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第14話 王宮を揺るがす告発! 暴かれる陰謀と第一封印の謎

第13話を読んでくださり、ありがとうございます!


前話では、エルマたちが王宮地下の秘密施設へたどり着き、神獣たちを苦しめていた黒い結晶を発見しました。


さらに、結晶の内部には初代聖女と思われる人物が封じられており、ゼルヴァンは「第二封印、解除」という謎の言葉を残して姿を消しました。


いったい、初代聖女に何があったのでしょうか?


そして、第一封印とは何を意味するのでしょうか?


今回は、救出された神獣たちの保護と、王宮上層部への追及が始まります!


それでは、第14話をどうぞ!

「……絶対に、諦めません」


そう宣言した私の声が、静まり返った地下施設に響いた。


けれど、決意を固めたからといって、目の前の問題がすべて解決するわけではない。


私の腕の中では、聖ラマが静かに眠っている。


周囲の檻には、まだ弱りきった神獣たちが残されていた。


そして、ひび割れた黒い結晶には、あの不吉な文字が浮かんでいる。


――第二封印、解除。


「……まずは、ここにいる神獣たちを助けなければなりませんね」


私は、聖ラマの頭をそっと撫でた。


「うん。幸い、結晶から魔力を吸い上げる働きは弱まっているようだ。ただ、完全に安全になったとは限らない」


ラインハルト様は、周囲を警戒しながら答えた。


「グレゴール卿。施設の管理記録は残っていますか?」


「はい。管理室に記録板があります。実験の経過や、魔力の供給先が記されているはずです」


「ならば、記録を確保しよう。神獣たちの保護と並行して進める必要がある」


ラインハルト様の判断は冷静だった。


怒りに任せて行動するだけでは、ゼルヴァンに逃げ道を与えてしまう。


証拠を確保し、誰が何を知っていたのかを明らかにしなければならない。


「私も手伝います!」


「ありがとう、エルマ。ただし、聖ラマのそばを離れる必要はないよ。君には、神獣たちの状態を確認してほしい」


「……分かりました!」


私は頷いた。


すると、おこげが私の腕から顔を出した。


「きゅふっ!」


「おこげも手伝ってくれるの?」


おこげは、胸を張るように前足を上げた。


……頼もしい。


ただし、本人が何をするつもりなのかは、少し分からない。


私は思わず苦笑した。


「じゃあ、一緒に頑張ろうね」


「きゅふっ!」


こうして、私たちは救出活動を始めた。




地下施設の檻は、全部で十七基あった。


そのうち、半数以上の神獣が、まともに立ち上がることもできない状態だった。


私は一匹ずつ声をかけながら、状態を確かめていった。


「大丈夫ですか? もう魔力を奪われることはありませんからね」


小さな銀色の狼が、弱々しく顔を上げた。


『……ほんとう?』


「はい。絶対に、皆さんをここから出します」


もちろん、施設が完全に安全になったと断言することはできない。


それでも、今この瞬間、彼らに希望を失ってほしくなかった。


私はソラに協力してもらいながら、結界の残った檻を一つずつ確認した。


ソラの角が青く光るたび、結界の表面から黒い紋様が消えていく。


しかし、すべての結界が簡単に解除できるわけではなかった。


「……ソラ、無理はしないでね」


『……だいじょうぶ。でも、つよいのは、まだむずかしい……』


「分かったわ。少しずつ進めましょう」


一度にすべてを解決しようとする必要はない。


神獣たちを危険にさらさないことが、何より大切なのだから。


そのとき、足元から小さな音が聞こえた。


カリ、カリ、カリ……。


「……ん?」


見ると、おこげが床の隅を前足で引っかいていた。


「おこげ? 何をしているの?」


「きゅふっ!」


おこげは、床に鼻を近づけて、何かを嗅いでいる。


そして、突然、壁際の小さな金属板を前足で叩いた。


カンッ!


