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紫雷の魔法使い  作者: 黒猫
ヴェイル領 第二部
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第43話 小さな後悔

朝食を終えて部屋へ戻る途中、廊下でエマに会った。


「レイ様」


栗色の髪を後ろで一つに束ねた、いつものエマがいた。けれど今は、穏やかな緑の瞳が困ったように揺れていた。


「旦那様に、お伝えしてしまいました」


(……やっぱり、そうだったんだ)


責める気には、ならなかった。エマがあれだけ心配していたのだから、当然のことだ。


「……うん。分かってる」


「ところで」


「何でしょう?」


「赤い実の酢漬けって、まだ残ってる?」


「まだ残ってますけど……お部屋に、持っていきましょうか?」


「えっと……今度、廃坑に行くときに、持っていこうかなって」


「——反省していないですね」


エマは、笑いながら答えた。その顔は、いつもの柔らかい笑顔に戻っていた。


「後で、ロウエンさんに相談してみますね。きっと、どこからかかき集めてきますよ、きっと」


「ありがとう、エマ。……心配かけて、ごめんね」


「分かってくださっているのであれば、大丈夫です」


そう言ったエマの顔が、少しだけ緩んだ気がした。


その後、部屋に戻り、学舎に向けての準備を、少しずつ始めた。


ここまで読んで頂きありがとうございました!


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