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落第寸前の俺に、教師は「正解」を教えなかった
魔法学園に入学して半年で、俺は最下位になった。
炎魔法も水魔法も、ちっとも制御できない。
教師の前でぼろぼろに失敗するたびに、クラスメイトの目線が刺さった。
居残りが続きすぎて、夕焼けが友達になった頃。
ある日、年配の教師が俺のそばに来た。
「どうして上手くいかないと思う?」
俺は答えた。
「才能がないからです」
教師は首を振った。
「違う。お前は、成功するイメージを持てていない」
意味が分からなかった。
教師は続けた。
「炎を出す前に、どんな炎をイメージしている?」
俺は正直に言った。
「失敗しないように、と考えています」
教師は静かに言った。
「それだ。失敗しないように、ではなく、どんな炎を見たいか、を考えろ。魔法は意志の形だ。怖れの形じゃない」
その夜から、俺は変えた。
炎を唱える前に、目を閉じて炎の温かさを想像した。
揺れ方を。光り方を。
翌朝の授業で、初めて安定した炎が出た。
小さくて、地味で、誰も気づかなかった。
でも俺は、その炎をずっと見ていた。
自分の意志が、初めて形になったから。




