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多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
5章 エレ編 管理者見習い試験
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3話 試験開始


 朝、イシュはエレを抱き枕にしない条件で一緒に寝ていた。宣言通り、エレは抱き枕にされなかった。いつものようにお胸でむぎゅぅされずに済んだ。


 お洋服着替えて、イシュと一緒にお部屋を出たんだ。朝だけはみんなで集まる事できたの。でもすぐに解散。そして現在。


 エクリシェ最下層、リビング。エレはクームと一緒にいる。試験管は、フォルとギューみたい。これね、エレわかる。ギューはヴァリジェーシル家には渡さないの意。

 見学者もいるみたい。エルグにぃとオルとアディ。神聖として動く以上、オルにぃは違うの。あれは、フォルの御巫としての呼び方だから。あのね、イヴィもきたかったんだって。でも、ゼロの相手任されてた。


 まずは試験の説明をされたの。試験は色々。いくつあるかは教えてもらえなかった。初めは筆記。


 まずは計算テストからだった。全滅。歴史、まあまあ。語学、まあまあ。科学物理学、全滅。魔法科学、えっへん。戦術、まあまあ。神聖学、えっへん。魔法学、えっへん。調合学、えっへん。が個人的な見解。


 採点結果は


「まずはクーム、問題ないね。計算以外全部満点。計算だけ、一問凡ミス。エレは……極端すぎ。いつもの事だけど」


「計算、零点。歴史おまけで十点。語学、おまけで十三点。科学、零点。魔法科学、満点。戦術、おまけで四十点。神聖学、九十点。魔法学、七十点。調合学、満点……さすがなだぁ」


 ギューがエレの点数だけ全部読み上げたの。ちなみに全部百点満点。

 出だしはまあまあ。だよね。満点だってあるんだから。だめなところばかり見ていたら、落ち込んじゃうの。


「次は……新種の調査。調査した結果を報告書に記す。エレのために言うけど、新種がどんな特徴があるのか。危険性。ちゃんとわかりやすく書くんだよ」


 どうしてエレにだけ言われているんだろう。フォルはエレが報告書をどう書くと思っているんだろう。ちゃんと書けって言われたら多分きっと書く事ができるのに。


 フォルがエレとクームに報告書の紙と外でも書きやすいように板を渡してくれた。それに、新種の調査のために使いそうな道具一式。袋に入った道具をどう使うのか。それも試験に含まれているのかな?


「場所はギューが転移魔法使ってくれるって。だから、教えなくていいよね。一応試験だから、時間を決めさせてもらうよ。そうだね……調査は一時間。報告書の記入は二時間。計三時間でどうかな? 」


 報告書を書く方が長い。これも多分エレを配慮してくれている。


「質問あれば今なら受け付けるよ。調査のものについては、後でちゃんと説明するから大丈夫だよ」


「ぼくはありません」


「……道具、これだけしか使っちゃだめ? エレの魔法具禁止? 」


 念の為。念の為聞く。もしもの事ってあるから。


「いいよ。人はいない場所だから」


 まさかの許可をいただけたの。許可をいただけると思っていなかったから、悲しみの涙を準備していたのに。

 ……ふっふっふ、エレの魔法具許可してもらったなら、とってもすばらしい調査結果をお見せするの。


「ギュー、頼める? 」


 ギューが転移魔法使ってくれる。ギューも全然ブレないんだよ。ピタッとその場所なんだよ。不思議だよねぇ。


 白い光に包まれたエレ達は、次の瞬間森の中。多分新種の調査は植物。あのね、それらしき動物がいないからそう思ったの。もしかしたら透明な動物かも。だから、断定はせずに指示を待つ。