「……何かあるの?」


私が金属板を持ち上げると、その下から薄い紙片が現れた。


古びた紙には、見慣れない文字と数字が並んでいる。


「これは……?」


ラインハルト様を呼ぶと、彼は紙片を受け取り、目を細めた。


「施設の記録番号だ。しかも、王宮の管理記録とは別の形式で書かれている」


グレゴール卿が、驚いたように顔を上げた。


「そんなものが、ここに……?」


「心当たりがあるのですか?」


「いえ……ただ、この記号は、王宮魔導研究院の正式な記録様式ではありません」


ラインハルト様は、紙片を慎重に折りたたんだ。


「ならば、誰かが正式な記録とは別に、情報を残していた可能性がある」


私は、紙片を覗き込んだ。


そこには、短い一文が記されていた。


『第一封印の管理場所を変更。旧記録は破棄せよ』


「……第一封印!」


思わず声が出た。


あの言葉。


第二封印が解除されたということは、第一封印も存在する。


そして、この紙片は、その管理場所が変更されたと告げている。


「いったい、第一封印はどこにあるんでしょうか……?」


ラインハルト様は、すぐには答えなかった。


「まだ分からない。ただ、この記録が本物なら、誰かが第一封印の存在を隠そうとしていたことになる」


グレゴール卿は、青ざめた顔で紙片を見つめていた。


「……そんな。ここまで徹底して記録を隠していたとは……」


私は、彼に尋ねた。


「グレゴール卿。初代聖女について、ほかに何か知っていることはありませんか?」


彼は、しばらく考え込んだ。


「……一つだけ、古い伝承を聞いたことがあります」


「伝承?」


「初代聖女は、王国を救ったあと、二つの力を封じたと言われています。一つは人々を守る力。もう一つは、人々の手に渡してはならない力です」


「二つの力……?」


「しかし、その話は公式の歴史書には記されていません。王宮の古文書に、断片的に残されているだけです」


私は、黒い結晶を見つめた。


もし、第二封印が初代聖女と関係しているのなら。


第一封印もまた、彼女が封じた何かと関係しているのかもしれない。


けれど、それが何なのかは、まだ分からなかった。


「……まずは、この記録を持って王太子殿下に説明を求めましょう」


ラインハルト様が言った。


「これだけの証拠があれば、少なくとも、地下施設の存在を無視することはできないはずだ」


私は、強く頷いた。


「はい!」


そのとき、聖ラマが小さく身じろぎした。


『……エルマ……』


「聖ラマ! 気がついたの?」


私は、すぐにそばへ駆け寄った。


聖ラマは、ゆっくりと目を開けた。


『……みんなは……?』


「大丈夫。ここにいた神獣たちも、順番に助けているところよ」


『……よかった……』


聖ラマは、安心したように目を細めた。


しかし、次の瞬間、その表情が曇った。


『……エルマ。あの結晶は……完全には壊れていない……』


「えっ?」


私は、はっと顔を上げた。


確かに、黒い結晶には亀裂が入っていた。


けれど、中心部には、まだかすかな光が残っている。


「……まだ動いているの?」


『……うん。でも……さっきとは違う……』


「どう違うの?」


聖ラマは、しばらく黙っていた。


そして、かすかな声で告げた。


『……誰かが……向こう側から……呼んでいる……』


「向こう側……?」


その言葉の意味を尋ねようとした瞬間、聖ラマは再び目を閉じてしまった。


私は、胸の奥に不安を覚えた。


黒い結晶の向こう側。


そこには、いったい何があるのだろう。




それから約一時間後。


地下施設に閉じ込められていた神獣たちは、王宮の治療区画へと移送され始めた。


ラインハルト様の指示により、信頼できる兵士たちが施設の出入口を封鎖し、記録類もすべて確保された。


グレゴール卿は、自らの立場を危険にさらすことを承知で、地下施設について知っていることを証言すると約束した。


そして、私たちは王宮の謁見室へ向かった。


謁見室には、王太子殿下と複数の大臣が集まっていた。


その中には、ローデン卿の姿もあった。


彼は私たちを見ると、ほんの一瞬だけ目を見開いた。


「……エルマ様。ご無事だったのですね」


「はい」


私は、彼をまっすぐに見つめた。


「ローデン卿。地下施設のことをご存じでしたか?」


その瞬間、謁見室の空気が変わった。


