第66話 四人での登校
朝の訓練の後、四人で待ち合わせをして学舎へ登校した。
会話の話題は、レイの動きと、メルの風魔法についてだった。
「レイは、なんであんなに上手く避けられるんだよ」
カイが、片手でこめかみを押さえながら言う。
「いや、避けられて良かったんだけどさ。……納得いかねー」
まだ髪が少し湿っている。風呂に入ってきたのだろう。歩きながらも、ぶつぶつと何かを考え込んでいる様子だった。
「レイにも驚いたけどさ」
レンが、メルを見ながら言葉を続ける。
「メルも、なんであんなにたくさん風魔法を撃ち続けられるの? 僕たち二人は、途中でついていけなかったよ」
レンがカイを見ると、カイも深く頷いた。
「んー」
メルは、少し首をかしげた。
「風魔法だから? 風が協力してくれるから……?」
自分でも説明できないらしく、眉を寄せる。
「うーん、説明できないわ」
(風が協力してくれる、か)
レイには、その感覚がはっきりわからなかったが、紫雷が自然に弾けるのと同じ感覚かなと思った。
「みんなのおかげで、濃い朝練になったよ。ありがとう」
レイは、改めて感謝を述べた。
「なんだか納得いかねー」
カイが、もう一度同じことを言う。
「僕たちだけ、置いて行かれた気分だよ」
レンが、少し笑いながら言った。けれど、その声には、笑い以外の何かも混じっている気がした。
朝の道は、まだ涼しかった。
町の中心に近づくにつれ、人通りが増えてくる。荷馬車の車輪の音、店を開ける音、朝の挨拶を交わす声。以前は圧倒されたその賑わいも、今日は少しだけ身近に感じられた。
その後も、四人で他愛もない話をしながら学舎へ登校した。
昨日の授業の話。マーク先生の話。誰がどの席になったか。
教室の前で、足を止める。
「じゃ、またね」
メルが、軽く手を振った。
「後で」
レンが、短く言う。
「またな」
カイは、親指を立ててみせた。
レイも、小さく手を振り返す。
そうして、レイは三人と別れて、二組の教室に入った。
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