第69話 勇気の質問
「はい」
今度は、男の子が手を挙げた。
「どうぞ」
「僕は……勇気がなくて、女の子と上手く話すことができないんです。どうすればいいでしょうか?」
男の子は、意を決したようにルーヴァに伝えた。
「よく言ったのじゃ」
ルーヴァは、静かに頷いた。
「おぬし、気づいておらぬかもしれぬが。今の質問をここで言うこと自体、勇気が必要なことじゃ」
「え」
男の子は呆気に取られた顔をしていた。
「お前さんには、勇気があるんじゃ」
男の子が、目を丸くする。
「わしから言わせてもらうと、そうじゃな」
ルーヴァは、少し考えるように間を置いた。
「間違っていたら悪いのじゃが——色々な女の子と話して、慣れることが必要だと、わしは聞いてて思ったのじゃ」
「お前さんたちは難しい年頃じゃから、なんとも言えんが。わしからは、経験を積むことが大切と言わせていただくのじゃ」
そこで、杖を持ち直す。
「じゃが、注意点を言っておくが。自分の話だけではなく、相手の話を聞くことに焦点を当てるのじゃ」
「自分の話なんて、誰にでもできるからじゃ。……まぁ、聞いてくれる人は限られるのじゃが」
小さく笑ってから、ルーヴァは続けた。
「ただ聞くだけではないぞ。相手の心に耳を傾け、聞くのじゃ。大切な人なら、なおさらじゃ」
「答えは出さんでいい。相手の人生に責任を持つ覚悟があれば別じゃが」
「あとは、その場その場の雰囲気次第じゃな」
男の子はルーヴァの話を真剣に聞いている。
「これだけは言っておくが——相手から聞いた事は、極力誰にも話さない方が良いぞ」
「人によって、話した言葉の重みは違うからじゃ」
ルーヴァの声が、少しだけ低くなった。
「例えばじゃが、その人が勇気を振り絞って伝えたことかもしれぬのじゃ。それは、本人にしかわからぬのじゃ」
「まぁ、そこまで考えていたら生きにくいのじゃがの」
ルーヴァは笑いながら、言った。
「じゃが、それができる者こそが真に信用されると、わしは考えておるのじゃ」
それから、ふと我に返ったように付け足す。
「すまん、余計な話をしてしまったのじゃ。最後の方は、聞き流してもらって構わないのじゃ」
「……ありがとうございます」
男の子は、ルーヴァに深くお辞儀をしながら、お礼を伝えた。
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