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転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
皇国の中心に忍び寄る仮面

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第1話 皇城到着と教皇との謁見――“皇国の中心”に潜む影

皇城の白い石壁が夕陽を受け、黄金色に染まっていた。

その荘厳さは、王国の城とはまったく異なる宗教国家としての威圧感を放っている。

ラースは馬車の窓からその光景を見つめ、胸の奥に冷たい緊張が走るのを感じた。


(……ここが、シャーリーが“聖女”と呼ばれる場所か)


セシリアは隣で静かに息を整えていた。

王女としての威厳を纏いながらも、その瞳の奥には、ラースと同じ警戒が宿っている。

馬車が城門をくぐると、皇国の騎士たちが整列し、来賓を迎える儀礼が始まった。



謁見室は高い天井と巨大なステンドグラスに囲まれ、光が神聖さを演出していた。

中央には皇国の教皇が座している。

白い法衣、金の刺繍、静かな眼差し。

セシリアは優雅に礼をし、ラースもそれに倣った。

教皇は穏やかな声で挨拶を返す。


だが――ラースの視線は、教皇の背後に控える侍従たちへ向けられていた。


(……違和感は、今のところない)


しかし、胸の奥にざらつく感覚が残る。

仮面の者は、“人の顔を奪い、成り代わる”。

ならば――この場にいてもおかしくない。

謁見は形式的に終わり、一行は来賓用の部屋へ案内された。



来賓室は皇城の一画にあり、セシリアと侍女が中央の部屋に、

その両隣に護衛騎士が入る形で配置された。

ラースは部屋に入ると、セシリアに呼ばれた。


「ラース、少し話しましょう」


セシリアは椅子に腰掛け、ラースを手招きした。


「夜の懇親会で、次世代の聖女候補と挨拶する時間があるわ。

 その時、あなたはわたくしの背後に立って、

 “その子がシャーリーかどうか”を確認して」


ラースは頷いた。


「もしシャーリーなら……

 前ループで数年後に“成り代わられていた”ことになります」


セシリアの表情が引き締まる。


「つまり、仮面の者を率いる存在が、

 皇国の内部にいる可能性が高いということね」


ラースは拳を握った。


「特に気になるのは……なぜシャーリーたちが

 “あのタイミング”で帝国国境へ派遣されたのか。

 危険を認識していたはずなのに」


セシリアも眉を寄せた。


「……誰かが意図的に送り出した、と考えるべきね」


皇国の宗教中枢に潜む“影”が、静かに輪郭を現し始めていた。



侍女がセシリアをドレスアップし始めると、部屋の空気が少し柔らかくなった。


「お嬢様、こちらのドレスが最も映えますわ!」


セシリアは少し困ったように微笑む。


そしてラースも――護衛として“礼装”を着せられた。


「……似合っておりますよ、ラース様!」


侍女の満面の笑みに対し、ラースとセシリアは微妙な表情を浮かべた。


(……慣れない)


だが、侍女は満足げだった。

こうして、2人は皇国の“中心”へ向かう準備を整えた。

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