第50話 二組
「あー、では続いて。クラス分けを発表する」
マークが、外套の内側から一枚の紙を取り出した。皺だらけで、端の方が少し破れている。
「一年は二組だ。名前を呼ぶから、返事をしろ」
生徒たちの間に、少しだけ緊張が走る。
隣で、カイが小声で言う。
「同じ組だといいな」
「うん」
レイも頷いた。
一学年に二組しかない。だったら、確率としては半分だ。四人全員が同じ組になる可能性は、そう高くないかもしれない。それでも——
(同じだったら、いいな)
マークが、紙を読み上げ始めた。
「一組。カイ・エン」
「はい!」
「レン・ウォルター」
「はいっ」
「メル・フーガ」
「はい!」
レイは、自分の名前を待った。
「以上」
紙をめくる音がした。
「えぇ!?」
「え!?」
「なんでだよ!?」
「なんで!?」
四人の声が、重なった。
「おーい、そこ。静かにしろー」
マークが、紙から目を上げずに言った。
「ちなみに俺は、二組の担任だ」
(え……)
「じゃあ次、二組の発表行くぞ」
「二組。レイ・ヴェイル」
「……はい」
自分の声が、少しだけ掠れた。
(みんなと違うクラスか……寂しいな)
二組の名前は、あまり頭に入って来なかった。
マークが全部読み終えたあと、紙を折りたたんだ。
「んじゃ、教室に移動するぞ。一組は右手の廊下、二組はその奥だ」
生徒たちが動き始める。
「後でね」
「一緒に帰ろうぜ」
「また会えるから」
メルが、カイが、レンが、それぞれ声をかけてくれた。
みんな、少し心配そうな顔をしていた。
三人が、一組の教室へ歩いていく。
その姿を見送りながら、レイは自分に言い聞かせた。
(一人でも大丈夫。 寂しくない。)
そして、二組の教室へ足を踏み入れた。
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