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紫雷の魔法使い  作者: 黒猫
ヴェイル領 第二部
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第59話 困惑

レイは、慌てて起きた。


また、扉の前で倒れていた。倦怠感だけが残っている。


以前と同様、鞘に納刀された古剣が置いてあった。

(少し休憩してから帰ろう)


レイはそう思い、赤い実の酢漬けが入っている壺を探す。


(よかった、あった)


エマとロウエンが準備してくれた赤い実を、ゆっくりと食べる。


口の中に、甘酸っぱさが広がった。

(今日の赤い実は、酸っぱくて美味しい)


気づいた頃には、すべて食べ終えてしまっていた。

(あ、これはエマに怒られる)


でも、身体の芯の疲れが、少し和らいだ気がした。

(これなら、なんとか帰れそうだ)


そして、レイは身体に傷がないことに気づく。

(あれだけ吹き飛ばされて、壁に打ち付けられたのに……打撲も、傷もない)


(不思議と、痛みもないし……なんでだろう)


レイは来た道をゆっくりと帰りながら、今後の朝の訓練について考えていた。


(メル、カイ、レンにも手伝ってもらえたら、避けるのがもっと上手になるかもしれない)


そんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にか屋敷の裏口の近くまで来ていた。


結局、魔獣には出会わなかった。


疲れはあるけれど、赤い実があれば少し回復する。

(今度から、持っていこう)


エマに何か言われそうだ。そう思いながら、レイは裏口から自分の部屋へと帰るのだった。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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