第75話 薬草採取の実習
「今日は、外に出るぞ」
朝の教室で、マークがそう告げた。
「薬草採取の実習だ。四人一組で行動しろ」
途端に、教室がざわつく。
前の席のサクが振り返った。
「レイ、一緒にやろうぜ」
「うん」
サクのおかげで一人にならずに済みほっとした。
「よし、決まりな」
サクは、もう立ち上がっている。相変わらず、動き出すのが早い。
「おい、そこの二人組。あと二人足りんぞ」
マークが、教室を見回しながら言った。
「じゃあ——ハナ、スイ。お前らはそっちの班に入れ」
「はーい」
明るい返事とともに、一人の女子がこちらへ歩いてきた。
肩から胸元まで届く、柔らかな茶色の髪。その右側を大きく編み込んで、太い三つ編みにしている。編み込みの隙間には、小さな白い野花が一輪、そっと挿してあった。歩くたびに、その花が揺れる。
髪と同じ、明るい茶色の眉。日に焼けた頬は健康そうで、鼻の頭が少しだけ赤い。外で過ごす時間が長いことが、一目で分かる肌の色をしていた。
黄褐色——琥珀に近い色の瞳が、こちらを見て、にっこりと細められる。
背丈は、レイと同じくらい。細身だが、足腰はしっかりしている。制服のスカートの裾には、うっすらと土の跡が残っていた。
「ハナです。よろしくね」
「あ、うん。レイです」
「知ってる。校長先生に、毒キノコの質問した子でしょ」
「……あの時のこと、みんな覚えてるんだ」
「あんなの、忘れるわけないよ」
ハナが、くすくすと笑う。声も明るく、よく通った。
その後ろから、もう一人が、ゆっくりとした足取りで歩いてきた。
淡い青銀色の髪が、腰のあたりまで伸びている。細く、柔らかそうな髪質だった。腰まで伸びた髪を、背中の低い位置で、濃紺のリボンでゆるく束ねている。
肌は、白い。透き通るような、と言っていいほどに。
透明感のある淡い青色の瞳が、こちらを見ている。まぶたが少し重たげで、いつも眠たそうな印象を与えた。長い睫毛が、瞳に薄く影を落としている。
体つきは華奢で、制服の袖から覗く手首も細い。ハナより少しだけ背が高いのに、その分、余計に細く見えた。
歩くたびに、束ねた髪が揺れる。
「……スイ」
それだけ言って、こくりと頷く。
「よ、よろしく」
「……よろしく」
声は小さく、動作もゆっくりとしている。
マイペースな感じだ。
言葉が少ない。けれど、無愛想というわけではなさそうだ。
口数が少ない印象を受けた。
「スイは、いつもこんな感じだから気にしないで」
ハナが、慣れた様子でそう言った。
「……ハナ、勝手に説明しないで」
「事実でしょ」
「……まぁ」
否定はしないらしい。
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