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第10話 王宮の陰謀が明らかに!? 聖ラマの悲鳴と、辺境伯様の溺愛宣言!

王太子レオナルドから届いた、突然の招待状。


聖ラマの異変を知ったエルマは、あの子を助けたいという気持ちと、二度と戻りたくない王宮への複雑な思いの間で揺れ動きます。


そんな中、神獣のソラが不思議な力を発揮!


遠く離れた王宮にいる聖ラマの姿を映し出し、ついに恐ろしい秘密の一端が明らかになります。


聖ラマを苦しめているのは、いったい誰なのか?


そして、エルマを再び王宮へ連れ戻そうとする王太子に対し、ラインハルト様がついに動き出します!


「私の大切な人を、都合よく利用できると思わないことだ」


いつもはエルマに甘々な辺境伯様ですが、彼女を傷つける相手には容赦しません。


もふもふたちの力を借りて、エルマは真実に近づけるのでしょうか?


それでは、第10話をどうぞ!

夕方。


 ラインハルト様は、王都から届いた招待状を執務室の机に置き、険しい表情で書状を読み返していた。


「……やはり、妙だな」


「妙、ですか?」


 隣に座っていた私は、思わず尋ねた。


 先ほど、ソラの不思議な力によって、王宮で苦しむ聖ラマの姿を見たばかりだ。


 あの映像が本物なら、聖ラマは今も誰かによって苦しめられている。


 そして、その人物は薬を使って何かを企んでいるようだった。


「ああ。王太子殿下は、君に聖女としての責務を果たすよう求めている。だが、肝心の聖ラマの治療については、何も説明されていない」


「……本当ですね」


 私は招待状を見つめた。


 そこには、聖ラマの体調が悪化していることと、私に王宮へ来てほしいという要請しか書かれていない。


 どのような治療をしているのか。


 どのような症状が出ているのか。


 なぜ、私でなければならないのか。


 そうした説明は、一切なかった。


「それに、君が王宮を去ったとき、彼らは君を引き留めようともしなかったのだろう?」


「……はい」


「それなのに、今になって君の力が必要だと言う。都合がよすぎるとは思わないかい?」


 私は、何も言えなかった。


 王宮にいた頃、私は聖ラマの世話をすることだけを考えていた。


 聖女として認めてもらえなくても、周囲から冷たく扱われても、聖ラマが元気でいてくれるなら、それでよかった。


 けれど、私が去った途端に彼らが困り始めたのだとしたら。


 彼らは、本当に聖ラマを心配しているのだろうか。


 それとも、私の力を失ったことを惜しんでいるだけなのだろうか。


「……私、聖ラマを助けたいです」


 私は顔を上げた。


「でも、もう二度と、あの人たちの言いなりにはなりたくありません」


 口にしてみると、自分でも驚くほどはっきりした声が出た。


 ラインハルト様は一瞬目を見開き、それから優しく微笑んだ。


「それでいい」


「……え?」


「君が自分の意思で決めたことなら、私は全力で支えるよ」


 彼は私の手を取り、指先をそっと包み込んだ。


「聖ラマを救うことと、王宮の命令に従うことは別の話だ。君は、君自身のやり方であの子を助ければいい」


「ラインハルト様……」


「それに」


 彼は少しだけ悪戯っぽく目を細めた。


「君を王宮へ連れていくというのなら、私にも同行する権利があると思うのだが」


「えっ!?」


「大切な君を、危険かもしれない場所へ一人で送り出すわけにはいかないからね」


 あまりにも自然に言われて、私は一気に顔が熱くなった。


「で、でも、ラインハルト様はお忙しいのでは……?」


「仕事なら、部下たちが優秀だから問題ないよ」


「そ、そういう問題でしょうか!?」


「私にとっては、非常に重要な問題だよ」


 真剣な顔で言われてしまった。


 どうやら、ラインハルト様の過保護は今日も絶好調らしい。


 私は赤くなった顔を隠すように俯いた。


 そのとき、執務室の扉がノックされた。


「閣下。王都からの使者について、ご報告がございます」


「入れ」


 入ってきたのは、辺境伯家の執事だった。


 彼は一礼すると、一通の報告書を差し出した。


「王宮からの使者は、明日の昼頃に到着する予定です。エルマ様を王都へお連れするため、馬車も用意しているとのことです」


「……こちらの返答も待たずに、か?」


 ラインハルト様の声が、すっと低くなった。


「はい。王宮側は、エルマ様が当然同行されるものと考えているようです」


「なるほど」


 ラインハルト様は報告書を机に置いた。


 その表情から、笑みが消えていた。


「では、こちらも正式に返答しよう」


「どのようにいたしましょうか?」


「エルマ本人が承諾していない以上、同行には応じない。まずは聖ラマの病状と治療内容、そして今回の招待の具体的な目的について、正式な説明を求める」


「かしこまりました」


「それから、王宮からの使者には丁重に対応するように。だが、エルマへの無礼は一切許さない」


「承知いたしました」


 執事が退室すると、私はそっとラインハルト様を見上げた。


「……ありがとうございます」


「何のことかな?」


「私の代わりに、はっきり言ってくださったことです」


 ラインハルト様は、ふっと表情を和らげた。


「君が自分の気持ちを言葉にしてくれたからだよ。私は、それを守りたいだけだ」


 そして、彼は私の額にそっと口づけた。


「君は、もう一人ではないのだから」


 ……もう。


 どうして、この方はこんなに優しいのだろう。


 胸がいっぱいになって、私はしばらく何も言えなかった。


     


