第70話 よくわからない質問
「もう質問はないかの?」
(僕も、勇気を出して聞いてみよう)
レイは、勢いよく手を挙げた。
「どうぞ」
レイは緊張しながら答える。
「えっと……見えないところからの魔術攻撃って、どうやって避ければいいですか? 背後からとか、すごく数が多い魔術とか……」
最後は、自分でも何を言っているのか、よく分からなくなってしまった。
「そうじゃな。それは、すごく難しい話なのじゃ」
ルーヴァは、杖に手を添えたまま少し考えた。
「風や水魔法が使えれば、流れで魔力探知ができる者もいるかもしれぬのじゃ」
「土であれば振動、火であれば揺らぎによる探知方法などが考えられるのじゃが……」
(雷は……)
レイは、続きを待った。けれど、その先は語られなかった。
「そうじゃな。練習方法としては、瞑想が良いかもしれないのじゃ」
(瞑想って、何だろう)
「簡単に言えば、感覚を研ぎ澄ます、といえばよいのかの」
ルーヴァは、ゆっくりと説明を続けた。
「治療する時には重宝するぞ。後は、自分の心を落ち着かせることも可能じゃ。処世術としても応用が利くかもしれぬのじゃ」
「魔術に応用するとなると、難しいのじゃが」
「やっぱり、無理なのかな」
思わず、口に出てしまった。
「ちなみに、できない理由はないのじゃ」
「えっ」
「逆に、できる理——」
「そうなんですか!?」
嬉しさのあまり、話を遮って答えてしまった。
「じゃから、できる理由も——」
「ありがとうございます!」
(できるんだ。無理じゃないんだ)
嬉しすぎて、後半の話は、まったく頭に入ってこなかった。
「……まぁ、よい」
ルーヴァは、小さく息をついた。
「これからの授業では、瞑想の方法も取り入れるのじゃ」
「時間はたくさんあるからの。これから大人になっていくのに、心を整えることは必要じゃ」
そして、教室を見回す。
「では、今日は時間になってしまったのじゃ。また、いつか質問を受け付けるのじゃ」
そうして、治療学の授業は終わりを迎えた。
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