洪水標の石柱
市立図書館は駅の向こう側、椿の木が生えた小さな庭のある二階建てのレンガの建物にあった。ゴールデンウィーク最初の土曜日、十時十分前、私はすでに入口の前に立ち、自転車を駐輪ラックに立てかけていた。
「佐々木くん。」
振り返った。水希が大きな布の鞄を肩にかけ、茶色の紙で包んだ本を一冊手に、正面の階段に立っていた。白いリボンはいつもより少しだけ整って見えた。
「早いのね」と彼女は言った。
「君のほうが早い。」
「わざとよ。朝の図書館はもっと静かだから。」彼女は小さく笑った。「二階の大きな机を三つ、もう目星をつけてあるの。一番窓に近いのはまだ誰も使ってないわ。」
「うん。いいね。」
「それは?」
「効率的だ。」
彼女は満足そうにうなずいた。その日一番の褒め言葉をもらったばかりの人のように。
明かりと相沢は一緒に来た。十分遅れて、階段まで聞こえる声で。
「ごめん、ごめん!パン屋で並ばなきゃいけなくて!」明かりは大きな編みかごの鞄を机に落とした。その音に受付の奥から司書が振り返った。「みんなのお弁当持ってきたよ!」
「しーっ」と司書——眼鏡をかけた中年の女性で、高校生から「ごめんなさい」という言葉を何度も聞いてきたらしい——が言った。
「ごめんなさい!」と明かりはもっと大きな声でささやいた。
「あの子、話す声より大きい声でささやいてる」と相沢が私たち全員に、観察結果を報告するように言った。
「相沢くんも遅刻よ」と水希は丁寧な笑みで言った。
「道で日向に会ったんだ。迷ってたから。」
「迷ってない!美しい回り道をしただけ!」
私は二人を見て、それからノートを開いた。「始めよう。」
私たちは二階の窓際の大きな机の周りに椅子を三つ引いた。朝の光がガラスを通って斜めに入り、水希が私たちが来る前に集めてくれていた郷土史の本の山にちょうど落ちていた。
「まず、テーマ」と相沢はペンで机を叩いて言った。「各グループは川辺公園にある歴史的な場所について一つレポートを書かなきゃいけない。俺は公園の端にある老舗のラーメン屋を提案する。歴史はもう四十年以上だ。」
「それ、飲食店でしょ!」と明かりが叫んだ。
「歴史ある飲食店。」
「歴史的な場所には資料が必要だ」と私は言った。
「ラーメン屋には資料がある。レシートって言うんだ。」
「相沢くん」と水希は柔らかく言った。「一つ提案してもいいかしら?」
「どうぞ、賢明なる議長が聞いております。」
「郷土史の棚に、あの公園の洪水標の石柱についての本があるの。」水希は青い表紙の本を一冊開き、白黒写真を見せた。大人の胸ほどの高さの石柱で、側面に水平の線が刻まれていた。「それぞれの線が、ある年の大水害の水位を示しているの。一番上は1959年の洪水。」
「退屈そうだな」と相沢は言った。
「かもしれない」と水希は言った。彼女は少しうつむいてその写真を見つめた。「でも、それぞれの線は、水が引いたあと、この街の人々が家を建て直したことも示しているの。そして、誰も忘れないように、線を刻み続けたの。」
机の上が一瞬静かになった。
「資料はある」と私は言った。「費用はゼロ。賛成。」
明かりは少し口を開けて私を見た。「ハル、意味がわかって賛成したんじゃないでしょ?無料だからでしょ。」
「両方だ。」
「それ、史上最もハルらしい理由!」
「決まり」と相沢は机を一度叩いて言った。「七番グループは正式に洪水標の石柱を担当する。」
「しーっ」と遠くから司書が言った。
正午、私たちは図書館の庭に出て、椿の木の下のベンチに座り、それぞれのお弁当を開けた。相沢は隣の店でサンドイッチを二つ買い、それを私たち全員に差し出した。伝統のように。
「たくさん持ってきたよ!」と明かりは編みかごを開けた。中には三段重ねの弁当箱があり、三角のおにぎり、卵焼き、そして別の容器にクッキーがいくつか入っていた。「青い箱は私が自分で作ったやつだから……最善を期待してて。」
「不安になるな」と相沢は言った。
「黙って!」
