第12話 いざ王宮へ! 聖女を待ち受ける罠と、再会の涙
第11話を読んでくださり、ありがとうございます!
前話では、聖ラマの体調悪化に、神獣の魔力を弱める謎の黒い結晶が関係している可能性が浮上しました。
そして、ローデンが口にした「次の段階へ進めろ」という言葉。
彼らはいったい、何を企んでいるのでしょうか?
今回は、エルマとラインハルトがついに王宮へ向かいます!
聖ラマとの再会、王宮に隠された秘密、そして新たな陰謀の始まりを、ぜひお楽しみください!
それでは、第12話をどうぞ!
翌朝。
辺境伯邸の玄関前には、一台の馬車が用意されていた。
「……いよいよ、ですね」
私は、目の前の馬車を見上げながら、小さく呟いた。
今日、私は王宮へ向かう。
聖ラマを助けるために。
そして、あの子を苦しめているものの正体を突き止めるために。
「エルマ」
背後から、穏やかな声が聞こえた。
振り返ると、ラインハルト様が立っていた。
いつもの優しい表情ではあるけれど、その眼差しには、辺境伯としての厳しさが感じられる。
「準備はできたかい?」
「はい!」
私は大きく頷いた。
「おこげもソラも、準備万端です!」
「きゅふっ!」
「きゅうっ!」
私の足元では、おこげとソラが元気よく鳴いていた。
二匹とも、今日のことが分かっているのだろうか。
いつもより少しだけ、真剣な表情をしているように見える。
……いや、おこげはいつもどおり、のんびりしている気もするけれど。
「ふふっ。二人とも、頼りにしているわね」
私は二匹を抱き上げた。
すると、ラインハルト様が私の荷物を確認しながら口を開いた。
「念のため、これを持っていくといい」
差し出されたのは、小さな銀色のペンダントだった。
中央には、淡い青色の石がはめ込まれている。
「これは……?」
「魔力の異常を感知すると、石の色が変化する魔道具だ。ミレーユ殿に協力してもらい、用意してもらった」
「そんなものまで!?」
「王宮の中で何が起きるか分からないからね。少しでも危険を早く察知できるようにしておきたい」
私は、ペンダントを両手で受け取った。
「ありがとうございます。大切にします」
「うん。ただし、これがあれば絶対に安全というわけではない。異常を感じたら、すぐに私たちへ知らせること」
「はい!」
私はペンダントを首にかけた。
胸元で、青い石がきらりと輝く。
その瞬間、ラインハルト様が私の顔を覗き込んだ。
「……よく似合っているよ」
「えっ?」
「君の瞳の色に、よく合っている」
「ラ、ラインハルト様……!」
朝から、どうしてそんなことをさらっと言えるのだろう。
私は一気に顔が熱くなった。
「そ、そういうことは、急に言わないでください!」
「おや。似合っていると思ったことを伝えただけなのだが」
「うぅ……!」
ラインハルト様は、楽しそうに微笑んでいる。
……絶対に、わざとだ。
けれど、そのおかげで少しだけ緊張が和らいだ。
私は深呼吸をして、馬車へと向かった。
「それでは、行きましょう!」
「ああ」
ラインハルト様も馬車に乗り込む。
こうして、私たちは王宮へ向けて出発したのだった。
馬車が走り始めてから、しばらく経った頃。
私は窓の外を眺めながら、膝の上のおこげを撫でていた。
辺境伯領の景色が、少しずつ遠ざかっていく。
畑や牧草地を抜け、街道沿いの小さな町を通り過ぎる。
普段なら、旅の景色を楽しんでいたかもしれない。
けれど、今日は違った。
頭の中には、聖ラマのことばかりが浮かんでいた。
弱々しく横たわる姿。
食事を嫌がっていた声。
そして、最後に伝えてきた言葉。
『……たすけて』
「……聖ラマ」
思わず、声が漏れた。
すると、向かいに座っていたラインハルト様が、そっと私の手に触れた。
「心配かい?」
「……はい」
私は素直に頷いた。
「もし、私が王宮を離れたあと、もっと苦しんでいたらと思うと……」
「エルマ」
ラインハルト様は、静かに私を見つめた。
「君が聖ラマを大切に思っていることは分かっている。だが、君が自分を責めても、状況は変わらない」
