3章15 ケンイチ 文学部2年(7)
ウメダさんがトイレに行くと、出入口のドアを叩く音が聞こえた。
タケさんがブラインドの隙間からドアの外を確認する。右左前上、外をじっくり観察しているようだ。
「よし、開けていい」
マツさんがドアを開けると、クロスギさんと女性が入って来た。
あれ、あの女性、何でクロスギさんと一緒に外に出てたんだ?
「どうも、ただいま戻りました」
「クロスギさん、すみません。帰りが遅くなってお手数おかけして」
「いえ、ケンイチさんご苦労おかけしました。ウメダさんは?」
「アニキはトイレだ」
その時、「ポスッ、ポスッ」という音と共に悲鳴が上がった。
「うぎゃあああああああ!!!」
「うおおおおおおおおお!!!」
マツさんとタケさんは、右肩から真紅の血を吹き出し、その場に倒れこんだ。彼らは左手で患部をギュウっと握りしめ、苦痛に顔を歪めている。
「ケンイチさん!!」
クロスギさんの声に、俺が振り向いた時、拳銃が「ポスッ」と音をたてて、床に叩き落されて跳ねていた。クロスギさんと一緒に戻って来た女性が、すかさず、落とした拳銃をつかみ取ろうとすると、ケンジの連れだった黒いジャケットの男性がそれを蹴飛ばした。
蹴飛ばされた拳銃はケンジの方に転がっていき、ケンジはそれをさらに店の奥の方に蹴飛ばした。拳銃は滑って消えていった。
それを見た女性はマツさんとタケさんの方へ側転して近づくと、2人の拳銃を取り上げた。
「皆さん伏せて!」
クロスギさんの声に店員さんやお爺さんはしゃがみ込む。
「ケンイチ大丈夫!?」
「あ、ああ……、オレは大丈夫」
ケンジとオレは身を隠しながら無事を確認しあった。
いったい何がおきてるんだ!




