第81話 瞑想 講義
次の日、ルーヴァの授業は瞑想の講義だった。
「言葉で説明するより、やった方が早いのじゃ」
そう言って、ルーヴァは杖を突きながら教室を出た。
「森へいくのじゃ」
生徒たちが、ぞろぞろと後に続く。
学舎を出て、東へ続く道を歩いた。踏み固められた土は、朝の霧をまだ吸ったままで、靴の底が沈む。
しばらく進むと、道の北側に開けた土地が広がった。
なだらかな斜面が、丈の短い草に覆われている。遮るものがなく、風がそのまま吹き抜けていく。
「あそこ、なんですか」
サクが指を差した。斜面の途中に、波のような筋がいくつも横に走っている。
「昔、畑にしようとした土地じゃ」
ルーヴァは歩みを止めずに答えた。
「土が痩せておって、途中でやめたと聞いておる。わしが来るより、ずっと前の話じゃ」
畝の跡だけが残っている、ということらしい。
レイは足を止めて、反対側に目をやった。道の南側は、背の高い草がびっしりと茂り、その奥に暗い森が続いていた。中は見えない。
小走りで、列に戻る。
◇
さらに東へ進むと、水音が聞こえてきた。
綺麗な川があった。
上流のほうに目をやると、木々の切れ間に白い滝が一筋、ゆっくりと落ちているのが見えた。ザー、という滝の音が、微かに聞こえてくる。
水は、川底の小石が見えるほど澄んでいた。浅瀬では、さらさらと柔らかな音を立てている。
川底の石は白っぽく、どれも角が取れて丸い。
岸辺には淡い緑の草が広がり、ところどころに平たい岩が転がっていた。
爽やかな空気を大きく吸い込んだ。学舎のあたりより一段冷たい。
枝の高いところに、黄色い小鳥がとまっていた。
ピロロロロー、と澄んだ声が、川の上に長く尾を引く。
少し間を置いて、今度は向こう岸から、よく似た声が返ってくる。
葉がかすかに揺れ、風が川面を撫でた。冷たく澄んだ風が頬をかすめ、髪を揺らし、そのまま背後の森へ流れていく。
「ほほ。ここが良さそうじゃな」
ルーヴァが満足そうに頷いた。
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