↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
多世界転生物語〜偽りの姫の居場所〜  作者: 星実月 希蝶
5章 エレ編 管理者見習い試験
109/117

番外 ゼロ、ゼムと過ごす時間


 エクリシェで久々にゆっくりとゼムと一緒にいられるんだ。当然俺の部屋。ゼムは軟弱なエレと違って、この部屋でもなんとも思わないんだ。なんなら、エレがいる時よりも寒くて平気なんだ。

 空色の部屋。氷のようなこの部屋で、兄弟仲良く一緒に過ごす。そんな至福な時間が他にあるわけないだろ。


 ゼムをソファに座らせて、俺は紅茶の準備。セムがやるって言ってたけど、ゼムにやらせると下手だから。ゼムは、俺らの家の裏家業とかはできるけど、生活面だと俺がいないとなんだ。いつも俺がゼムの世話してる。それが好きだから。

 今日はゼムのためにも豪華にしてやる。クッキーじゃなくて、アイスを出してやるんだ。エレの時は出さないけど。

 ゼムの好きな紅茶アイス。俺が作っておいたんだ。


 これで今日のお茶会セットが準備できた。あとは、ゼムと一緒に堪能するだけ。


 ゼムの隣に座って、ゼムにらぶアピールする。そうしたら、ゼムが俺の頭を撫でる。俺がにゃんにゃんしている。いつもの時間。


「……」


 今日はあんな事聞いたから、話がなにも出てこない。でも、一緒にいられるだけでいいんだ。

 それに、話は俺の方からすればいいんだ。


「ゼム、ずっとここいられる? 」


「多分。向こうで問題起こらない限りは」


 ゼムは最近はロストにいた。色々とあって、財政を整えるとか全部ゼムがしてくれてたんだ。俺はエレの世話しないといけなかったから。

 それに、ゼムはそういうのが得意だから。


 ロストであった王族の集まりの時にも会ってる。けど、あの時は互いに忙しくて、あまり話す事できなかったんだ。今は違う。


「そう言えば、ゼムにプレゼントあるんだ」


「プレゼント? なにかな? 」


 ワクワクそう。プレゼントはちゃんとラッピングしてある。中身が見えないように。見てびっくりさせたいんだ。


 ゼムが受け取ってくれた。中身を確認している。


「これ、ゼロが? 」


「俺が作ったんだ」


 魔法具。それに、ブレスレット。両方俺が作ったんだ。ブレスレットの方は本職だからな。魔法具は、慣れてないからちょっと不格好。でも、使えるのはちゃんと確認してある。四角くて薄い箱のような魔法具。小さいけど、記録された映像が映るんだ。エレに監督してもらって作った。免許持ってないから。


 免許ないと、免許保有者がそばにいる事が決まり。


 ゼム、喜んでる。ずっと、魔法具とブレスレット眺めている。


 ブレスレット忘れてた。ブレスレットは、氷のようなデザインにしてみたんだ。ひんやり仕様。派手すぎず、地味すぎず。いい感じの塩梅を見つけるのが、一番難しかった。


「ありがとう」


「喜んだ。喜んだからいいんだ」


「今日はとことん甘えモード」


 そうなんだ。ゼムが一緒に久々にいてくれるから甘えモードなんだ。それに、ゼムが術を使ってくれたから甘えなんだ。

 ゼムは、俺に気を使って術を使わなくなった。でも、今回は使ってくれた。あの時の指示は、術を使ってたんだ。俺が危険な目に遭わないようにって。俺は知ってるんだ。


 氷の部屋と銀が似合う。その、透き通った青も。じっと見つめていると、微笑んでくれた。


「ゼム、術見せて。氷の術。なんでもいいから」


 こんな無茶振りでも、俺の頼みだからゼムは引き受けてくれる。俺の頼みだから。

 少し考える時間があるけど。それでも、使ってくれるんだ。

 俺の頼みだから。ここ重要。


 ゼムが左腕を曲げる。左手を上にする。そこに、キラキラと空色の光が集まる。集まった光は、パァァーと周囲に散った。氷に光を纏わせてる。透明な氷が反射して色んな色になってる。どんな仕組みか知らない。