 その夜。


 私はプレイルームで、おこげとソラを膝の上に乗せていた。


「ねえ、ソラ。今日見せてくれたもの、もう一度見せてもらうことはできる?」


「きゅう?」


 ソラは小さく首を傾げた。


「無理はしなくていいのよ。ただ、聖ラマがどんな様子なのか、少しでも分かったらと思って」


「きゅふっ!」


 おこげが、まるで自分も協力すると言うように鳴いた。


「ふふっ。おこげも一緒にお願いね」


 私は二匹の頭を優しく撫でた。


 すると、ソラの額にある小さな角が、淡い青色に光り始めた。


「……!」


 部屋の中に、柔らかな光が広がっていく。


 やがて、空中にぼんやりとした映像が浮かび上がった。


 そこは、王宮の一室だった。


 白い石造りの壁。


 金色の装飾が施された檻。


 そして、その中で横たわる聖ラマ。


「聖ラマ……!」


 私は思わず身を乗り出した。


 聖ラマは、以前よりもずっと弱々しく見えた。


 呼吸は浅く、白銀の毛並みには艶がない。


 その姿を見ただけで、胸が締めつけられた。


「どうして……こんなことに……」


 そのとき、映像の中に一人の男が現れた。


 黒い衣服をまとい、手には小さな瓶を持っている。


 男は周囲を確認してから、聖ラマの食事に瓶の中身を注いだ。


 すると、聖ラマが苦しそうに身をよじった。


『……いやだ……』


 声が聞こえた。


 人間の言葉ではない。


 けれど、私にはその意味がはっきりと分かった。


『それを……食べたくない……』


「やめて!」


 私は思わず叫んだ。


 もちろん、映像の向こうにいる男に声が届くはずはない。


 それでも、止めずにはいられなかった。


 男は食事を檻の中へ押し込み、冷たい声で呟いた。


『もう少しの辛抱だ。お前が大人しくしていれば、こちらも余計な手間をかけずに済む』


 その言葉に、私は全身が凍りついた。


 やはり、誰かが意図的に聖ラマを苦しめている。


 しかも、その人物は聖ラマが嫌がっていることを知っていながら、薬を与えているのだ。


 男が立ち去ろうとした瞬間、映像が揺れた。


 男の横顔が、わずかにこちらを向く。


 私は息を呑んだ。


「……あの人!」


 見覚えがあった。


 王宮で何度か見かけたことがある。


 グレゴール卿の側近、ローデンという男だ。


 いつもグレゴール卿のそばに控え、神獣管理局との連絡役を務めていた人物だった。


「どうして、ローデン卿が……?」


 映像はそこで途切れた。


 ソラは疲れたように私の腕の中へもたれかかった。


「ソラ! 大丈夫?」


「きゅぅ……」


 私は慌ててソラを抱きしめた。


「ごめんね。無理をさせてしまったわね」


 ソラは小さく鳴き、私の胸元に顔を埋めた。


 その様子を見て、おこげも心配そうにソラのそばへ寄り添った。


 私は二匹を抱きしめながら、深く息を吐いた。


「……ありがとう。本当に、ありがとう」


 もう、疑う余地はなかった。


 聖ラマは、何者かによって薬を与えられ、苦しんでいる。


 その人物は、王太子の側近であるグレゴール卿と関係の深い男だった。


 けれど、なぜそんなことをするのだろう。


 聖ラマを弱らせることで、いったい何を得ようとしているのか。


 考えれば考えるほど、分からないことが増えていく。


「エルマ」


 背後から、ラインハルト様の声がした。


 振り返ると、彼は真剣な顔でこちらを見つめていた。


「今の映像を、私にも説明してくれるかい?」


「はい……」


 私は見たものを一つずつ説明した。