「……はい」
「今、君にできることは、聖ラマを助けるために行動することだ。過去の自分を責めることではないよ」
私は、はっと顔を上げた。
彼の言うとおりだった。
私は、王宮にいた頃のことを何度も思い返していた。
あのとき、もっと何かできたのではないか。
もっと早く異変に気づけたのではないか。
そんなことばかり考えてしまう。
けれど、今は違う。
私はもう、王宮の命令に従うだけの存在ではない。
自分で考え、自分の意思で行動できる。
「……ありがとうございます、ラインハルト様」
「どういたしまして」
彼は優しく微笑んだ。
「それに、君が戻ってきてくれたら、聖ラマも喜ぶだろうね」
その言葉に、胸の奥がじんわりと温かくなった。
「……そうだと、いいですね」
私は窓の外へ視線を戻した。
どうか、間に合ってほしい。
あの子が、もう一度元気に笑えるように。
その願いだけを胸に、私は王都へ向かった。
昼過ぎ。
ついに、王都が見えてきた。
高い城壁。
立派な石造りの建物。
街道を行き交う人々。
王宮の尖塔が、遠くの空にそびえ立っている。
以前と変わらない、美しい街並みだった。
……けれど。
「……何だか、雰囲気が違いますね」
私は窓の外を見つめた。
王宮へ近づくにつれて、兵士の数が増えている。
街の入り口には、見慣れない検問所まで設置されていた。
「確かに、警備が強化されているようだね」
ラインハルト様も、窓の外を見ていた。
「何か事件でもあったのでしょうか?」
「分からない。ただ、偶然だと決めつけるのは早いね」
そのとき、ソラが突然、私の膝の上で顔を上げた。
「きゅう……」
小さな角が、淡く青く光っている。
「ソラ?」
ソラは、王宮の方角をじっと見つめていた。
そして。
『……いやなにおい』
「……やっぱり?」
私は、思わずペンダントに触れた。
その瞬間。
胸元の青い石が、わずかに紫色へと変化した。
「……えっ!?」
私は目を見開いた。
「ラインハルト様! これ……!」
彼はすぐにペンダントを確認した。
「魔力の異常を感知したようだね」
「ということは、王宮の近くに、何かがあるんでしょうか?」
「その可能性は高い。ただし、これだけでは場所も原因も特定できない」
ラインハルト様は、御者に指示を出した。
「警備兵に、こちらの身分を伝えてくれ。王宮へ正式に訪問する予定だと」
「かしこまりました!」
馬車は、検問所の前で停止した。
兵士たちが近づいてくる。
「止まれ! 身分を確認する!」
御者が書状を差し出すと、兵士の一人が目を見開いた。
「ラ、ラインハルト辺境伯閣下!?」
「そうだ。王宮への訪問については、すでに連絡が届いているはずだが」
「はっ! ただいま確認いたします!」
兵士は慌てて書状を持ち、詰所へと駆けていった。
やがて、別の兵士が現れた。
「失礼いたしました。王宮からの指示により、閣下とエルマ様をお通しいたします」
「ありがとう」
ラインハルト様が頷いた。
そのとき、兵士の一人が私を見て、小さく呟いた。
「……本当に、戻ってこられたのか」
「え?」
思わず聞き返す。
しかし、その兵士は、すぐに口を閉ざしてしまった。
「……何でもありません」
そう言って、視線を逸らす。
私は、不安を覚えた。
いったい、何を知っているのだろう。
どうして、私が戻ってくることに驚いているのだろう。
まるで、王宮の中で何かが起きていることを、知っているかのようだった。
「エルマ」
ラインハルト様が、そっと声をかけた。
「今は、気になることがあっても、一つずつ確認していこう」
「……はい」
私は頷いた。
馬車は再び走り始めた。
そして、私たちは王宮の正門をくぐった。
***
王宮の応接室。
私たちを迎えたのは、王太子殿下の秘書官だった。
「お待ちしておりました、ラインハルト辺境伯閣下。そして、エルマ様」
秘書官は丁寧に頭を下げた。
「このたびは、遠路はるばるお越しいただき、ありがとうございます」
「挨拶は後で構わない。まず、聖ラマの状態を確認したい」
