第74話 ギルド職員 クレマ
クレマは真面目な性格なのか、一生懸命に答えているのが伝わってくる。
「先生ー、質問いいですか?」
「大丈夫ですよ。ハナさん、どうぞ」
「魔獣の素材って、どんなものが取引されるんですか? 植物系の魔物とか、いるんでしょうか」
「魔獣の素材は……皮から爪など、多岐に渡ります。希少度によって値段が変わりますよ」
そこまではすらすらと答えたが、次の質問で止まった。
「植物系……えっと」
クレマが、また紙をめくる。
「吸血蔓とか、そういう……あ、いえ、あれは魔物というより、魔法植物の分類で……」
言葉が、途中で止まった。
「……すみません。正確なところは……」
紙をめくる手が、止まる。
「あ、思い出しました。人食い花とかが、植物系の魔物としてダンジョンに生息してます」
顔を上げて、クレマは続けた。
「植物の魔獣はいません。ですが、魔獣に寄生している場合は、植物共生型の魔獣になります」
胸を張って答えた。
「先生、ありがとうございます」
ハナが、ゆっくり席に座る。
(……僕も聞いてみようかな)
レイは、手を挙げた。
「レイ君、どうぞ」
「あの、王都って、どんなところですか?」
クレマの表情が、変わる。
紫の瞳が、大きくなる。
「王都、ですか」
そう繰り返してから、彼女は話し始めた。
「広いですよ。城壁の中だけで、この町が何十個も入るくらい。中央には大聖堂があって、その周りに市場が広がっていて——朝になると、四方の門から荷馬車が入ってきて、道が食べ物と人でいっぱいになるんです」
「王都に来るまでの街道も、面白いんですよ。途中に山越えの宿場があって。冬は雪で閉ざされるから、その時期は南回りの道を使うんですけど、そっちは川沿いで——山の上から見る景色は、絶景ですよ」
言葉が、止まらなくなっていた。
「あ」
我に返ったように、クレマが口を押さえた。
「すみません。私、旅の話になると、つい」
(……この先生)
レイは、思った。
(旅の話をする時、すごく楽しそう)
「クレマ先生、ありがとうございます」
「では、今日はこれで終わりますね」
クレマは、荷物をまとめながら言った。
「次の授業も、よろしくお願いします」
(今度、時間があったら、もっと外の世界のことを聞いてみよう)
レイは、そう思った。
ここまで読んで頂きありがとうございました!
今日も投稿できました。
ありがとうございました!




