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紫雷の魔法使い  作者: 黒猫
ヴェイル領 第二部
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第47話 第一声

祭壇跡の段差の前に、人が集まっていく。


レイたちも、その後ろの方に並んだ。

段の上に立っていたのは、一人の男だった。


その男は、五十代半ばほどに見えた。


大柄で厚みのある体つきをしていて、日に焼けた肌には、言葉では言い表せない逞しさがあった。


黒髪には白いものがかなり混じり、無造作に伸びた髪が、額や耳元にかかっている。


細長い顔立ちに、落ち着いた目元。高い鼻の脇には片眼鏡が掛かっていて、その奥から向けられる視線は、静かで、けれど鋭い。


顔に刻まれた薄い皺は、老いというより、長年の経験を物語っているように見えた。


袖をまくった白いシャツの上に、使い込まれたベストと、暗い色の外套を重ねている。


服には土や草の跡が残り、腰には古びた革帯を締めていた。


腰に括り付けられているのは、柄の短い、きのこ採り用の小さな鎌だ。刃には湿った土と草の汁がついていて、つい先ほどまで森か畑にいたことが分かる。


教師というより、採取の途中でそのまま現れた農夫のような姿だった。


けれど、その大きな体からは、生徒たちを自然と黙らせるだけの、確かな存在感が漂っていた。


ざわめきが、少しずつ静まっていく。


男は、集まった一年生をぐるりと見回してから、口を開いた。


「——毒キノコは、好きか?」

ここまで読んで頂きありがとうございました!

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