などもいただけると、とても励みになります。


これからもよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。