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『まだ、鳴るなら』 ―音が多すぎる少女は、捨てられたギターを鳴らせるか―

作者:KASANE
最新エピソード掲載日:2026/07/18
児童養護施設「あおば園」で暮らす澪には、音が多すぎる。

人の声も、足音も、食器の鳴る音も、同じ大きさで押し寄せてくる。

自分からほとんど言葉を発さず、人の目を見ることも苦手な澪が、ある夜、古いギターを拾う。

最初は、弾くためではなかった。

木の匂いを確かめ、傷を拭き、一本の弦へ指を触れる。ただ、それだけだった。

その小さな音を、七歳のひなたが見つける。

「もう一回」

ひなたの一言をきっかけに、澪の音は、少しずつ誰かへ届き始める。

かつて音楽を手放した用務員の蓮司も、何かを教えるのではなく、ただ、澪がもう一度弦へ触れるのを待っていた。

やがて澪は、人前でギターを抱えることになる。

けれど、本番で、その手は止まった。

止まってしまった手は、もう一度、弦へ戻れるのか。

これは、天才少女が音楽で成功する物語ではない。

うまくいかなかった人が、元どおりになるのでもない。

その人のまま、次の一音を探す物語。

勝てなくても。
うまく弾けなくても。

まだ鳴るなら、終わりではない。

※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています。

※制作について
物語の構想、執筆内容、最終判断は作者が行っています。制作過程で、誤字脱字の確認、改行・段落整理にGeminiとChatGPTを補助的に使用しました。

関連画像の制作にはChatGPT、イメージ音楽の下案にはGeminiを使用し、音楽はDTMで仕上げています。
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