橋の近くの交差点
水曜日は、冷めてしまった味噌汁から始まった。
母は俺が起きる前に出かけた。コンロの上の小さな鍋は、蓋にまだわずかな温もりを残しており、その横には慌てて書いたせいで右に傾いた手書きのメモがあった。戸締まりを忘れないで。ガスは開けすぎないこと。 署名はなかった。母はいつもメモに名前を書かない。読むのは一人だけだと思っているからだ。
俺はその味噌汁を温め、平らげ、茶碗を洗い、昨夜作っておいた弁当を詰めた。ご飯、卵焼き、ソーセージの切れ端。原価は二百円ほど。コンビニで買えば三倍はする。
七時十分過ぎ、俺は鍵をかけて家を出た。
朝の空は雲一つない快晴で、今日はうまくいきそうだと思わせる種類の晴れだった。実際はそうとは限らないのに。桜の花びらはほとんど散り、湿った枝には若い緑の葉だけが残っている。歩道の端では、昨夜の竹箒が誰かの家の塀にもたれかかっていた。
普段は自転車で二十分の距離だ。だが学校は自転車通学の許可登録を義務付けており、許可証のステッカーは金曜日まで配られない。それまでは歩きだ。三十五分。問題ない。歩くのは無料だから。
学校へのルートは、角のコンビニを通り、奇妙に並んだ植木鉢のある家々の列を抜け、短いコンクリート橋がかかる小川へと下る坂道を通る。橋の向こうには、なぜか必要以上に長く赤信号が続く交差点がある。俺はあのアスファルトのひび割れの一つ一つを知っている。中学の時から、三年間毎日通った道だからだ。
そしてそのせいで、背後からあの声が聞こえても、さほど驚かなかった。
「ハル!」
振り返らない。俺はただ赤信号で立ち止まった。
足音が慌ただしく近づき、息切れが続き、誰かが大きく揺れる鞄を提げて俺の隣で立ち止まった。高いポニーテールが一度、二度跳ねて、止まった。
「歩くの早すぎだよ」とあかりは膝に手をついて前屈みになりながら言った。「コンビニから走ってきたんだよ! コンビニから! なのに聞こえてないし!」
「聞こえてた。」
「振り向かなかったじゃん!」
「お前だって分かってたから。」
彼女は顔を上げ、複雑な表情で俺を見た。ムッとしているのか、嬉しいのか。そして短く笑い、体を起こした。
「それ、なんていうか……いい返事? それともムカつく? どっちか分かんない。」
「どっちかにしろ。」
「ムカつく」と彼女は言ったが、笑っていた。
信号が青になった。俺たちは一緒に横断歩道を渡った。肩の距離は一歩分、昔と同じ距離。俺が意識して保っているわけじゃない。彼女もそうなのかもしれない。
「引っ越したって言ってなかったよね」とあかりが突然言った。「さっき、あの路地から出てきたの見たよ。前は逆の方から来てなかった?」
「近道だ。」
「いつから近道なんて使うようになったの?」
「もう一つの道が二分長いからだ。」
「また数えてる」と彼女は言い、古いおもちゃを見つけた子供のように顔を輝かせた。「私の知ってるハルは、いつも変なもの数えてた。門から教室のドアまで何歩とか。確か、百四十歩だったよね。」
「百三十八歩だ。」
「は?」
「中学の時は。ここでは違うかもな。」
彼女は一瞬歩みを止め、俺を見つめ、それからまた笑った。今度はもっと大きな声で。電線に止まっていた数羽のスズメがそれで飛び立った。
「覚えてるじゃん!」
「違う。数えただけだ。」
「それ同じことだよ、ハル!」
俺は反論しなかった。同じなのかもしれない。深く考える気はなかった。
俺たちは緩やかな上り坂を歩いた。あかりはほとんど途切れずに話していた。ペンキの匂いがする新しい部屋のこと、門の前でいつも待っている隣の猫のこと、新学期前の夜に眠れなくて、結局新しい制服がダサく見えたらどうしようと想像しながら横になっていたこと。俺は半分だけ聞いていた。残りの半分はただ流れていった。店のラジオの音のように、何を言っているかは覚えていないが、心地よいとだけ覚えている。
