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アルフォンスは魔導士ではなく、猫である  作者: 猫のアミーゴ


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14/63

幕間 希望へ続く魔法

※幕間です。


本編の合間に挟まる寄り道のようなお話です。

読まなくても本編の理解には影響しませんので、気が向いたときにでもどうぞ。


無理して読む必要はありません。

猫たちもそう言っています。

世界に異変が起きだした。

人だけではなく、土地も植物も弱っていく。

少しずつ、もやのようなものが溜まっていくのだ。

最初は影響はない。ただしそれが多いところに留まり続けると弱ってしまう。

そのもやのことは、穢れと呼ばれるようになった。

風の魔法で穢れを払っても、それは穢れが移動するだけでなくならなかった。

人々は穢れを生活圏から押し出すことで対処を行ったが、ついに作物どころか草も木も育たない土地まで現れ始めた。

穢れの発生は、国境を越えて広がった。

互いに争っていた国々も、穢れの広がる地域では戦うことができなくなった。



有用な魔法を作れないために、農業に携わっていた魔導士が奇跡を起こした。

彼女の願った白い魔石は、今まで何も起きないと思われていたが、穢れだけを消したのだ。

その魔法は、彼女にしか作れなかった。

どの国も彼女を欲した。

ある国は地位を、ある国は富みを、ある国は武力を持って。

しかし彼女はどの国に対しても、仕えることを拒んだ。

武力をちらつかせる国には、自身の命を盾にし、ただただ中立を望み、世界の浄化を願った。

しかし、彼女だけでは世界は広すぎた。



今では小さな刻印で刻むことができるようになった、入れ墨魔法は刻印魔法と呼ばれるようになっていた。

彼女は、浄化の対価として、魔石魔法の国々には魔石の提供を、刻印魔法の国々には刻印魔法の技術を望んだ。

国々は拒むことはできなかった。

彼女の考えに賛同する人々は、彼女の名前からアウロラ教徒と呼ばれるようになった。

アウロラ教徒は、アウロラから浄化の刻印魔法を刻まれ、浄化の旅にでる。

少しずつ、世界は元の形に戻っていった。

アウロラ教徒だけの中立国、アウロラ聖教国が成立したのだ。

一説では、この段取りは別の人が行い、彼女は魔法を刻むことだけを行っていたとも言われている。



アウロラ聖教国は、アウロラがいなくなってしまえば、再び浄化魔法が消えてしまう。

危うい立場であった。

しかし、それは世界の危機でもあった。

新たな浄化の魔導士を探すことは、世界の急務でもあったのだ。

聖教国は、魔石を集めた。

浄化の魔石を備蓄し、新たな浄化の魔導士が生まれるまで世界を護るためであった。



聖教国以外の国々も、この問題に取り組んだ。

ここでついに、魔石魔法と刻印魔法の共同研究が始まったのだ。



魔石に刻印を刻む。これはまず、失敗した。

刻印は願いを込める作業であったからだ。

ただの魔石になるか、魔石が割れた。

逆に魔石に込められた魔法を、人に刻むことができないか。

これには成功の兆しが見えた。

魔石の魔法より威力がかなり低くなるが、魔石から人への魔法移動が見受けられたのだ。

減衰率は9割であった。



さらに、魔法を移動させられた魔石は割れなかった。

これまでは、魔石は使ったら砕ける。

使い切りのものだと思われていた。

魔石は、魔法を込める前の状態に戻っていたのだ。

魔石から魔石に魔法は移動できないのか。



魔法を移動させても魔石が割れないことから、

・魔石間の魔法移動

・ひとつの魔石に複数の魔法を移動

ふたつの試みが行われた。

減衰率こそ高かったが、成功であった。



研究の成果はゆっくりと進んでいった。

アウロラは70歳を超えていた。

いまだ、新たな浄化の魔導士は見つからなかった。



アウロラが78歳の時、ついに浄化の魔導士が見つかった。

10歳の少女であった。

聖教国は、少女を迎え入れた。

その後、浄化の魔導士は、聖女、聖人と呼ばれるようになった。

魔石からの魔法移動の減衰率は、いまだ7割であった。



アウロラの没後も、世界は希望に向かって進み続けた――。

ここまで読んでいただき、ありがとうございます!


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