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転生したおじさん、いきなり放り込まれた戦場で生き延びたい  作者: なごやかたろう
巡り戻る運命と、“顔を奪う者たち”

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第3話 1年後の再会――仮面の追撃と、“消える死体”

半日ほど森を歩いた頃だった。


――キィンッ!


金属がぶつかり合う鋭い音が、森の奥から響いた。

ラースの身体が反射的に動く。


「……来たな」


前回と同じだ。

だが、今回は違う。

1年間積み上げた経験と装備、そして“覚悟”がある。

ラースは音の方向へ駆けた。



視界が開けた瞬間、ラースは息を呑んだ。

ローブ姿の少女――シャーリー。

その周囲を、レオン、ガルド、ミリア、エリスが守る陣形。


前回とまったく同じ光景。

だが、ラースの胸に走ったのは“既視感”ではない。


――これは、避けられない運命だ。

黒装束に白い仮面の集団が襲いかかっていた。


「……また、こいつらか!」


ラースは迷わず叫んだ。


「助太刀する!!」


同時に、アイスランスを四発、連続で放つ。

氷の槍が仮面の兵の足元に突き刺さり、動きを止める。

その一瞬で、レオンたちは押し返しに成功した。


「お前さん……!」


驚く声を無視し、ラースは仮面の集団を睨みつけた。


「逃がすか……!」



仮面の集団は散り散りに逃げ始めた。

ラースはその中の一人に狙いを定め、アイスランスを連発する。

氷の槍が胸に突き刺さっても、仮面の男は痛みを感じていないかのように走り続ける。


「……やっぱり、こいつら……!」


ラースは魔法で動きを誘導し、距離を詰めた。

剣を抜き、仮面の男の首へ振り下ろす。

ザシュッ!

首に致命傷の手応えを与えた。


だが――

倒れたはずの身体が、痙攣しながら立ち上がろうとした。


「……まだ動くのかよ……!」


ラースは剣に風刃をまとわせた。

空気が震え、刃が鋭さを増す。


「これで……!」


二度目の斬撃。

風の真空が首元を切り裂き、完全に首を刎ね飛ばした。

仮面の頭が地面に転がり、身体が崩れ落ちる。

ラースは息を整え、倒れたはずの仮面の男を見下ろした。


「……終わったか?」


その瞬間。


――いない。

ラースは目を見開いた。


「……は?」


確かにここに倒れていたはずだ。だが、跡形もなく消えている。

血もない。

肉片もない。

ただ、土がわずかに乱れているだけ。


「……どういうことだ……」


まるで――最初から存在しなかったかのように。




「 大丈夫か!」


レオンたちが追いついてきた。

ラースは深く息を吐いた。


「……ああ。だが、逃げられた」


レオンは安堵の表情を浮かべた。


「助かった。お前さんが来てくれなかったら……」


ミリアとエリスも礼を言う。

ラースは右手を差し出した。


「ラースだ。冒険者をしている」


レオンはその手を握り返す。


「レオン・ヴァルツァーだ。戦士だ」

「ガルド・ハーケンだ。両手剣使いだ」

「ミリアよ」

「エリス」


そして――ローブの少女が名乗った。


「シャーリー……です」


ラースとシャーリーの目が合った瞬間、胸の奥がざわついた。


――カイン。

なぜか、カインの姿が脳裏をよぎった。

シャーリーも、ラースから目を離せない様子だった。


「……やっぱり、この子は……」


ラースは胸の奥に、言葉にならない確信を覚えた。



「とりあえず、近くの集落まで一緒に行くかい?」


ラースが声をかけると、レオンは深く頷いた。


「助かる」


こうして、ラースは再びレオン一行と共に歩き出した。

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