「あ、そうだ!」と彼女は突然、指を立てて言った。「今朝、友達と約束してるんだ。月曜に知り合ったばかりだけど、すごくいい子で、学校の近くのパン屋から一緒に行こうって誘われてるの。ハルも来る? 紹介するよ。」
「行かない。」
「また即答!」
「誰かと知り合う必要はない。」
「でもハルは昔……」
彼女は言葉を途中で止めた。
俺は振り返らなかったが、感じていた。もう少しで出かかった何かを、彼女が飲み込んだ小さな間。その間はほんの一秒だったが、俺には彼女が何を言いかけたか分かるほど、彼女のことを知っていた。ハルは昔、誰とでも知り合うのが好きだった。ハルは昔、笑っていた。
「いいよ」とあかりは、自然には聞こえないほど軽い声で言った。「忘れて。なんとなく言っただけ。」
「ふーん。」
俺たちは数歩、無言で歩いた。遠くに学校の建物の屋根が見えてきた。灰色で、旗竿の小さな旗が風にゆっくりと揺れている。
「ねえ、ハル。」
「ああ。」
「私、先に行くね。あの子、もうパン屋の前で待ってるし、あんまり待たせるのも悪いから。」
「ご自由に。」
「『ご自由に』って、許可を求めてるみたいに言わないでよ」と彼女は言った。今度はいつもの調子だった。ウィンクして、少し舌を出し、走り出した。
ポニーテールが鞄の後ろで揺れ、小さくなり、遠ざかり、角を曲がって塀の向こうに消えた。
理由もなく、俺は彼女が見えなくなるまで見送った。
いつもそうだ。昔から、先に行くのはいつもあかりで、後ろを歩くのは俺だった。昔はそんなこと考えもしなかった。今も考えていない。
俺は歩みを再開した。
学校への道はますます賑やかになる。制服姿の生徒たちが小さな路地から現れ始め、一人で、あるいは集団で歩いている。あくびをする者、携帯を見つめる者。石鹸の匂いと朝の空気が、角の店から漂うパンの香りと混ざり合う。無意識に歩数を数えていた。昔からの癖で、消えないものだ。二百、二百一。
学校の門が見えてきた。二本の灰色の柱、真ん中に校名の看板、首にホイッスルを下げて立つ教師。
門の前、二十メートルほど先に、一人で歩く女子生徒がいた。
長い黒髪、一部を上に結んでいる。背中の小さな白いリボンが、歩くたびにわずかに揺れる。
顔を見るまでもなく、誰か分かる。
周囲の何人かの生徒が一瞬歩みを緩めた。男子二人が囁き合い、それから鞄の紐を直すふりをして忙しそうにした。女子一人が一度振り返り、また振り返った。彼女と共に動く磁石があるかのように、左右から音もなく視線を引き寄せている。
彼女は静かに歩いている。誰も見ず、うつむきもしない。
深町美月。
今日が晴れだと気づくのと同じように、俺はそれに気づいた。事実であって、関わり合いではない。
俺は歩みを緩めなかった。速めもしなかった。どちらにする理由もない。同じ門に向かっているのは、その門が唯一の門だからだ。
俺はまっすぐ前を見た。学校の看板を見て、歩数を数えた。
二百五。二百六。
下駄箱の部屋では、いつものようにゴムと埃の匂いが出迎えた。上履きに履き替え、外履きをロッカーに入れ、短い動作で閉める。二列隣のロッカーで、別の金属扉が静かに閉まる音、それから階段の方へ遠ざかる軽い足音が聞こえた。振り返らなかった。
教室に着くと、席は半分ほど埋まっていた。俺は窓側から三列目の自分の席へ歩き、鞄を置いた。
前の席で、誰かが背筋を伸ばして本を読んでいた。
「おはようございます、佐々木くん。」
その声は優しく、大きくなく、返事を期待していないかのような挨拶だった。
「おはよう」と俺は言った。
それだけ。彼女は読書に戻り、俺は鞄に向き直った。
ノートを取り出し、開き、今日の日付の下に一行書いた。
水曜。晴れ。自転車はまだ禁止。
もう一つ、重要でないから書かなかったことを、しばらく覚えておいてすぐ忘れた。今朝、門へ向かう全生徒の中で、俺が言葉を返したのはあかりだけであり、教室で俺に話しかけたのは一人だけだった。
それは記録する必要のないことだった。




