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アレク様が捕まった日から数日間。僕は徐々に戻ってくる記憶に身体が耐えられず体調を崩した。
動けるようになったのは、全てを思い出して数日経った後だった。
身体も動くようになったし今の状況を把握したい。でも先にノエル君とクロードのお見舞いに行かないと。
「シリル様どちらへ行かれるんですか?」
部屋を出ると扉の前に立っていた侍女に話しかけられた。予め書いておいた紙を彼女に見せる。
『ノエル君とクロードのお見舞いに行きたいのですが、案内してもらってもいいですか?』
「かしこまりました。こちらです」
侍女は綺麗な一礼をした後、僕を連れて先に進む。
彼女に着いて向かう道中、何人かの重鎮の方たちとすれ違った。皆一様に焦った表情をしており、時折「まさかアレク様が……」「あんな酷いことを……」なんて声が聞こえた。
前を歩く侍女の肩を叩き尋ねる。
『ノエル君とクロードは目を覚ましてますか?』
「……いえ、お二人ともまだ目を覚まされていないそうです」
『そうですか、教えて頂きありがとうございます』
彼女は僕に一礼をすると、また前を向いて歩き出す。
当事者の二人がまだ目を覚ましてないのに、国の重鎮がアレク様がやったと簡単に話している。普通ならありえないし、軽々しく誰が聞いているか分からない廊下で話してはいけない。
すれ違った方は慎重な性格で口が固い。そんな方が話しているということは、セドリックの力が働いているに違いない。
早く決着をつけないと……。
「到着しました」
『案内ありがとうございます』
「私は外でお待ちしておりますので、終わりましたらお部屋までご案内します」
『助かります』
深々と頭を下げる侍女の挨拶を受け、二人が眠る医務室の扉に手をかける。
静かに開けた扉の先には、白い包帯を身体中に巻き付けて眠る二人がいた。
ノエル君の手のひらにそっと触れると、温もりを感じれた。生きていることを実感できホッとする。
僕のせいでごめんね、痛かったよね。まだ幼い君にこんな傷を負わせてごめんね。
守れなかった情けない自分が悔しくて涙が自然と溢れ落ちる。
「んっ……」
「っ!」
「……なかな……いで……」
ぼんやりとした焦点が定まらない目。おそらく意識もまだハッキリしていないんだろう。
だけど今は、声を聞けただけで泣きたいほど嬉しい。
痛くないよう少しだけ力を込めて手を握る。
「え、へへ……と、うさま……」
ノエル君……。そうだよね、本当のお父様に会いたいよ、ね───。
「シ、リル……とうさま……」
今、なんて……?
「すぅ……」
衝撃で固まる僕を置いてノエル君は再び眠りにつく。
ノエル君の今の言葉って……聞き間違い?……いや、ちゃんと聞こえた。でも僕がノエル君の父親って……。
コンコン
混乱していると外からノック音が響く。
「お見舞い中失礼します。定期検診のお時間なのですが、入ってもよろしいでしょうか?」
診察……。そうだ、二人はまだ重症の身だ。検診を優先しないと。
扉を開けて医師に頭を下げる。笑って会釈をし、交代で部屋を出る。
「シリル様、もうよろしいのですか?」
『はい。姿を確認できて良かったです。ありがとうございます』
「では、お部屋までご案内します」
『ありがとうございます。でも───』
もう一人会いたい人がいる。
『アレク様の元に案内してください』
悪魔の策略でに引き離される前に話しておきたい。




