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紫雷の魔法使い  作者: 黒猫
ヴェイル領 第二部
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第60話 レン 目標

学舎の帰り道、レン、カイ、メルは三人で下校していた。


「レイのやつ、帰っちゃったな」


カイが、前を見たまま言った。


「待ってくれると思ったのに」


メルが、少し不満そうに続ける。


「仕方ないよ。担任の先生の話が長かったから、一人で待ってるのはきっと辛いよ」


僕がそう言うと、カイが眉を寄せた。


「そうだけどさー。しかし、なんでレイだけ違うクラスなんだ?」


「わかんない」


メルが、短く答える。


「レイ、すごく寂しそうだったね」


僕が呟くと、二人とも黙ってしまった。


レイがいない通学路を歩きながら、なんとも言えない雰囲気が続く。


「レイのやつ、校長にあんなこと聞くなんて、びっくりしたぜ」


沈黙を破ったのは、カイだった。思い出したように言う。


「レイの目標は、外の世界を旅することだろうからね」


「なんか、寂しい」


メルが、少し俯きながら答えた。


「目標があるって、いいな」


僕は、二人を交互に見ながら聞いた。


「二人とも、目標はあるの?」


「俺の当面の目標は、鍛冶屋を継げるくらい凄腕になって、レイの武器を作るんだ」


手でガッツポーズをしながら、カイが答える。


「私はあまり考えたことないけど……実家の司書を継ぐかな。でも、まだ考え中だよ」


メルは、人差し指を顎に軽く当てながら、困ったように言った。


「二人とも、ちゃんと決まってるんだね」


「レンだって、防衛隊やるんじゃないのか?」


カイが、こちらを見る。


「やると思うけど、なんか違うというか……うまく言葉にできないや」


僕は、遠くの空を見上げながら答えた。


「レンのやりたいことをやればいいんだよ」


さも当然といった雰囲気で、カイが言う。


「ちょっと、考えてみる」


「担任の先生に相談してみたらどうだ?」


カイが、冗談っぽく付け足した。


「いやだよ。すごく話が長くなりそうだから」


「あはは、確かに」


メルが笑う。


その後、三人はそれぞれ家に帰った。


僕は家に帰って、自分のやりたいことを考えた。


でも、その日は、何も思い浮かばなかった。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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