 これがゼムなんだ。器用でどこまでも繊細な術。多種多様の術を使いこなせる俺の自慢の兄。


「どうかな? 久しぶりだけど、それなりには」


「それなりじゃないんだ‼︎ 俺のゼムはいつだって一番なんだ‼︎ 」


 こんなに綺麗な景色久々。それに、俺らがちょうどいい気温になってる。氷が室温を調節してくれているんだ。あかりがなかったらもっと綺麗なのかもしれない。あかり消した。氷の光が際立ってる。夜空みたいだ。


「これは俺だけの景色なんだ。俺の特権。俺以外は、見るだめ」


「わかっているよ。これは、これだけは、ゼロとオレだけの景色。他のみんなには、一度も見せた事ないよ。それに、これから先見せる事もないと思うよ」


 当然なんだ。これは俺らだけの秘密だから。たとえエレとイシュでも、この景色は見せないんだ。どれだけ頼まれても、押しに弱いゼムの代わりに俺がだめって言ってやる。


「……ゼロ、ゼロは、どうする? 」


「そんなの、決まってんだろ。そんな未来なんて、絶対変えてやるんだ。俺らは、ずっと一緒にいるんだ」


 フォルの事。絶対に、一人になんてさせない。ずっと一緒にいて、俺を甘やかさないといけないんだ。きっと、方法はあるはずなんだ。エレが世界を創って回避した時のように。方法は探せばいくらでもあるはずなんだ。俺らが気づいていないだけで。


 俺はそれを信じる。絶対に見つけ出す。


 だから、笑っていてやる。悲しんでなんてやらない。やる必要ない。


「ゼロ……そうだね」


「そうなんだ……フォルって言えば、この前報告書書いておけって連絡あったんだった。ちゃんと書かないと、エレと同じ扱い受ける」


 エレと同じ扱いはいやなんだ。

 へぇ、ゼロってエレと一緒で報告書の一つすらまともに書けないんだ。なんて言われたくない。


 ……いや、まて。それだけならまだ可愛いかもしれない。

 

 ギューにぃがこっそり手伝ってたと仮定しよう。それで、エレが黙って提出したら、どう言われる? エレですらできるのに、君はできないんだ。なんて言われるかもしれない。


 急いで報告書書く。紙用意して、水没都市で起きた事まとめる。


「……ゼロの字、いつ見ても綺麗」


「ゼムの方が綺麗なんだ」


「そうかな? オレはゼロの書く字が好きだよ」


 ゼムが好きって言った。俺(の書く字)が好きって言った。俺が好きって言った。


「俺もゼム好き」


「あれ? 意味違くない? 」


 気のせいなんだ。気のせいって事にすれば気のせいなんだ。ゼムが俺の書いている報告書見ている。


「ゼロ、ここ間違ってる。これだと水没じゃなくて、水恋。水恋??? 」


 水に恋している都市。意味不明だな。俺が書いたんだけど。


 ちゃんと水没に直しておく。フォルに哀れな目で見られる前に気づけてよかった。ゼムに大好きって言われた字で、報告書書き終える。あとは提出だけ。今日は気分じゃないから明日以降。暇な時に出しても誰も何も言わないはず。エレは出すかも怪しい。


「ゼム、魔法学の勉強する。嫌いだけど」


「今度は何がわからない? 」


「魔法を使うのに自分の体内に保有する魔力を使う理由」


 ゼムが苦笑い。でも考えてもみて欲しいんだ。体内に保有している魔力。そんなもんはたかが知れている。なのに、そんなもんを使う。なんて、非効率だと思わないか? 自然に多くの魔力があるのに。それは使わないんだ。


 ほら非効率。理解不能。


 問題、魔法を使う際に、自分の手持ちの魔力以外使えない理由は


 とかもあった。本当に、わけがわからない。


 ゼムに教えてとぎゅぅってする。ひんやり。


「……えっと、ゼロ、一般常識においての話。魔力は、体内に溜まる。ここまで大丈夫? 」


「常識」


「その魔力以外は使えない。普通の人は、そう思っているんだよ」


 理解不明。理解不能。意味不明。


 ゼムが困っている。けど、これは俺の方が正しいと思うんだ。

 ゼムが言うならそういう事にしておくけど。この件に関しては。他にも聞きたい事あるから、今日はゼムにいっぱい聞くんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。