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⑩私の「家族」。パート2

夕食の買い物を済ませ家に帰るとパパはジムへ行きました。


私は洗濯物を畳むことにしました。


パパとお兄ちゃんは黒かグレーのボクサーパンツ。

旬くんのはキャラクターのパンツ。

ちっちゃい。


なんて可愛いの。


子どもの頃のお人形遊びを思い出します。


洗濯物が片付くとリビングの壁中に張り出されているお兄ちゃんと旬くんの絵と作文、賞状などを一つ一つ眺めてみました。


お兄ちゃんは絵が上手く何度か表彰もされています。

旬くんは動物の絵をたくさん描いていました。


そうこうしているうちに子どもたちが戻り

お兄ちゃんは塾の課題をこなし始めました。

旬くんはソファーに座って学校の図書館で借りてきた本を読んでいます。


「これどうやって解くの?」

お兄ちゃんに聞かれました。


パソコン画面にはつるかめ算の応用問題が出ています。


はるか昔に解いた記憶がありましたが

思い出すまで時間がかかってしまいました。


鉛筆を持って止まってしまった私を見て

お兄ちゃんはスマートフォンを取り出します。


「ごめん、解くのに時間制限あるから。」

といって問題文をスマートフォンのカメラで写し

AIに解き方を教わっていました。


何十年経っても同じ問題ね。


繰り返し繰り返し同じ問題と解答を次世代に伝えていく。


その伝言ゲームが実って私の時代になかった道具が生み出されていました。


新しい道具のおかげで

私の出る幕はなさそうです。


夕飯の支度に取りかかることにしました。


無水カレーにしましょ。


午前中に家を片付けているときに

圧力鍋を見つけたのでそう決めていました。


鶏肉を水でよく洗いコマに切り、

フライパンで炒めます。


玉ねぎの皮をむき1.5センチの角切りに。

無水カレーなので玉ねぎの大を4個、

おおよそ1kgでしょうか。


次ににんじん2本、1センチの角切りに。


トマトの大を湯むきし大きめの角切りに。


これらを圧力鍋に入れて火をかけます。


ズッキーニは厚めの輪切りに

ピーマンはザクザク三角に。

この2つは素揚げにして後から入れます。


調理器具を整え、

具材を洗い、皮をむき、切っていく。


料理はマインドフルネスだと思います。


鍋に圧力が入り3分、火を止めたところで

パパが帰ってきました。


パパは子どもたち2人に目をやり帰っていることを確認すると


「カレーにするんだっけ?」

と私に声をかけてきます。


「夏野菜が旬くんの旬ですから。」


パパは私の立っているシンク上の戸棚から何かゴソゴソ出し始めました。


私に覆いかぶさるようになるので

心臓がドキドキしてしまいました。


いい年した「お母さん」がみっともないわね。


「大人はスパイスカレーにしよう。

俺が作るから。

ママも食べるでしょ?」


戸棚から取り出したのは何種類かの香辛料でした。


カレーに凝り出す男の人って多い。


病院で栄養指導していて料理の話になることがあります。

スパイスカレー自慢をして来るのはたいてい男性。

コーヒーに凝るのも男性率が高いわね。


パパは手慣れた様子で圧力鍋の具材を小鍋に移していきます。

そして私は子ども用に市販のルーで甘口カレーを作り、

パパは大人用にスパイスカレーを作ってくれました。


スパイスカレーはパパ用とママ用にさらに分けられます。


「俺のは辛いから。」

というのでちょっと味見をしてみました。


あら、おいしいじゃない。

私はもっと辛くてもいいくらい。

四川料理も好きなんです。


でもそれは言わないほうがいいわね。


私がこちらを選べばパパはさらに自分のカレーに唐辛子を入れるはずです。


カプサイシンで代謝が上がるのはいいですが

パパの胃腸は痛い目にあうでしょう。


競争心を煽るのは利口じゃないわ。


私は水を飲んで言いました。

「私は無理ね。」


「パパ辛いの平気なんだよ。すごいでしょ。」

旬くんが自分のことのように自慢します。


私とパパがキッチンに立っていたからでしょう。

お兄ちゃんも旬くんもいつの間にかそばに来て見ていました。


お兄ちゃんにきゅうりを切ってもらい

旬くんにはレタスをちぎってもらうことに。


きゅうりとレタスと缶詰コーンのサラダ。

ドレッシングはパパがオーロラソースをパパッと作ってくれました。


自分でレタスをちぎってサラダを作ったからでしょう。

旬くんもサラダをよく食べています。


ふと食卓に置かれているアレクサに目が行きました。


過去の写真がランダムに流れています。

私と私の「家族」の過去でした。


あら、芸の細かいこと。

AIに作らせたのかしら?


若かりし頃の私もちゃんと登場していました。


ときおり似ていなかったりもしましたが全体的にはよく出来ているスライドムービーです。


ふふ、そういえば実際に私も髪を明るくしていた時期があったわ。


「消そうか。」


パパが突然聞いてきました。

あまり出来が良くないムービーだったかもと気にしてくれたみたいです。


優しい「夫」ね。

私、本当にいい買い物をしたわ。


後片付けをし、お風呂を沸かし、歯を磨かせ、

旬くんにせがまれた本を読む。


時間はあっという間に過ぎていきます。


まだ9時なのにもう眠たい。


そのまま私の「子どもたち」と朝まで眠っていました。



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