「私も少し持ってきたわ」と水希は布の鞄から小さな箱を開けた。中には卵サンドと、きれいに並べられた果物の切り身があった。速さよりも丁寧さを好む人の仕事のように。「たまたま作りすぎたの。どうぞ。」
彼女はその箱を私の方へ、私にだけ差し出した。
「弁当は持ってる」と私は言った。
「知ってるわ」と水希は言った。「でもこれ、私一人では食べきれない量なの。」
明かりはその箱を見た。それから自分の鞄を見た。それから私を見た。
「ハル、これは私の青い箱でもあるよ!」彼女は両手で自分の箱を差し出した。顔は必要以上に少し赤かった。
相沢は私たち三人を交互に見て、ルールはわからないがとても楽しんでいるスポーツ観戦者のような表情をしていた。
私は手の中の三つの箱を見つめた。自分の弁当、水希のサンドイッチ、明かりの青い箱。
「わかった」と私は言った。「全部食べる。」
「全部?」と明かりが言った。
「捨てるよりいい。」
「それ……全然ロマンチックな答えじゃない」と相沢は笑いをこらえて言った。
「ロマンチックなつもりはない。効率的なだけだ。」
水希は手のひらで口を覆い、肩を細かく震わせた。明かりは唇を噛み、それから吹き出して笑った。相沢はもうこらえきれず、ベンチから落ちそうになるまで大笑いした。
私は全部食べた。水希のサンドイッチは美味しかった。きれいでバランスが良かった。明かりの青い箱のクッキーは端が少し焦げていたが、中の甘さはまだ感じられた。
「どう?」と明かりは目を輝かせて私を見て聞いた。
「焦げてない。」
「ハル!」
「真ん中は。」
「それでも褒め言葉?」
「事実。」
明かりは両手で顔を覆って笑った。
午後、私たちは図書館で作業を続けた。相沢は公園の古い地図を見つけ、遊歩道ができる前の石柱の位置を示していた。明かりは1959年の洪水についての新聞記事を見つけ、声に出して読んだ。司書が来て、何も言わずに人差し指を唇に当てるまで。私はすべての資料を記録し、レポート用の写真印刷代を計算した。一人百五十円。水希はノートにレポートの構成を、まっすぐで整った文字でまとめた。
四時近くには、完全な枠組みができていた。
「すごいな」と相沢は椅子にもたれて言った。「うちのグループが一番早いよな?他のグループはまだ混乱してるに違いない。」
「それはハルと深町さんのおかげだよ」と明かりは言った。「私と相沢は手伝っただけ。」
「俺はやる気で手伝った」と相沢は言った。
「それは手伝いじゃない。」
「モラルだ。」
水希は静かに本を閉じた。「今日はみんな、ありがとう。同じグループでよかったわ。」
その言葉の言い方に何かがあった。静かで、軽くて、でも彼女の目は一瞬だけ私の方へ動いて、それから他の人たちに戻った。
「また会おう」と相沢は手を挙げて言った。「第二回会議はいつだ?連休明け?」
「水曜」と私は言った。「放課後。スケジュールはもう計算してある。」
「さすがにお前は計算してるよな」と相沢は言った。
私たちは図書館の前で別れた。相沢は電車で帰った。明かりは両手で手を振り、バス停へ走っていった。水希はしばらく階段に立ち、ビルの屋根の間でオレンジ色になった空を眺めていた。
「佐々木くん」と彼女は言った。
「うん。」
「サンドイッチ……美味しかった?」
「美味しかった。」
「よかった。」
それだけだった。彼女は小さく笑みを浮かべ、少しお辞儀をして、階段を下り、通りの角に消えた。
私はラックから自転車を取り、鍵を確認し、川沿いの道を家へと漕いだ。
毎日通る短いコンクリートの橋の真ん中で、私は少しだけ止まった。水は静かで、夕光の下で小さなさざ波が立つだけだった。
私は橋の欄干を見つめ、石柱の水位線を想像した。それからまたペダルを漕いだ。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました。そしてこれから先は、今日から毎週2話ずつしかアップロードしませんので、どうぞお楽しみに!