大臣たちが互いに顔を見合わせる。


ローデン卿は、すぐには答えなかった。


「……地下施設、とは?」


「神獣たちが閉じ込められ、魔力を奪われていた施設です」


私は、言葉を続けた。


「そこには、巨大な黒い結晶がありました。結晶は神獣たちの魔力を吸い上げ、さらに、内部には人影が封じられていたんです」


王太子殿下が、椅子から立ち上がった。


「何だと……?」


その表情には、明らかな驚きが浮かんでいた。


「グレゴール。これは、どういうことだ?」


グレゴール卿は、一歩前へ出た。


「殿下。地下施設では、王宮魔導研究院の院長ゼルヴァンが主導する実験が行われておりました。私は中止を求めましたが、止めることができませんでした」


「ゼルヴァンが……?」


王太子殿下は、険しい表情を浮かべた。


「彼には、神獣の魔力を利用した防護結界の研究を命じていた。しかし、神獣を拘束し、魔力を強制的に吸い上げることまでは許可していない!」


「殿下!」


ローデン卿が、すぐに口を挟んだ。


「どうか、お待ちください。現段階では、地下施設の状況について、十分な確認が取れておりません。ゼルヴァン院長にも事情を聞く必要がございます」


「そのゼルヴァンは、すでに逃亡しています」


ラインハルト様が、冷静に告げた。


「施設には、実験の痕跡と管理記録が残されています。こちらが確保した資料もあります。まずは、それらを確認していただきたい」


彼は、記録板と紙片を机の上に置いた。


王太子殿下は、それらを手に取った。


最初は厳しい表情だったが、記録を読み進めるにつれて、その顔色が変わっていった。


「……これは、何だ?」


「神獣の魔力供給記録です」


ラインハルト様が答えた。


「そして、こちらは第一封印に関する記録です」


「第一封印……?」


王太子殿下は、紙片に目を落とした。


その瞬間。


彼の指が、ぴたりと止まった。


「……なぜ、この言葉がここにある?」


私は、思わず身を乗り出した。


「殿下。第一封印について、ご存じなのですか?」


王太子殿下は、すぐには答えなかった。


謁見室に沈黙が広がる。


やがて、彼は重い口調で言った。


「……この言葉は、王家の最重要機密に関係している」


「最重要機密……?」


「そうだ。歴代の王族の一部にしか伝えられていない記録がある。だが、その内容をここで話すことはできない」


「どうしてですか!?」


思わず声が大きくなった。


「聖ラマたちは、実際に苦しんでいたんです! 初代聖女まで結晶の中に封じられているかもしれないんですよ!」


王太子殿下は、私の目を見つめた。


「……分かっている」


その声には、苦悩がにじんでいた。


「だからこそ、慎重に扱わなければならないのだ。第一封印に関する情報が外部へ漏れれば、王国全体が危険にさらされる可能性がある」


「でも、何も説明されなければ、私たちは何を守ればいいのかも分かりません!」


謁見室が静まり返った。


私は、自分の手が震えていることに気づいた。


怖い。


王宮の権力者たちを相手に、こんなことを言うのは怖い。


それでも、ここで黙ってしまったら、また同じことが繰り返されるかもしれない。


「……守るべきものがあるのなら、なおさら、真実を隠したままにしてはいけないと思います」


私は、王太子殿下を見つめた。


「何も知らない人たちに犠牲を押しつけることが、本当に王国を守ることなんでしょうか?」


王太子殿下は、目を閉じた。


しばらくして、深く息を吐く。


「……君の言うことは、もっともだ」


彼は、ゆっくりと目を開いた。


「地下施設の件は、私の責任で調査する。ゼルヴァンの行方を追い、実験を支持した者がいれば、その者たちにも説明を求めよう」


「殿下……」


「ただし、第一封印については、今すぐすべてを明かすことはできない。王家の記録を確認し、何を公表できるのかを判断する必要がある」


私は、唇を結んだ。


すべてを聞き出すことはできなかった。


けれど、少なくとも、地下施設の存在を隠し通すことはできなくなった。


それだけでも、大きな一歩だ。


……そう思いたかった。


そのとき、ローデン卿が静かに口を開いた。


「殿下。恐れながら、一つ申し上げたいことがございます」


「何だ、ローデン」


「今回の件は、ゼルヴァン院長だけの問題とは限りません。地下施設の管理には、複数の部署が関与していた可能性があります」


