第63話 お願い
レイは三人に、風魔法を撃ってもらい、それを避ける練習をしたいと伝えた。
最初、三人は難色を示した。
「なんか、レイ君をいじめるみたい」
メルが、眉を寄せる。
「風魔法でも、当たったら痛そうだぞ?」
「レイに、怪我してほしくないし」
三人は、口々にそう言った。
(そうだよね。普通は、そう思うよね)
レイにも分かっていた。友達に「魔法を撃ってくれ」なんて、おかしな頼みだ。
それでも、レイは頼んだ。
途中、師匠のことを伝えようかと思った。廃坑で、影に風球を撃たれ続けていること。あれを避けられるようになりたいこと。
けれど、口には出さなかった。
(話が、すごくややこしくなりそうだし……)
(それに、師匠に伝えていいかの許可も、もらってないし)
「もし怪我したらさ、治療院で治療してもらえばいいし」
「それか、水魔法で傷口だけでも洗ってもらえれば、大丈夫」
「みんな、お願い」
レイは、手を合わせながら懇願した。
レンは、何かを考えているようだった。
しばらくの沈黙のあと、口を開いたのはカイだった。
「わかった。んじゃ——いっちょ、やるか!」
「えぇー、やるの?」
メルが、まだ渋っている。
「レイは、外の世界を見るために必要だと思ったんだよね?」
レンが、静かに尋ねた。
その目は、いつもより真剣だった。
「うん。このままだと、全然足りないんだ」
「……わかった。僕も、全力を尽くすよ」
レンが頷く。
「みんな、魔法を人に向けて撃ったことあるの?」
メルが、ふと聞いた。
「ないよ?」
「ないな」
カイとレンの声が重なる。
「……だよね」
メルは、小さくため息をついた。それから、両手を胸の前で握りしめる。
「魔力の調整とか、うまくできないかもだけど……頑張る」
「みんな、ありがとう」
レイは、三人に頭を下げた。
「大丈夫だよー」
「気にすんな」
「怪我させないようにするから」
みんな、笑顔でそう答えてくれた。
ここまで読んで頂きありがとうございました!