 ローデン卿のこと。


 聖ラマが薬を嫌がっていたこと。


 そして、男が口にした不穏な言葉。


 話を聞き終えたラインハルト様は、しばらく黙り込んでいた。


 やがて、静かに口を開く。


「……これは、単なる治療の失敗ではなさそうだね」


「私も、そう思います」


「分かった。すぐに調査を始めよう。王宮の神獣管理局についても、こちらで情報を集める」


「お願いします」


 私は深く頭を下げた。


 すると、ラインハルト様は私の手を取った。


「ただし、一つ約束してほしい」


「何でしょうか?」


「真実を知りたいからといって、一人で危険な場所へ向かわないこと」


「……はい」


「君は、誰かを助けたいと思うと、自分のことを後回しにしてしまうからね」


 私は言葉に詰まった。


 そのとおりだった。


 聖ラマが苦しんでいると知ったとき、私はすぐにでも王都へ飛んでいきたいと思った。


 自分がどうなるかなんて、ほとんど考えていなかった。


 けれど、それではいけない。


 私が倒れてしまったら、助けられるものも助けられなくなってしまう。


「……分かりました。必ず、ラインハルト様に相談します」


「約束だよ」


 彼は安心したように微笑み、私の手の甲にそっと口づけた。


「いい子だね」


「……っ!」


 また、それだ。


 そんな甘い声で褒められたら、顔が真っ赤になってしまう。


「ラ、ラインハルト様……!」


「おや。顔が赤いね。熱でもあるのかな?」


「ありません!」


「そうか。それならよかった」


 絶対に分かっていて言っている。


 私は真っ赤になりながら、膝の上のおこげを抱きしめた。


 おこげは、そんな私たちを見上げて不思議そうに首を傾げていた。


「きゅふぅ?」


     


 翌日の昼。


 予定どおり、王宮からの使者が辺境伯邸を訪れた。


 私はラインハルト様とともに応接室へ向かった。


 部屋には、立派な制服を着た男性が一人、緊張した面持ちで立っていた。


「お初にお目にかかります、ラインハルト辺境伯閣下。私は王宮より参りました、使者のセドリックと申します」


「遠路はるばるご苦労。掛けたまえ」


「ありがとうございます」


 使者は席に着くと、懐から一通の書状を取り出した。


「本日は、王太子殿下からの正式なご要請をお伝えするために参りました」


「その件については、すでに返答を送っているはずだが」


「はい。しかし、王宮としては、どうしてもエルマ様のお力が必要なのです」


 使者は私に視線を向けた。


「聖ラマ様の容体が急激に悪化しております。王宮の治療師たちも手を尽くしておりますが、改善の兆しが見られません」


「……そうですか」


 私は膝の上で手を握りしめた。


 やはり、聖ラマの状態は悪くなっている。


 助けたい。


 すぐにでも、あの子のそばへ行きたい。


 けれど、今は感情だけで動くわけにはいかなかった。


「聖ラマには、どのような治療が行われているのでしょうか?」


 私が尋ねると、使者は少し戸惑ったように瞬きをした。


「それは……神獣管理局の指示に従い、適切な処置が行われていると聞いております」


「具体的には?」


「申し訳ございません。私には詳しいことまでは……」


「では、どうして私が必要なのか、説明していただけますか?」


 使者は口を閉ざした。


 しばらくして、彼は苦しそうに答えた。


「王太子殿下は、エルマ様が聖女として聖ラマ様と深い絆を築いてこられたことをご存じです。そのため、エルマ様であれば、聖ラマ様を落ち着かせることができるのではないかと……」


