表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
紫雷の魔法使い  作者: 黒猫
ヴェイル領 第二部
PR
67/74

三人の覚悟(レン視点)

レイが、僕ら三人の魔法を躱した。


メルと僕の魔法は直線的だから、予測で躱せると思う。

でも、カイのあの予測できない風球を、レイは躱した。


果たして、僕に同じことができるだろうか?

あの予想外の風球を——たぶん、僕は躱せなかったと思う。


(レイは、外の世界を見るために必要だったんだよね)

僕は、レイにそう言った。

(……僕は、なんて上から目線だったのだろう)

努力しているレイに対して。


(きっと僕は、心の底で「外の世界に出るなんて無理だ」と決めつけていた)

(僕は、自分が恥ずかしいし、何よりも情けない)


僕は、二人に打ち明けるため、メルとカイを呼んだ。

レイには、声をかける勇気が出なかった。


「とりあえず、二人に聞いてほしいんだけど」

「うん?」

「僕は……レイの友達失格だ」

「はぁ!?」

カイが、素っ頓狂な声を上げる。

「え、何それ。急にどうしたの」

メルが、身を乗り出す。

「なんかあったのか? レイと喧嘩でもしたか?」

「違うよ」

僕は、首を振った。


「正直、レイが身体強化の練習を一人でやっていたなんて、想像もしてなかった」

言葉が、途切れそうになる。


「まして、朝練も——正直、なんとなくみんなといるのが楽しいからやってたんだ」

「でも、レイは本気で努力していた。それを、今知った」


「……僕は、情けない」

俯いたまま、そう言った。


「……私も」

メルが、小さく口を開く。

「怪我させないように、とか言っちゃった」

「もしかして、私たちを怪我させないように、避けるだけって言ったのかも」

申し訳なさそうに、そう続けた。


「俺も」

カイが、頭をがりがりと掻いた。

「レイが、あそこまで躱せるようになったなんて、びっくりだったぜ」

「俺の場合、レイに武器を作ってやるって——自信満々に言ったんだけどさ」

そこで、少しだけ声が小さくなる。

「今日のあれを見て、正直、覚悟が足りなかったって痛感した」


三人とも、しばらく黙った。

「ただ」

先に口を開いたのは、カイだった。

「レイは優しいから。俺たちが謝っても、たぶんきょとんとするだけだぞ」


メルが、一瞬だけレイの方を見た。

少し離れた場所で、レイは首をかしげながら、こちらを見ている。きょとんとした顔だった。こちらの話など、まったく気づいていない様子。

「……あー。言いそう」

メルが、視線を戻して言った。


「『え、なんで?』って、絶対言う」

「だろ?」

カイが、肩をすくめる。

「むしろ『ありがとう』とか言い出しそう」


メルが、追い打ちをかけるように付け足した。

「それだ。それ言われたら、俺、立ち直れねえ」

カイが、頭を抱える。


二人が、少しだけ笑った。


僕は、笑えなかった。

——たぶん、本当に言うと思ったから。

「……じゃあ」

僕は、顔を上げた。

「僕らにできることは」


「レイ君の思いに、全力で答えることね」

メルが、はっきりと言った。


「それしかないな」

カイも頷く。


(ごめんね、レイ。恥ずかしくて、直接は言えないけど)

(僕らも、行動で示す)


三人の覚悟が、決まった。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