1話 逃げるが勝ち
「ああ…この一太刀こんなギリギリで避けれた…あ、髪の毛切れちゃった…あんなに怖かった…のに…♡」
ミッケの目には一閃がスローモーションのように見えている。
その表情は瞳孔が開き恍惚の表情。
その瞳孔は傍で見ている三毛猫の瞳とシンクロしている。
ギリギリで躱せば躱すほど脳内のある物質でリミットストッパーが外れる。
強心臓ではないので些細な事でドキドキがフルスロットルで止まらなくなり脳はもちろん全身全霊にその血が行き渡る。
いままでの戦いで負った幾多の顔の傷跡の一つ、頬の傷をかきながら歪な鎌を振るった!
これこそが後に『捨て矛盾』と呼ばれる戦いの一端である
………
……
…
<猫屋敷>
「おーいお猫様~♡おご飯でちゅよー♡」
まだ傷一つないデレデレ顔のミッケ。
ご飯を食べている三毛猫を愛おしそうに見つめ
「はあ…明日から勇者か…戦いなんてできるのかな…」
ミッケのそばに三毛猫がスリスリしに来た。
2人はポカポカ陽気のお昼寝に夢中
………
……
…
七匹の猫
七匹から一匹づつ姿を消していく
二匹が毛づくろいしている
………
……
…
煌びやか室内
凄い疾走感で走り回っている幼いミッケ
それを必死に追いかけている男性たち
それを見ている笑顔の男性たち
それを遠くから一歩二歩退いて畏まって見ている女性たち
走り回っている者たちの後を子猫が追走している
幼子はあえて追いかけてくる男性たちに向かい捕まる寸前でよける、よける、よける
男性同士がぶつかる
捕まえようとする腕を正面からするりと躱し男性のおでこをチョコンとタッチ
それを見ていた周囲の者は大爆笑
幼子の顔は恍惚の笑顔で汗まみれでまだ走り回っている
その光景は黄金の光に包まれ幸せな光景
その光景を猫たちは見ている
猫たちはある方向へ耳を傾けた
寝転んでいた猫も起きた
猫たちは尻尾をピンと立てある方向をジッと見つめている
突如一人、一人と必死の形相で全力疾走していく者たちが現れる
ある者は転び動かなくなる
ある者は背が赤く染まっている
ある者は満面の笑みを浮かべている
皆と同じいでたちの者が赤く染まっている剣を引きずり歩いてくる
その者は満面の笑みの者と握手している
幼子の前にでて守る姿勢をとっている者の前に満面の笑みの者がひれ伏す
満面の笑みのまま立ち上がり突き刺す
満面の笑みの者と幼子が仲睦まじくじゃれ合っている光景が一瞬流れる
その光景では満面の笑みではなく、慈しみに満ちた笑みを浮かべていた
…………
……
…
幼いミッケが涙を流し立ち尽くしている。
煌びやかな飾りは無残な残骸に成り果て、周りは火の海で無数の人影が倒れている。
「…は、早くお逃げくだされ…お…ょう…様…皆の分まで…生きて……」
煙が立ち込め何も見えない。
一面炎。
草原
慈しみに満ちた笑みを浮かべながら「今日もすばしっこいですな~!なにかあったらその才で走り続けてくださいな!ああ、今日も良い一日でしたな」
———
続く
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