6話 速
勝ちたい
勝ちたい
勝ちたい
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……
…
<コロシアムアリーナ>
ミッケ「ジ、ジェーンちゃん?」
キラキラとした瞳でジェンドゥを見る。
ジェンドゥ「……」
ジェンドゥは無表情。
ミッケ「ジ、ジェーンちゃん、今日はよろしくね!」
ジェンドゥ「……」
ジェンドゥは横目で見る。
その瞳には光が無い。
ミッケ「えっと…私、」
ミッケはキラキラ勇者シールが貼られているボロボロのノートをギュッとする。
ニタァ…ジェンドゥは笑みが溢れる。
ジェンドゥ「…やあやあ!君があの、三池叶君か!」
ミッケ「知ってるの?!」
ジェンドゥはミッケの顔を至近距離で覗き込む。
ニヤァ…ジェンドゥは更に口角が上がる。
ジェンドゥ「三池叶君…君は実に興味深い。そんな歳からスタートするなんて。君はどんな色を持ってるんだい?ジェーンは、研究対象として君に期待しているのだよ」
ミッケ「…け、研究?」
ジェンドゥ「ああ、ジェーンがより強くなるヒントが得られるかも知れないからね。なかなかないのだよ、わざわざスタートを遅らせるというサンプルが。そのデータ有意義に使わせてもらうよ」
ジェンドゥは笑みのままミッケに近寄る。
ミッケは後ずさる。
壁に着く。
ジェンドゥはニヤニヤしながら、ミッケの手、腕、肩…と順にベタベタと全身を確かめるように触る。
ポケットからボロボロの青黒い手帳を取り出し青いペンで殴り書きしている。
ミッケ「…」
ピタッ…ジェンドゥは書く手を止めた。
ジェンドゥ「…なぜ、君は、今更はじめたのか…実に興味深い」
ジェンドゥはミッケの瞳に入るように覗き込んできた─
ジェンドゥ「何故、勝率低いのにこの世界に入ってきた?そもそも勝率見いだせていたのなら何故もっと早くこの世界に来なかった?」
ジェンドゥは顔を傾け真顔で淡々と問う。
ジェンドゥ「本当にやりたかったのなら、なぜもっと早く始めなかったのか?なぜこの歳になるまで、何かを言い訳にして逃げていたのか?何故なのだ?何故やらずにこれた?ジェーンはやりたくて仕方なかったから何がなんでもやるという選択肢一択だった。ジェーンは一番勝率の良い方法で自らここまで来たのだよ」
ジェンドゥは首を傾げる。
ジェンドゥ「環境のせいにしてスタートを遅らせた時点で、君の熱量はその程度だ。君が君を見たら、そう思わんかね?」
ジェンドゥは俯くミッケの視界に入り込むように至近距離に顔を近づける。
ジェンドゥ「…君は勝ちたくないのかい?何のためにやるのだね?ジェーンは勝ちたい。勝つことでしか見れない領域がある。どんな代償を払ってでもね。それに単純に楽しい。ジェーンは楽しむことと勝つこと以外不要なのだよ。…君、指導者は誰だい?時間は有限なのだよ。一人だけでは限界がある。自分ができること以外はやってもらえ。そうすれば自分にしかできない事だけに専念できる。ジェーンの師は本当に優秀なアシスタントだ。居場所を創ってくれたしな。感謝の気持ちでいっぱいだ。君のアシスタントは優秀かい?」
ジェンドゥは優しくミッケの肩に手を置く。
ジェンドゥ「競技勇者…本当に面白すぎる…楽しすぎて他の事なんてどうでもよくなる…。ジェーンはジェーン、師のものでも、他の誰のものでもない…やりたいことしかやらないのが、このジェーンさ。三池叶君…ようこそ我が世界へ」
ジェンドゥは社交ダンスのように招く動作をした
ジェンドゥ「絶対的に必要なスピードの研究以外にも新たな知的好奇心を誘う三池叶君…存分にジェーンを楽しませてくれたまえ…ジェーンのように自分自身をも実験対象とすれば必ずや実験成功し強くなれるはずだ。これは再現性ある実証済みだ」
ミッケに背を向け、指先に糸を垂らしているかのような動きをしながらジェンドゥは歩きだす。
ジェンドゥ「三池叶君…本当にやりたいなら、何か理由をつけずに、最初からなにがなんでも掴み取りに行きたまえ、今度こそな…ジェーンは自分自身すらも操ろう」
口角上がったままの表情変えず、宙を見つめ呟く。
ジェンドゥ「君はどっちだい?選ばれしものか、選ぶものか、はたまた…」
———
続く
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