ラインハルト様が、はっきりと告げた。
秘書官は、少し困ったような表情を浮かべた。
「それが……現在、聖ラマ様のいる区画は、特別な事情により立ち入りが制限されておりまして」
「特別な事情?」
「はい。神獣管理局から、外部の者を近づけないよう指示が出ているのです」
私は、思わず立ち上がった。
「でも、私は聖ラマを助けるために来たんです!」
秘書官は、困惑したように私を見た。
「エルマ様のお気持ちは理解しております。しかし、神獣管理局の許可がなければ……」
「では、神獣管理局の責任者と話をさせてください」
私は、まっすぐに彼を見つめた。
「聖ラマの治療記録と薬品の情報についても、確認をお願いしているはずです」
秘書官は、口を閉ざした。
しばらくして、彼は深く息を吐いた。
「……承知いたしました。責任者に確認してまいります」
彼が部屋を出ていくと、私は椅子に座り直した。
「……やっぱり、何か隠しているんでしょうか」
ラインハルト様は、慎重に答えた。
「その可能性はある。ただ、立ち入り制限そのものには、正当な理由がある場合もある。今は、事実を確認することが先だ」
「……はい」
私は、膝の上のおこげを撫でた。
おこげは、いつもより静かだった。
ソラも、王宮の奥をじっと見つめている。
やがて、扉がノックされた。
「失礼いたします」
入ってきたのは、見覚えのある男性だった。
整った黒い服装。
落ち着いた表情。
そして、冷たい眼差し。
「……ローデン卿」
私が呟くと、彼は一瞬だけこちらを見た。
「お久しぶりです、エルマ様」
その声は、驚くほど穏やかだった。
まるで、何事もなかったかのように。
「このたびは、聖ラマ様のためにお越しいただいたと伺っております」
「……はい」
私は、ローデン卿を見つめた。
「聖ラマの容体について、説明していただけますか?」
「もちろんです。現在、聖ラマ様は体調を崩されており、神獣管理局が治療を続けております」
「どのような治療を?」
「詳しい内容については、担当者から説明させていただきます」
「では、薬品の種類と処方記録を見せてください」
その瞬間。
ローデン卿の表情が、ほんのわずかに変化した。
「……薬品の記録、ですか?」
「はい。原因が分からなければ、適切な対応もできませんから」
私は、彼の目を見つめた。
ローデン卿は、しばらく黙っていた。
そして、穏やかな笑みを浮かべた。
「残念ながら、治療記録は機密事項に指定されております。私の一存では、お見せすることができません」
「……どうしてですか?」
「聖ラマ様は、王国にとって極めて重要な神獣です。情報の管理には、慎重を期す必要があるのです」
「でも、その聖ラマが苦しんでいるんですよ!」
思わず声が大きくなった。
ローデン卿は、表情を変えなかった。
「お気持ちは理解しております。しかし、エルマ様。神獣の治療は専門家に任せるべきです。聖女としての能力があるからといって、すべての問題を解決できるわけではありません」
その言葉に、胸の奥が冷たくなった。
以前の私なら、何も言い返せなかったかもしれない。
自分には力がないのだと、思い込んでしまったかもしれない。
けれど、今は違う。
「……そうですね」
私は、静かに答えた。
「私は、すべての問題を解決できるわけではありません」
ローデン卿は、わずかに目を細めた。
「ですが、聖ラマを助けるために、私にできることを探すつもりです」
私は、まっすぐに彼を見つめた。
「専門家の方々が治療しているのなら、なおさら、何が行われているのかを知る必要があると思います。原因を隠したままでは、協力することもできません」
応接室が静まり返った。
ラインハルト様が、静かに口を開いた。
「ローデン卿。エルマの質問に答えられない理由があるのなら、その理由を正式に説明していただきたい」
「……閣下」
「我々は、王宮を非難するために来たのではない。聖ラマの状態を確認し、必要な協力をするために来たのだ」
ラインハルト様の声には、揺るぎない強さがあった。
「そのために必要な情報を求めることは、当然のことだと思うが?」
