徒花の村 ――村の女はみな花に還る。あたしだけが、人だった
最終エピソード掲載日:2026/09/19
うちの村の女は、みんな足りていない。
母と姉は、そのいちばん目立つ看板だった。
毎朝、知らない男が母と姉の部屋から出ていく。あたしはその後始末をする。
湯を替え、痣を拭き、花畑に水をやる。
十八になっても男を迎えないのは、この村であたしだけ。
母は言う。男は女のいちばんの滋養だと。
姉は笑う。いっそ今夜、一人あげようか、と。
――ある朝、母の寝床に、母はいなかった。
散っていたのは、花びらだけ。
姉はそれを両手ですくい上げて、笑った。
「増えた。うちの種花が、また増えた」
この村の女がどこから来て、どこへ帰るのか。
あたしだけが、知らなかった。
母と姉は、そのいちばん目立つ看板だった。
毎朝、知らない男が母と姉の部屋から出ていく。あたしはその後始末をする。
湯を替え、痣を拭き、花畑に水をやる。
十八になっても男を迎えないのは、この村であたしだけ。
母は言う。男は女のいちばんの滋養だと。
姉は笑う。いっそ今夜、一人あげようか、と。
――ある朝、母の寝床に、母はいなかった。
散っていたのは、花びらだけ。
姉はそれを両手ですくい上げて、笑った。
「増えた。うちの種花が、また増えた」
この村の女がどこから来て、どこへ帰るのか。
あたしだけが、知らなかった。