三人の覚悟(レン視点)
レイが、僕ら三人の魔法を躱した。
メルと僕の魔法は直線的だから、予測で躱せると思う。
でも、カイのあの予測できない風球を、レイは躱した。
果たして、僕に同じことができるだろうか?
あの予想外の風球を——たぶん、僕は躱せなかったと思う。
(レイは、外の世界を見るために必要だったんだよね)
僕は、レイにそう言った。
(……僕は、なんて上から目線だったのだろう)
努力しているレイに対して。
(きっと僕は、心の底で「外の世界に出るなんて無理だ」と決めつけていた)
(僕は、自分が恥ずかしいし、何よりも情けない)
僕は、二人に打ち明けるため、メルとカイを呼んだ。
レイには、声をかける勇気が出なかった。
「とりあえず、二人に聞いてほしいんだけど」
「うん?」
「僕は……レイの友達失格だ」
「はぁ!?」
カイが、素っ頓狂な声を上げる。
「え、何それ。急にどうしたの」
メルが、身を乗り出す。
「なんかあったのか? レイと喧嘩でもしたか?」
「違うよ」
僕は、首を振った。
「正直、レイが身体強化の練習を一人でやっていたなんて、想像もしてなかった」
言葉が、途切れそうになる。
「まして、朝練も——正直、なんとなくみんなといるのが楽しいからやってたんだ」
「でも、レイは本気で努力していた。それを、今知った」
「……僕は、情けない」
俯いたまま、そう言った。
「……私も」
メルが、小さく口を開く。
「怪我させないように、とか言っちゃった」
「もしかして、私たちを怪我させないように、避けるだけって言ったのかも」
申し訳なさそうに、そう続けた。
「俺も」
カイが、頭をがりがりと掻いた。
「レイが、あそこまで躱せるようになったなんて、びっくりだったぜ」
「俺の場合、レイに武器を作ってやるって——自信満々に言ったんだけどさ」
そこで、少しだけ声が小さくなる。
「今日のあれを見て、正直、覚悟が足りなかったって痛感した」
三人とも、しばらく黙った。
「ただ」
先に口を開いたのは、カイだった。
「レイは優しいから。俺たちが謝っても、たぶんきょとんとするだけだぞ」
メルが、一瞬だけレイの方を見た。
少し離れた場所で、レイは首をかしげながら、こちらを見ている。きょとんとした顔だった。こちらの話など、まったく気づいていない様子。
「……あー。言いそう」
メルが、視線を戻して言った。
「『え、なんで?』って、絶対言う」
「だろ?」
カイが、肩をすくめる。
「むしろ『ありがとう』とか言い出しそう」
メルが、追い打ちをかけるように付け足した。
「それだ。それ言われたら、俺、立ち直れねえ」
カイが、頭を抱える。
二人が、少しだけ笑った。
僕は、笑えなかった。
——たぶん、本当に言うと思ったから。
「……じゃあ」
僕は、顔を上げた。
「僕らにできることは」
「レイ君の思いに、全力で答えることね」
メルが、はっきりと言った。
「それしかないな」
カイも頷く。
(ごめんね、レイ。恥ずかしくて、直接は言えないけど)
(僕らも、行動で示す)
三人の覚悟が、決まった。
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