ローデン卿は、しばらく沈黙した。
やがて、彼は深く頭を下げた。
「……承知いたしました。王太子殿下に確認いたします」
「よろしく頼む」
ローデン卿は一礼すると、応接室を出ていった。
扉が閉まった瞬間、私は大きく息を吐いた。
「……緊張しました」
「よく頑張ったね」
ラインハルト様は、優しく微笑んだ。
「君は、自分の意思をきちんと伝えられた。私は誇らしいよ」
「……ありがとうございます」
私は、ほっと胸を撫で下ろした。
しかし、そのとき。
膝の上のソラが、突然、激しく鳴いた。
「きゅうっ! きゅうっ!」
「ソラ!?」
小さな角が、青白く光っている。
同時に、私のペンダントが紫色に変わった。
「……魔力の異常!?」
ラインハルト様が立ち上がった。
ソラは、応接室の扉ではなく、その隣にある壁をじっと見つめていた。
そして、私の心に声が響いた。
『……あっち……』
「あっち……?」
私は、ソラの視線を追った。
そこには、壁に掛けられた大きな絵画があった。
王家の紋章を描いた、古い絵画だ。
一見すると、何の変哲もない。
けれど。
絵画の下部に、わずかな隙間があることに気づいた。
「……ラインハルト様。あの絵、少し変じゃありませんか?」
彼は、絵画を注意深く観察した。
「確かに。壁との間に、不自然な隙間があるね」
ラインハルト様は、近くにいた侍従へ声をかけた。
「この絵画の裏を確認したい。責任者を呼んでくれ」
「か、かしこまりました!」
侍従が慌てて部屋を出ていった。
しばらくすると、王宮の管理担当者がやってきた。
彼は絵画を確認し、驚いたように目を見開いた。
「……これは」
絵画を慎重に動かすと、その背後に小さな扉が現れた。
壁と同じ色で塗られ、普段は見つけにくいようになっている。
「このような扉があったとは……」
管理担当者も、知らなかったようだった。
ラインハルト様は、すぐに扉の周囲を調べた。
「無理に開けるのは危険かもしれない。まずは、王宮の責任者に確認を取ろう」
私は頷いた。
しかし、そのとき。
扉の向こうから、かすかな音が聞こえた。
――カチッ。
まるで、何かの装置が動いたような音だった。
そして、ソラが小さく震えた。
『……くろい……』
「……黒いものが、この向こうに?」
私は、扉を見つめた。
胸元のペンダントは、紫色のままだった。
間違いない。
この先に、何かがある。
聖ラマが伝えようとしていたものと、関係があるのかもしれない。
そのとき、廊下の向こうから、足音が聞こえてきた。
「何をしているのですか?」
振り返ると、そこには一人の男性が立っていた。
王太子の側近、グレゴール卿だった。
彼は扉を見るなり、表情を強張らせた。
「……その扉を、どうして開けようとしているのです?」
その声は、明らかに動揺していた。
ラインハルト様が、一歩前へ出た。
「ソラが、この場所に異常な魔力を感じ取ったのです。確認する必要があると考えました」
「それは……」
グレゴール卿は、言葉に詰まった。
私は、彼を見つめた。
「グレゴール卿。この扉の向こうには、何があるのですか?」
彼は答えなかった。
ただ、私の胸元にあるペンダントを見ていた。
そして、低い声で呟いた。
「……まさか、もう反応しているとは」
「……え?」
次の瞬間。
グレゴール卿は、はっとしたように口を閉ざした。
しまった、と言わんばかりの表情だった。
私は息を呑んだ。
今の言葉。
『もう反応しているとは』
まるで、この扉の向こうに何があるのかを知っているようだった。
「グレゴール卿……あなたは、何をご存じなのですか?」
私の問いに、彼はゆっくりと顔を上げた。
その目には、焦りと、何かを隠そうとするような感情が浮かんでいた。
「……エルマ様。どうか、これ以上は関わらないでください」
「……どうしてですか?」
「あなたのためです」
「私のため……?」
「そうです。聖ラマ様を救いたいというお気持ちは分かります。しかし、この件には、あなたが想像している以上に大きな問題が関わっているのです」