「……つまり、私に聖ラマを落ち着かせてほしい、ということですか?」


「はい」


 私は目を伏せた。


 聖ラマを落ち着かせることなら、できるかもしれない。


 あの子が私を覚えていてくれるなら、きっと声をかけることもできるだろう。


 けれど、それだけでは足りない。


 原因が分からなければ、また同じことが起きてしまう。


「分かりました。ただし、私が王宮へ向かう前に、いくつか確認したいことがあります」


「確認、でございますか?」


「はい。聖ラマに与えられている薬の種類と処方記録。それから、神獣管理局の責任者と、治療に関わっている方々のお名前を教えてください」


 使者の表情が強張った。


「それは……」


「聖ラマの体調が悪化しているのなら、原因を確かめる必要があります。私が行ったとしても、何も知らないままでは、十分なお手伝いができません」


 私は、使者の目を真っ直ぐに見つめた。


「聖ラマを助けたいと思っています。でも、原因を隠されたままでは、助けられるものも助けられません」


 応接室が静まり返った。


 使者は何度か口を開きかけ、やがて深く息を吐いた。


「……承知いたしました。王宮に戻り、確認してまいります」


「よろしくお願いします」


 使者が立ち上がろうとした、そのとき。


 ラインハルト様が、静かに口を開いた。


「もう一つ、伝えておいてもらいたいことがある」


「何でございましょうか?」


「エルマは、王家の所有物ではない」


 使者の顔が強張った。


 ラインハルト様は、穏やかな声のまま続けた。


「彼女が聖ラマを助けたいと望むなら、私は協力する。だが、王家の命令だからという理由だけで、彼女を連れ戻すことは認めない」


「……閣下」


「彼女の意思を尊重すること。それが、今回の協力の条件だ」


 その言葉には、揺るぎない強さがあった。


 私は胸が熱くなった。


 使者は深々と頭を下げた。


「……確かに、王太子殿下へお伝えいたします」


 こうして、使者は王宮へ戻っていった。


 応接室に残された私は、ほっと息を吐いた。


「……緊張しました」


「よく頑張ったね」


 ラインハルト様は微笑んだ。


「君は、自分の意思をきちんと伝えられた。私は誇らしいよ」


「そ、そんな……」


「本当のことだ」


 彼は私の手を取り、そっと握った。


「エルマ。君が聖ラマを助けたいのなら、私はその願いを叶えるために力を尽くす」


「……ありがとうございます」


「だから、安心して君の望む道を選んでほしい」


 私は、彼の手を握り返した。


 もう、昔の私ではない。


 誰かに必要とされるために、無理をして頑張る必要はないのだ。


 自分が本当に大切にしたいもののために、自分の意思で行動すればいい。


 そう思えるようになったのは、きっと、この方のおかげだった。


     