 落ち着かせるために深呼吸する。すぅー——息を吸うと森の香り。とても温かみのある香り。


 エレは、この匂いがすき。


「新種はこれ。じゃあ、頑張ってね」


 新種はこれって……白色の花。花びらは星形。七枚。花びらには、黄色い模様がある。茎は緑だけど、黄色みもある。大きさは、中。

 外から見れるのはそのくらいかな。


 次は、外見じゃわからない事。まずは花粉。どんな花粉を飛ばすのか。


 袋の中に何かいいものがないのか探す。花粉を採取できる道具があった。花粉を少しだけもらう。黄色い花粉はよく見るんだけど、茜色の花粉は初めて見たかも。

 色が重要なわけじゃない。花粉に何かあるのかが重要。花粉を使ってお薬が作れる時もあるから。


 花粉は……調査中……調査中


 調査が終わるまでに他の事を調べないと。一時間しかないんだから。たったの一時間。


「クーム、手分けしない? 協力しちゃだめって言われてないんだから」


「そうですね。では、ぼくは調べます」


「うん。エレは、採取する」


 蜜を摂るのも道具が用意されているの。蜜は甘そう。でも、まだ毒がないとは限らないから。茎とか根も調べないとだよね。根の方はエレの魔法具。茎は、袋に入っている道具。


 まずは茎から。注射針みたいなので、茎の中を調べる。採取したら、クームに渡す。


 あとは根。エレの魔法具で根の形を記録する。その記録を写してもらう。それと、茎をちょっとだけ採取。


「クーム、どうだった? 」


「毒はなさそうです。かなりの効能があります。こちらが調査書です」


 調査の結果を見せてもらう。調合に使いたくなるくらい優秀。量産できればいいんだけど。そうしたら、回復薬作りたい放題。

 蜜は、お菓子に使うのもいいかもしれない。


 えっと……あとは何を調べればいいのかな。えっと……そっと……そうだ⁉︎


 どんな環境で育っているのかを調べないと。まずはお水。周りに潤いがどれだけあるのか。森だからそれなりにはあると思う。土を見ると湿っている。栄養がどれだけあるのかは魔法具頼り。

 根の採取に使った魔法具を見てみると、栄養は豊富。


 あとは気温。今のエレの格好は、薄い長袖。それでも少し肌寒く感じる。ちょっと寒めの環境がいいのかな。


「調査終了」


 一時間。あっという間。まだ調べたい事とかあったのに。でも、これは試験だから。一時間でどこまで調べられるのかを見られているから。


 次は報告書。その場で書くから、観察だけはできる。


 新種の植物の報告書だから、形をわかりやすく描かないと。丁寧すぎると時間がなくなっちゃうから、特徴だけ捉えてあとは簡単に。


 えっと、花粉の形も書いた方がいいのかな。小さすぎてよくわからなかったけど。


「……エレ、言い忘れたけど十文字くらいは最低でも書いてよ。絵を描いて終わりはだめだから」


 フォルはエレをなんだと思っているんだろう。なんでそんな事言われるんだろう。そんな事するつもりなかったのに。


 でもいいの。そう思われていて、ちゃんと書けているってびっくり。ふっふっふ、なの。


 絵を描いたあとは、文字の番。まずは有毒性について。毒はない。成分も書いておかないと。

 繁殖に適した場所は、土の栄養が豊満で水が多め。気温は寒め。

 他に何か書く事あるのかな。調べた内容を思い出す。


 ……うん。何も書く事なさそう。これでエレは大丈夫なの。きっとフォルも、えっ⁉︎ エレがこれを書いたの⁉︎ す、すごい⁉︎ っていうに違いない。あと残りどれくらいだろう。試験終了が楽しみ。


 エレはににゃににゃ顔で待っている。


「試験終了。二人とも、報告書を提出して」


「はい」


「うん」


 フォルに報告書提出。採点なのかな。確認の時間がちょっとかかるの。


「クーム、どうだった? 」


「まあまあでしょうか」


「エレはとってもなの」


 待っている間に、テスト後にするあれをする。会話しているとすぐだった。


「クームはちゃんと書けているよ。エレ、やっぱりやったね? 僕はちゃんと言ったのに」


「ふぇ? 」


「特徴を絵で描いて終わりにするなって。色とか。これだと何色かわからないでしょ」


 ……ふぇ? 文字かけって、そういう事だったの?


 せっかく褒めてもらえると思ったのに……で、でも、まだなの。まだ試験は残っているの。次こそはフォルをびっくりさせるんだから。

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