「つまり、王宮内部に協力者がいるということか?」


「その可能性は否定できません」


ローデン卿は、落ち着いた声で続けた。


「ただし、確かな証拠がない段階で、特定の人物を疑うべきではないでしょう」


その言葉だけを聞けば、もっともらしく思える。


けれど、私は彼の表情から目を離せなかった。


治療記録を見せてほしいと頼んだとき。


彼は、明らかに動揺していた。


そして、地下施設が見つかった今も、必要以上に落ち着いているように見える。


もちろん、それだけで彼が黒幕だと決めつけることはできない。


けれど――。


「ローデン卿」


私は、静かに尋ねた。


「あなたは、地下施設の存在を本当にご存じなかったのですか?」


彼は、私を見つめた。


その目には、怒りも驚きも浮かんでいなかった。


ただ、いつもと変わらない穏やかな笑みがあった。


「……エルマ様。私は王宮に仕える者として、王国の秩序を守る責任があります」


「質問に答えてください」


私は、まっすぐに言った。


ローデン卿の笑みが、ほんのわずかに消えた。


「……現時点では、お答えできません」


その言葉に、胸の奥が冷たくなった。


知らないから答えられないのか。


それとも、知っているから答えられないのか。


今の私には、判断できなかった。


しかし、彼が何かを隠している可能性は、まだ消えていない。


王太子殿下は、ローデン卿を見つめた。


「ローデン。お前にも、後日あらためて事情を聞く。関係資料を整理しておくように」


「……承知いたしました」


ローデン卿は、深々と頭を下げた。


その表情は、最後まで崩れなかった。


***


謁見室を出たあと。


私は、長い廊下の窓から王都の街並みを眺めていた。


夕日が建物の屋根を赤く染めている。


いつもなら美しいと思えたはずの景色が、今日はどこか遠く感じられた。


「……疲れたかい?」


ラインハルト様が、隣に立った。


「少しだけ……」


私は苦笑した。


「でも、まだ終わっていませんから」


「そうだね。今回の件は、これからが本番だろう」


ラインハルト様は、私の手元を見た。


そこには、先ほどの紙片の写しが握られていた。


「第一封印の管理場所を変更。旧記録は破棄せよ……」


私は、もう一度その文字を読み直した。


「どうして、こんな記録を残したんでしょうか」


「完全に隠すつもりなら、紙片そのものを残さなかったはずだ。誰かが、意図的に手がかりを残した可能性もある」


「……つまり、私たちに見つけてほしかった人がいるかもしれない、ということですか?」


「可能性の一つだね。ただし、罠である可能性も忘れてはいけない」


私は頷いた。


確かに、ゼルヴァンが逃亡した今、誰が味方で誰が敵なのか、簡単には判断できない。


そのとき、胸元のペンダントが淡く光った。


「……え?」


石の色が、青から紫へ、そして再び青へと変化する。


まるで、何かを探しているかのように。


ソラが、私の腕の中で顔を上げた。


『……エルマ』


「どうしたの?」


『……ここじゃない……もっと、とおく……』


「もっと遠く?」


ソラは、王宮の窓の向こうを見つめていた。


その視線の先には、王都の外れに広がる森がある。


私は、息を呑んだ。


「……第一封印は、あの森にあるの?」


『……わからない。でも……よばれてる……』


ラインハルト様の表情が、引き締まった。


「王都の外か……。確かめる価値はありそうだね」


「でも、王太子殿下の許可を取らずに動くのは……」


「そうだね。まずは、王家の古文書を調べる必要がある。手がかりがないまま森へ向かうのは危険だ」


私は頷いた。


焦ってはいけない。


聖ラマを助けられたからといって、次々と危険に飛び込んでいいわけではないのだ。


そのとき。


「エルマ様!」


廊下の向こうから、侍女が駆け寄ってきた。


「聖ラマ様が、目を覚まされました!」


「本当ですか!?」


私は、思わず顔を輝かせた。


「はい! まだお体は弱っていらっしゃいますが、エルマ様にお会いしたいと……!」


「すぐに行きます!」


私はラインハルト様を振り返った。


彼は、優しく頷いた。


「行っておいで。今は、聖ラマのそばにいてあげるといい」


「ありがとうございます!」


私は、侍女とともに治療区画へ向かった。