 その日の夜。


 私は窓辺に立ち、遠くの空を見上げていた。


 聖ラマは、今も苦しんでいる。


 ローデン卿が薬を与えていたことも分かった。


 けれど、なぜそんなことをしているのか。


 その理由だけは、まだ分からない。


「……必ず助けるからね」


 私は小さく呟いた。


 そのとき、胸の奥に、温かな感覚が広がった。


 神獣たちの気持ちが伝わってくる。


 おこげの、安心しきった幸福感。


 ソラの、私を信じてくれる気持ち。


 そして、遠く離れた場所から届く、かすかな声。


『……エルマ』


「……聖ラマ?」


『……気をつけて』


 私は息を呑んだ。


『王宮に……黒い……』


 そこで、声が途切れた。


「待って! 聖ラマ!」


 私は目を閉じ、必死に呼びかけた。


 けれど、もう何も聞こえなかった。


 ただ、胸の奥に冷たい不安だけが残っていた。


 王宮にある、黒い何か。


 それはいったい何なのだろう。


 そして、聖ラマは何を伝えようとしていたのだろう。


 私は窓の外を見つめた。


 夜空には、無数の星が輝いている。


 きっと、まだ知らない秘密がたくさんある。


 それでも、私はもう逃げない。


 聖ラマを助けるために。


 そして、大切な人たちと、この幸せな日々を守るために。


 私は、もう一度前を向く。


 そのとき、背後から温かな腕が伸びてきた。


「……また、聖ラマの声が聞こえたのかい?」


 振り返ると、ラインハルト様が心配そうに私を見つめていた。


「はい……。でも、何かを伝えようとしていたのに、途中で途切れてしまって……」


「そうか」


 彼は私の肩を優しく抱き寄せた。


「大丈夫。少しずつ調べていこう。君が一人で抱え込む必要はない」


「……はい」


 私は彼の胸に、そっと額を寄せた。


 温かい。


 安心する。


 この人がそばにいてくれるなら、きっと大丈夫。


 そう思えた。


「ラインハルト様」


「何だい?」


「私、聖ラマを助けに行きたいです。でも、それと同じくらい、ここでの暮らしも大切にしたいんです」


「……うん」


「だから、どちらも諦めたくありません」


 ラインハルト様は、しばらく私を見つめていた。


 やがて、柔らかく微笑んだ。


「なら、両方叶えよう」


「えっ……?」


「聖ラマを救い、君が安心して暮らせる場所も守る。難しいことかもしれないが、最初から諦める理由にはならないだろう?」


 その言葉に、私は目を見開いた。


 そして、自然と笑顔になった。


「……はい!」


 その瞬間、足元から小さな鳴き声が響いた。


「きゅふっ!」


 おこげが、私たちの足元にちょこんと座っていた。


 その隣では、ソラが嬉しそうに尻尾を揺らしている。


 まるで、二匹も一緒に頑張ると言ってくれているみたいだった。


「ふふっ。みんなで頑張ろうね」


「きゅふぅ!」


「きゅうっ!」


 私は二匹を抱き上げ、ぎゅっと抱きしめた。


 聖ラマを救うための道は、まだ始まったばかり。


 王宮には、きっと多くの秘密が隠されている。


 けれど、私には頼もしい仲間がいる。


 優しい辺境伯様がいて、支えてくれる友人がいて、何より、もふもふたちがそばにいてくれる。


 だから、もう大丈夫。


 私は笑顔で、明日を迎えようと思った。


 ――ただし。


「エルマ、今夜はもう少し私のそばにいてくれないか?」


「……えっ?」


「君が心配でね。今夜は、もう少し一緒に過ごしたいんだ」


「ラ、ラインハルト様!?」


 優しい声でそんなことを言われたら、断れるはずがない。


 私は真っ赤になりながら、小さく頷いた。


「……少しだけ、ですよ?」


「ああ。もちろん」


 そう答えたラインハルト様の笑顔は、どう見ても少しだけで済ませるつもりのない、甘いものだった。


 足元では、おこげが「きゅふっ」と鳴き、ソラが楽しそうに跳ねている。


 王宮の陰謀も、聖ラマの危機も、まだ解決したわけではない。


 それでも今夜だけは、この温かな幸せを大切にしたかった。

第10話をお読みいただき、ありがとうございます!


今回は、ついに聖ラマを苦しめている人物の手がかりが見えてきました。


ソラの不思議な力によって、薬を与えていたのが王太子の側近グレゴール卿に近い人物、ローデン卿だと判明!


しかし、彼はなぜ聖ラマを苦しめているのでしょうか?


そして、聖ラマが最後に伝えようとした「王宮に黒い……」という言葉。


まだまだ隠された秘密がありそうですね。


一方、ラインハルト様は今回もエルマを全力で守ってくれました。


王家からの要請にも屈せず、エルマ自身の意思を大切にする姿は、本当に頼もしいです!


しかも、最後にはさりげなく一緒に過ごす時間をおねだりするところが、甘々な辺境伯様らしいですね♡


エルマも少しずつ、自分の気持ちを大切にしながら行動できるようになってきました。


聖ラマを救うことと、辺境伯領での幸せな生活。その両方を守るために、エルマはこれからどんな選択をするのでしょうか?


次回は、王宮から届く新たな情報と、聖ラマを救うための具体的な作戦が動き始めます。


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!


ブックマークや評価、ご感想をいただけると、とても励みになります。


これからもエルマと、ラインハルト様、そして可愛いもふもふたちの物語を、どうぞよろしくお願いいたします♪

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