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紫雷の魔法使い  作者: 黒猫
ヴェイル領 第二部
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第53話 学舎が始まっての初めての休日

暑くて、寝苦しい夜だった。


(昨日は、蒸し暑かったな)


早朝に起きて、そんなことを考えながら朝食を食べた。その後、朝練用の動きやすい服に着替え、訓練場へ向かう。


レイが訓練場に着いた時には、レン、カイ、メルの三人がもう来ていた。

レイが到着すると三人とも一斉に話し始める。


「先生の話が、長かった」

「なんで先帰っちゃったんだよー?」

「寂しくなかった?」


レイは、みんなから質問攻めにあいながら、友達ができたことなど、昨日の出来事を伝えた。


「でもよかったよ、友達ができて」

カイが、ほっとしたように言う。


「独りぼっちかもとか、みんなで心配してたんだ」

「三人で迎えに行ったら、教室に誰もいなかったから、びっくりしちゃった」

メルが、少し呆れたように付け足した。


「元気そうで、良かった」

レンが笑いながら伝えた。


みんなで、初めての学舎生活についての話をしてから、朝練を開始した。


「素振り、はじめ」

レイが号令をかける。みんな、その声に従って素振りを始めた。


最近、メルはサボりがちだ。


「終わり」

その声を聞いて、みんな素振りを終了する。


「メル、最近サボってないか?」

カイが少し不満そうに言った。


「だって、疲れるんだもん」


「まあ、自主練だし、いいんじゃないかな」

レンが、あっさりと言った。


「えー、レイはどう思う?」


「ま……まぁ、人それぞれだし?」


「みんな優しいなー」

カイが、大げさにため息をついた。


(みんなといると、安心するな)


(……あ、そうだ。明日、朝練休むこと伝えないと)


「ごめん、みんな。明日は僕、朝練お休みするね」


「レイが休むなんて、珍しいな」


「じゃあ、私も明日休みで」

メルが、即座に言った。


「レイがいないとね」

レンも頷く。


「号令役がいないと、締まらないしな」

カイもさも当然だと言わんばかりに言う。


結局、明日の朝練は、みんな欠席になった。


「まぁ、みんな家の手伝いや用事とか、いろいろあるしね」

レンが、言葉を選ぶように言った。


「レイがいるときは、なるべく来るようにするよ」


「レイがいるときだけかよ!?」


「あんたもそうでしょ?」

メルが、すぐに切り返す。


「痛いとこ、ついてくるな」

(……そうか)

家の手伝いや用事があって、来られない日も増えていた。四人全員が集まることは、少なくなっている。

それでも——


(みんな、僕のために集まってくれてるんだ)

「みんな、ありがとう」


「気にすんな」


「気にしないで」


「大丈夫だよ」


三人の声が、重なった。

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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