***


治療区画の一室。


柔らかな光の差し込むベッドの上で、聖ラマが横になっていた。


私の姿を見ると、その耳がぴくりと動く。


『……エルマ』


「聖ラマ!」


私は駆け寄り、その頭をそっと撫でた。


「よかった……! 本当に、よかった……!」


聖ラマは、安心したように目を細めた。


『……みんなを、たすけてくれたの?』


「うん。ほかの神獣たちも、治療を受けているところよ」


『……ありがとう』


「お礼なんていいの。聖ラマが元気になってくれることが、一番うれしいんだから」


私は、聖ラマの前足をそっと握った。


しばらく、私たちは何も言わずにいた。


こうして再び話せることが、何よりも幸せだった。


けれど、聖ラマは突然、真剣な表情になった。


『……エルマ。あの結晶の中にいた人を、見たよね?』


「……うん。初代聖女かもしれないって」


『……あの人は……ただ、ねむっていたわけじゃない』


「どういうこと?」


聖ラマは、ゆっくりと話し始めた。


『……あの結晶は、魔力をためるためだけのものじゃない。なにかを、こちらの世界につなぎとめている……』


「こちらの世界に……?」


『……うん。あの人を、どこかへ行かせないために……』


私は、言葉を失った。


初代聖女は、結晶に封じられていたのではない。


何かが彼女を、ここにつなぎとめていた。


では、その何かとは何なのだろう。


「……ゼルヴァンは、彼女を目覚めさせようとしていたの?」


『……わからない。でも……第二封印がとけたことで、あの人の声が、少しだけ強くなった……』


聖ラマは、私をまっすぐに見つめた。


『……そして、第一封印も……弱くなりはじめている』


私は、息を呑んだ。


「……どうして、それが分かるの?」


『……神獣たちは、ずっと昔から、その力を感じているから……』


聖ラマは、苦しそうに目を閉じた。


『……エルマ。もし、第一封印を見つけても……すぐに、といてはいけない』


「……分かった」


私は、真剣に頷いた。


理由が分からないまま、封印を解除するわけにはいかない。


たとえ、それが初代聖女を救うことにつながるとしても。


「必ず、真実を確かめるわ」


聖ラマは、安心したように目を閉じた。


『……あなたなら、きっと……』


その言葉を最後に、聖ラマは再び眠りについた。


私は、そっと毛並みを撫でた。


窓の外では、夕日がゆっくりと沈み始めていた。


王宮の地下に隠された陰謀は、少しずつ明らかになってきた。


しかし、謎は増えるばかりだ。


初代聖女。


第二封印。


そして、王都の外から感じられる、正体不明の呼び声。


私は、胸元のペンダントを握りしめた。


――次に向かうべき場所は、王都の外にあるのかもしれない。


そのとき、遠く離れた王宮の地下で。


ひび割れた黒い結晶の奥に、かすかな光が灯った。


誰もいないはずの施設に、低い声が響く。


『……第二封印が解除された』


一瞬の沈黙。


そして、別の声が答えた。


『ならば、第一封印も長くは持たない』


黒い結晶の表面に、新たな文字が浮かび上がった。


――残り時間、三十日。


その文字を目にした者は、まだ誰もいなかった。

第14話を最後まで読んでくださり、ありがとうございます!


今回は、地下施設から神獣たちを救出し、王太子殿下に事件の説明を求めました。


王太子殿下はゼルヴァンの実験をすべて把握していたわけではないようですが、第一封印については何かを知っている様子でした。


さらに、地下で見つかった記録には「第一封印の管理場所を変更」という言葉が。


そして、回復し始めた聖ラマから告げられた、第一封印を簡単に解除してはいけないという警告。


最後には、謎の「残り時間、三十日」という文字まで現れました。


三十日後に何が起こるのでしょうか?


第一封印はどこにあり、初代聖女は本当に救い出せるのでしょうか?


次回は、王家の古文書を調べるエルマたちが、第一封印へつながる新たな手がかりを追います!


ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!


よろしければ、ブックマークや評価などで応援していただけると嬉しいです。


それでは、また次のお話でお会いしましょう!

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