私は、拳を握りしめた。
「だったら、なおさら知る必要があります!」
グレゴール卿は、苦しそうに目を伏せた。
「……申し訳ありません。今は、何もお話しできません」
「グレゴール卿!」
けれど、彼はそれ以上答えなかった。
ただ、管理担当者に扉を開けないよう命じると、その場を立ち去ってしまった。
残された私たちは、しばらく動けなかった。
やがて、ラインハルト様が静かに口を開いた。
「……どうやら、ここには何かが隠されているようだね」
「はい……」
私は、扉を見つめた。
聖ラマを苦しめているもの。
黒い結晶。
そして、王宮の人々が隠そうとしている秘密。
それらは、きっとつながっている。
けれど、まだ真実にはたどり着けていない。
「ラインハルト様。私、絶対に聖ラマを助けたいです」
「ああ。私も、そのために力を尽くす」
彼は、私の手を優しく握った。
「ただし、今は慎重に進めよう。相手が何を隠しているのか分からない以上、無理に動くのは危険だ」
「……はい」
私は頷いた。
そのとき、ソラが私の胸元に顔を寄せた。
『……エルマ』
「……ソラ?」
『……せいラマ……した……』
「下……?」
私は、はっと顔を上げた。
ソラは、絵画の裏にある扉をじっと見つめていた。
『……したに……いる……』
「……聖ラマが、この下にいるの?」
ソラは、小さく頷くように頭を動かした。
私は息を呑んだ。
聖ラマは、王宮の神獣管理区画にいるはずだった。
なのに、ソラは、この扉の下にいると伝えている。
いったい、どういうことなのだろう。
その瞬間。
扉の向こうから、かすかな声が聞こえた。
『……エルマ……』
「……聖ラマ!?」
私は扉へ駆け寄った。
『……ここに……きて……』
「聖ラマ! 今、助けに行くから!」
けれど、その声は、すぐに途切れてしまった。
代わりに聞こえてきたのは、低く、不気味な振動音だった。
胸元のペンダントが、強烈な紫色に輝く。
ソラが悲鳴のような鳴き声を上げた。
「きゅううっ!」
「ソラ!」
ラインハルト様が、私を扉から遠ざけた。
「エルマ、離れるんだ!」
その直後。
扉の隙間から、黒い光が漏れ出した。
まるで、何かが目覚めようとしているかのように。
私は、息を呑んだ。
王宮の地下に、いったい何があるのだろう。
そして、聖ラマは本当に、その先にいるのだろうか。
私は、ラインハルト様の手を握りしめた。
もう、目を逸らすわけにはいかない。
聖ラマを救うために。
この王宮に隠された真実を明らかにするために。
私は、前を向いた。
――そのとき。
扉の向こうから、聞き覚えのある男の声が響いた。
『……実験体が、目を覚ましたか』
私は、全身が凍りつくのを感じた。
実験体。
それは、いったい誰のことなのだろう。
そして、黒い扉の向こうでは、何が起きているのだろう。
答えは、まだ分からない。
けれど、一つだけ確かなことがあった。
王宮に潜む闇は、私たちが想像していたよりも、ずっと深い。
第12話を最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
今回は、エルマとラインハルトがついに王宮へ到着しました!
しかし、神獣管理局は治療記録の公開を拒み、ローデンも薬品について明確な説明をしませんでした。
さらに、ソラが反応したのは、王宮の壁に隠された謎の扉。
その向こうには、黒い結晶と関係する何かがあるようです。
そして、グレゴール卿が口にした「もう反応しているとは」という言葉。
彼は、いったい何を知っているのでしょうか?
最後に聞こえた「実験体」という言葉も気になりますね……。
聖ラマは本当に扉の下にいるのか。そして、王宮の地下では何が行われているのか。
次回、物語はさらに大きく動き出します!
ここまで読んでくださり、本当にありがとうございました!
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それでは、また次のお話でお会いしましょう!




